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2017.03.26 Sunday

パキスタン映画「娘よ」&「裁判官の娘」と呼ばれる絨毯

 

きのうの朝、NHK FM を聴いていたらピーター・バラカンさんが映画の紹介をしていた。

「ストーリーはわりと単純なんですけど、なんといっても風景がすばらしいし、俳優の演技や音楽もいい。お薦めです」

 

アフィア・ナサニエル監督「娘よ」というパキスタン映画。

こんなにグローバル化が進んでいるのに、パキスタン映画が日本で公開されるのは初めてという。驚き!

 

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「遥かなるカラコルム山脈の麓。

敵対する部族長との政略結婚から10歳の娘を守るため、

母と娘の命がけの旅が始まった。

フンザの狭い路地、黄金色に輝く杏やポプラの木々の中で繰り広げられるカーチェイス。

パキスタン北部の自然を背景に、伝統的な社会に生きる人々の葛藤を描き、

多くの観客の共感を集めた作品」

(「エキプ・ド・シネマの会・会報」より)

 

神保町の岩波ホールで3月25日〜4月28日まで。

 

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この映画の原題は "Dukhtar" 。

「娘」という意味で邦題とおなじだが、

部族絨毯が大好きならすぐ思い浮かぶのが

"Dokhtor-e-Ghazi" (裁判官の娘)と呼ばれるプレイヤーラグ。

 

* * *

 

以下、Tribeさんのサイトより引用させていただきます。

 

 

お祈り用絨毯にこめられた思い

 

バルーチ族には絨毯にまつわる美しい物語が伝えられています。

イランとアフガニスタンの国境付近に、その地域で評判の美しい娘が住んでいました。
彼女はティムーリ族というバルーチの中の一支族の高名な裁判官の娘でした。
ある時他の支族であるバールリ族のシャーマン(祈祷師)の血を引く若者が、彼女と恋に落ちて求婚しますが、裁判官の父親は二人の間を認めず、結婚はおろか彼を村から追放し、娘は秘密の場所に監禁されてしまいます。彼女を愛していた彼はスーフィー*のあらゆる技を駆使して彼女との結婚の許しを得ようと試みます。
彼に会えない娘はひとり篭って絨毯を織り続けていましたが、その時に織られた絨毯の文様は今までに見たことのない美しい紋様でした。そしてその文様は見る者の気持ちを幸せにする不思議なモチーフでした。彼女の織った絨毯は町でも大評判になり、二人の関係に同情する者が増えて行きました。頑固な父親も終には折れて二人の縁談を認めました。

彼への思いが彼女に美しい絨毯を織らせたのでしょうか。
その後二人は幸せに暮らしたそうですが、彼女はその後23枚の絨毯を織り、二人の娘達が母親に習って織ったものを含めると70枚ほどの絨毯がドクフタレ・カジイ(裁判官の娘)と呼ばれるようになりました。

(引用ここまで)

* * *

 

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いまは亡き Michael Craycraft さんの本にも「裁判官の娘」と呼ばれる絨毯が4枚掲載されています。

 

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19世紀中頃 Nishapur 産

 

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19世紀末 Turbot-i-Jam 産

 

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20世紀はじめ アフガニスタン・イラン国境付近の産

 

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19世紀中頃 Farah 産

 

(地名はいずれもイラン北東部からアフガニスタン北西部にかけて)

 

わたしのところにも「裁判官の娘」の祈祷用絨毯が一枚あります。

 

2012年4月に桜をのせて遊んだ記事からもう一度。

 

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ご覧のとおり、クタクタです。

 

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下のボーダー部分もタテ糸が露出していますが、糸の撚りがいまだに残っているのに感動します。

 

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フィールドの文様は、娘の願いをのせて飛ぶ鳥のようにも見えます。

 

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気品ある絨毯。

 

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全体像はこんな感じ。

 

* * *

 

映画の話に戻りますと「パキスタン」「部族」「結婚」など、部族絨毯好きなら見逃せないテーマ満載!

 

東京の後、他の地域でも上映される予定ですので、興味のある方はチェック!「娘よ」公式サイト

 

わたしもはやく見にいきたいな〜〜!きらきら

 

2017.03.09 Thursday

木蓮が咲いた

団地の木蓮が咲きました〜!




花びらは柔らかいけれど、花を包んでいる殻は「産毛」のイメージに反して硬めです。



動物みたい。



レイハンルキリムのトーテミック・モチーフで遊んでみました。



草間彌生センセイ〜!

2017.02.28 Tuesday

絨毯のヨコ糸は見えるのか?

 

「茶色の経糸でスイッチが入った」なんて書いていましたが、

ひょんなことから「台湾にスイッチが入り」、絨毯は放置状態になってしまってゴメンなさい〜。

 

気分を切り替え、経糸じゃなく「絨毯の緯糸」について少しばかり書きます。

 

* * *

 

まず質問。

「あなたは絨毯のヨコ糸を見たことがありますか?」

 

前回ご紹介したハゲハゲ絨毯なら、パイル糸がすっかり取れてしまっている部分があるので

タテ糸もヨコ糸もはっきり見えます。

 

しかし、堅気の市民生活を送られている日本のマジョリティーの方で

絨毯のヨコ糸を見たことがある人は少ないんじゃないでしょうか?

 

キリムは「タテ糸とヨコ糸」で構成されていて、

つづれ織りのキリムは「ヨコ糸が主役!」

表に現れているのは、ほとんどがヨコ糸です。

 

一方、絨毯は「タテ糸とヨコ糸とパイル糸」で構成されていて、

パイル織の絨毯は「パイル糸が主役!」

表に現れているのは、ほとんどがパイル糸です。

 

キリムも絨毯も、「フリンジの部分がタテ糸」なので

みなさん、タテ糸は見たことがあるはずです。

 

でも絨毯のヨコ糸は、パイル糸に埋もれてしまって、ほとんど見えません。

 

特に都市工房で織られたペルシャ絨毯やトルコのヘレケ絨毯は、

強くデプレスがかけられていますから(「ダブルウェフト」とも表現される)、

ヨコ糸は奥に存在するものの、表にはまず現れていないと思います。

 

でも、部族絨毯村の絨毯はほとんどデプレスのないフラットな織り構造ですから、

絨毯のをまじまじ〜っと見つめると、ヨコ糸が見えてきます。

 

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これも一応「いわゆるベシール絨毯」。

 

結構ゆがんでいて、遊牧生活を送るグループのものかもしれません。

エルサリ・トルクメンとも感じが違うので、ウズベク族のものかな?

 

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スター・キッズの幼稚園〜! って感じで、個人的にはけっこう気に入っているんですけど。

 

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ボーダーのクロス・モチーフや「スター・キッズ」の形がぜんぶ違っているところがラブリー!

 

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古いのでけっこうこなれてます。

タテ糸は、ベシール絨毯おなじみのヤギの糸。

 

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さて、絨毯の裏側です。

茜、インディゴ、黄、茶、アイボリーのパイル糸が、まず目に飛びこんできますが、

パイル糸とパイル糸の間からのぞく茶色の線ーーそれがヨコ糸です!

 

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これはアフシャールのサドルバッグの裏側の写真ですが、

矢印で "weft" と示されている部分がヨコ糸。

 

このピースは、一段あたりヨコ糸を左右に往復させ、2本のヨコ糸が使われていますが、、、

 

 

このトルコのヤストゥックは、

一段あたりヨコ糸を左右に2往復または3往復させているため、

4本または6本のヨコ糸が使われています。

 

ヨコ糸がたくさん使われているので、ぱっと見るだけでヨコ糸の存在がわかりますね。

 

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このように、部族絨毯や村の絨毯は、裏側を見るとヨコ糸の存在がわかりますが、

このベシール絨毯のように、表側もパイルがかなりすり減っていると、

うっすらと茶色い横糸が見えています。

 

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* * *

 

余談ですが、パイルたっぷりの絨毯でも

色のついたタテ糸やヨコ糸を使ったものは、

全体の色調がどことなく違って見えます。

 

以前、茶色いタテ糸を使ったムットのキリムを持っていました。

カラシ色のヨコ糸のキリムでしたが、なんとなく茶色っぽく見えました。

 

ヨコ糸がすり減っていたわけではないのですが、

表に出ていないタテ糸でも、やっぱりなんとなく色調に影響するんだな、と思ったことでした。

 

わたしが好きなベシール絨毯は、なんといっても茜色に特徴があります。

他の絨毯の茜色とは、どこか、ちがう。

 

もしかしたら、タテ糸やヨコ糸に茶色の糸が使われているため、

パイル糸の茜に、どこか趣きを添えているのかもしれません。

 

2017.02.19 Sunday

茶色の経糸3 緯糸も茶色のベシールチュバル

経糸はフリンジという形で表に現れるのですぐ分かりますが、絨毯の緯糸はパイルの間に埋没しているので、なかなか確認しづらいですね。



「敬老の日とくしゅう〜!」で登場した長老のみなさま。

ハゲハゲ絨毯はパイルが無くなっているので、ふだん埋没している緯糸が現れて、緯糸観察にはうってつけです。
上がいわゆるベシール、下二枚がコーカサス。




コーカサスのヒゲじいは経糸も緯糸もアイボリーのウール。



コーカサスの梅干しばあちゃんは、経糸がアイボリー、緯糸はゴールドの細めの糸。



ベシール、これは恐らくエルサリ・トルクメンのチュバルですが、経糸は柔らかめのヤギ毛のようです。



写真の下方にほつれた緯糸が写っていますが、薄茶色のウールのようです。ほつれた先を見ると二本を撚り合せているのが分かりますね。




セルベッジも緩くなっていて、糸の感じがつかめます。

2017.02.04 Saturday

「最強のふたり」

先週の土曜日「たばこと塩の博物館」に行く前に、シネ・スイッチ銀座でフランス映画「ショコラ」を観た。



思った以上に重い映画だったけれど、主役のオマール・シーとチャップリンの孫であるジェームス・ティエレの演技に唸った。

2月6日月曜日の夜9時からBSでオマール・シー主演の「最強のふたり」がある。

フランスの大富豪と移民のものがたり。
オススメなので、興味がある方は是非どうぞ。

2017.02.03 Friday

茶色の経糸2 BESHIRもしくはアムダリア中流 CLOUD BAND

 

ヤギ毛の経糸で、久しぶりにスイッチが入ったようなので何回か連載します。

 

日本で「ベシール絨毯」といっても知っている人はとても少ないと思いますが、

前回ご紹介した大型チュバルの表皮のように、

トルクメン族エルサリ支族、ウズベク族、アムダリア川中流周辺の村人などの複数のグループによって織られた

いわゆる「ベシール絨毯」は

欧米の絨毯愛好家たちに高く評価されている絨毯のひとつです。

 

当ブログ初公開になりますが、

"so called Beshir" (いわゆるベシール)もしくは "Middle Amu Darya" (アムダリア中流)の

Cloud Band Carpet (クラウドバンド=雲龍文様の絨毯)です。

 

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大体の大きさは、147✖️265cm。

大きな絨毯は保管が大変なので、わたしが集めているのは小ぶりなラグが中心ですが、これは例外。

絨毯買物中毒の最盛期、eBayでデッドヒートのうえ競り落としました。

ベシール絨毯は欧米のラグ・マニアに絶大な人気があるため、こっちもハチマキ締めてかかりました。ぴのこ:)

 

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蛇もしくは雲のように見える雲龍文様は、中国から伝わった説が主流のようですが、

「チューリップ模様の変形ではないか」などと主張する人もいます。

 

で、なぜこの絨毯を出したかといえば、やはり経糸にヤギ毛が使われているからです。

 

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羊毛とは違うことがなんとなく分かりますか?

 

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ヤギ毛の経糸を使うことにより、絨毯の耐久性が増すようです。

 

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パイル糸に使われている茶色の糸は羊毛のようですが、

大型タイプのベシール絨毯のパイル糸は、ちょっとごわっとしたウールが使われることが多いようです。

(ベシール絨毯にはいくつかのタイプがあるので、柔らかい羊毛のものもあります)

 

ハードな使用に耐える絨毯のウールは、ソフトで滑らかな毛よりも、むしろ

この絨毯のようなごわっとした毛の方が向いているのではないかと、個人的には思っています。

 

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絨毯のサイズが大きいと、やっぱり迫力ありますね。

 

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茜とインディゴと黄色と、染めてない茶色の羊毛。

本当はこれに緑が加わると言うことないんですが、、、

 

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緑が使われているベシールのフラグメント

 

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Fine Arts Museums of San Francisco の1999年の図録から

 

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これも緑が使われたクラウドバンド・デザインのベシール絨毯

 

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こちらは「雲龍文様」というよりは「チューリップ模様の変形」と形容したほうがしっくりくるかも。

 

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以前ご紹介したトルクメン絨毯の本にもクラウドバンド・デザインの絨毯が載っています。

 

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説明文はこちら

 

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この本はわたしが持っているトルクメン本のなかで一番新しく、

それゆえトルクメン絨毯の一番新しい研究成果を反映しています。

 

説明文も「ベシール絨毯」という呼称を使わず、「アムダリア中流」としています。

 

図録の写真なのではっきりとはわかりませんが、この絨毯の経糸はヤギ毛ではなく羊毛のようです。

 

この本についての記事はこちらこちら

 

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絨毯の裏側の写真を見ればわかりますが、

織りはわずかにデプレスがかかる程度のフラットな織りですが、

経糸がヤギ毛であるため、実用に耐えると思います。

 

ただ「クラウドバンド・ベシール」という(自分だけが信仰している)ブランド力のため、

使いつぶす勇気はなく、巻いて大切に保管してあります。

我ながらバカだなあ、、、Docomo_kao8

 

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私のお宝、なんとか次世代に手渡したいものですが、

日本ではなぜ「インテリアの壁」を超える絨毯好きが増えないんでしょうか、、、ゆう★

 

 

 

2017.01.31 Tuesday

茶色の経糸1 羊毛&ヤギ毛

 

今回の丸山コレクションでは、ヤギ毛もしくは茶色の羊毛の経糸を使ったピースが目につきました。

そこで自分が持っている茶色の経糸の絨毯をあらためてチェック。

 

* * *

 

現在織られている絨毯のほとんどは、白い経糸が使われています。

 

デパートなどで売られている都市工房製作の絨毯は、経糸も緯糸もコットンを使ったものが主流のようです。

コットンの方がたわみが少なく織りやすいし、実用品として考えると耐久性にもすぐれています。

一方でイラン産のギャッベの経糸は、いまなお生成りのウールがほとんど。

また、シルクのペルシャ絨毯なら、経糸の材質もたいていはシルク。

いずれにしても、茶色の経糸は、新しい絨毯にはまず見られません。

 

うちのリビングのイージーチェアの下に敷いてあるのは

イラン北部に住むトルクメンの今出来の絨毯。

 

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文様はケプセギュルなので、トルクメンの中でもヨムートのものだと思われます。

 

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経糸は変哲もないマシンスパン(機械撚り)。

材質はウールのようですが、不自然な艶があって化繊との混紡かもしれません。

 

* * *

 

しかし古いヨムートのパイル織には、経糸に茶色の羊毛が使われることが多いようです。

茶色の羊の原毛そのままの色。

 

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この4枚はトルクメンのヨムートのもの。

 

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写真がうまく色を拾っていないけれど、チョコレート色。

テント内に吊るして使うチュバルの表。推定19世紀末。

 

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端の処理として内側に縫いこんであるので見えにくいけれど、経糸は茶色の羊毛。

 

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これもおそらく19世紀末くらいのチュバルの表。

下側の無地の部分をエレムと呼びますが、アブラッシュが出ていてこっくりしたブラウン。

 

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薄茶色の経糸で、上のチュバルよりもポワポワした柔らかな羊毛。

 

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こちらは少し時代を下ったものですが、絨毯の用途はよくわかりません。

セルベッジ(耳)やモチーフが可愛くて、優しい茶色が気に入っています。

欧米市場ではほとんど見かけない珍しいタイプのヨムート。

 

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この経糸もポワポワした薄茶色の羊毛。

 

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4枚並べた一番下のトルバ表皮だけは、白い羊毛を使っています。

これはパイル織りでなく、ソマック織りです(平織を織りながら斜めに糸を入れていく、刺繍のように見える技法)。

 

* * *

 

茶色の経糸といっても、羊毛だけではなく、ヤギ毛を使ったものもあります。

 

たとえばトルクメン絨毯にカテゴライズされるベシール絨毯は、経糸にヤギ毛を使うことが多いのです。

 

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上の4点に比べるとずいぶん大きいチュバルの表皮。

東南アジアからウズベキスタンに伝播したイカット文様の影響を受けた意匠と言われています。

 

ベシール絨毯はアフガニスタン北部からウズベキスタンにかけてのアムダリア川流域で織られていました。

トルクメンのエルサリ支族、ウズベク族、近隣に定住する村人など、いくつもの製作グループがあったようです。

これはたぶんエルサリのものでしょう。

 

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この経糸がヤギ毛。

羊毛に比べると固くまっすぐなので、糸を撚るのに苦労するはずです。

それでも水を弾き、虫に食われず、糸の強度が強いため、特定のグループの絨毯に使われました。

 

大型の古いベシール絨毯を個室に敷いていますが、

アンティークなのにヤギの経糸のせいか頑丈で、ガンガン掃除機をかけても大丈夫。

 

* * *

 

このほか、カシュガイ族の絨毯の経糸に、茶色の羊毛が使われたものがあります。

 

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リビングの壁に飾っている小型の絨毯。

やはり19世紀末ぐらいのものだと思われます。

 

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茶色の経糸といっても、アイボリーの糸と撚り合せて双糸にしたもの。

 

「カシュガイは経糸に生成りを好み、ルリ族やハムセ連合は茶色い経糸が多い」

という説を聞いたことがありますが、

この絨毯はまちがいなくカシュガイのもので、茶色の経糸が使われています。

 

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こちらも典型的なカシュガイの文様ですが、経糸は茶色を含めいろいろな糸が使われています。

 

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やはり茶色とアイボリーの双糸や、、、

 

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いろんなバリエーション。

 

* * *

 

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以前にもご紹介したけれど、わたしの「トライバルラグの原点」ともいえるピースがこれ。

部族絨毯に魅せられはじめたころに手に入れた、バルーチの袋の表皮。

このピースを見ていると、なんだかホッとするのです。

 

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経糸に茶色の羊毛やヤギ毛など、さまざまなものが使われていて、

それが美しい調和をつくりだしていると感じたんですね。

 

天然染料は色あせても、なお美しい。

大好きな、大好きな、ピースです。

 

2017.01.30 Monday

「西アジア遊牧民の染織ー塩袋と旅するじゅうたん」

早いもので一月も終わろうとしていますが、みなさんお変わりありませんか。


2008年「たばこと塩の博物館」で「西アジア遊牧民の染織ー塩袋・生活用袋物とキリムー」という展覧会がありましたが

行こう行こうと思っていながら、結局行けませんでした。


当時博物館は渋谷にあり、染織のなかでも特に「塩袋」など袋物を中心とした展示でしたが、

第二弾の今回は博物館が墨田区のスカイツリーのそばに移転し、

展示内容も数点の袋物のほかは絨毯が中心になっています。


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日本で部族絨毯を観ることができる博物館といえば、

東京国立博物館(トーハク)東洋館でときどき松島きよえコレクションなどの一部が展示されるくらいです。

ただ残念なのは、展示が地下で照明が暗く、ガラスケース越しの展示なので

染料、材質、織りのディテールなどが、よくわからないことです。


今回の「たばこと塩の博物館」では、一部ガラスケース越しのものもありますが、

ケースなしの至近距離から観ることができるものがほとんどで、

照明もよく、染料や材質(羊毛・ヤギ毛・コットン)の質感がつかめます。


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講演会、映画会、ワークショップも開催されるので、

興味のある方は検索してみてください。


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右が今回の図録、左が2008年の図録で、ミュージアムショップで購入できます。

日本でトライバルラグを観ることのできる機会は多くないので

興味を持たれた方はご覧くださいね。

それでは。

2016.12.31 Saturday

空は青いぞ

今年もお世話になりました。



いつも散歩する遊歩道から。白鷺か、もしかして白鳥?



枯枝に残る花殻と種が、意外なほどに美しい。



梅には早くも蕾が…



このお家はいつもお花を欠かせることがない。



もう一つの散歩コースは近所の里山。
空が青くて、気持ちがいい。



大きな木の神社にも新しい注連縄。
きちんと手入れをしてくれる人がいるからこそ。



田んぼ、田んぼ、
お空が映ってきれいだなー。



みなさま、よいお年をお迎えください。
2016.12.29 Thursday

TREATY by Leonard Cohen

 

2016年が終わろうとしている。

 

それぞれにとって、どんな一年だっただろうか。

 

* * *

 

1998年に詩人の田村隆一が亡くなったとき、

朝日新聞を見て驚いた。

 

長身でダンディな田村隆一が15段広告のぶちぬきで真ん中に写り、

 

「じゃあ みなさん

これから いろいろ 大変だろうけど

お先に失礼します」

 

と書かれていた。(勝手にリンク

 

* * *

 

今年のノーベル文学賞がボブ・ディランに決まっていろいろ騒がしかったが、

米大統領選に沸く真っただ中の11月7日、

優れた詩人でシンガーソングライターのレナード・コーエンが静かに息を引き取った。

 

「じゃあ みなさん

これから いろいろ 大変だろうけど

お先に失礼します」

 

田村隆一のときよりも、ずっとこの言葉がこたえる。

 

* * *

 

 

最後のアルバムになった "YOU WANT IT DARKER"。

レナード・コーエンの遺書というにふさわしい。

 

ジャケットの写真なんか、泣けるね。

 

彼の身体は、すでに窓の向こう=彼岸に行っちゃっていて、

片手だけが此岸が残っている。

サングラスに映るこちらがわの風景は、どんなふうに見えたのだろう。

 

* * *

 

 

"You Want It Darker"

 

If you are the dealer, I'm out of the game
If you are the healer, it means I'm broken and lame
If thine is the glory then mine must be the shame
You want it darker
We kill the flame

 

Magnified, sanctified, be thy holy name
Vilified, crucified, in the human frame
A million candles burning for the help that never came
You want it darker

 

Hineni, hineni
I'm ready, my lord

 

There's a lover in the story
But the story's still the same
There's a lullaby for suffering
And a paradox to blame
But it's written in the scriptures
And it's not some idle claim
You want it darker
We kill the flame

 

They're lining up the prisoners
And the guards are taking aim
I struggled with some demons
They were middle class and tame
I didn't know I had permission to murder and to maim
You want it darker
We kill the flame

 

難解でよくわからないが、「人間の業」をうたったものだろうか。

 

 

ジャケットを開くと、白い鳥が生と死のボーダーを越えようとしている。

I'm ready, my lord...

 

* * *

 

個人的にいちばん心にしみるのは、この曲 "TREATY" 。

 

I've seen you change the water into wine
I've seen you change it back to water too
I sit at your table every night
I try but I just don't get high with you

 

I wish there was a treaty we could sign
I do not care who takes this bloody hill
I'm angry and I'm tired all the time
I wish there was a treaty
I wish there was a treaty
Between your love and mine

 

They're dancing in the street, it's Jubilee
We sold ourselves for love but now we're free
I'm sorry for the ghost I made you be
Only one of us was real and that was me

 

I haven't said a word since you've been gone
That any liar couldn't say as well
I just can't believe the static coming on
You were my ground, my safe and sound
You were my aerial

 

The fields are crying out, it's Jubilee
We sold ourselves for love but now we're free
I'm sorry for the ghost I made you be
Only one of us was real and that was me

 

I heard the snake was baffled by his sin
He shed his scales to find the snake within
But born again is born without a skin
The poison enters into everything

 

And I wish there was a treaty we could sign
I do not care who takes this bloody hill
I'm angry and I'm tired all the time
I wish there was a treaty
I wish there was a treaty
Between your love and mine

 


* * *

 

レナード・コーエンよ、安らかに。
 

 

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