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2020.02.08 Saturday

キリム展に行ってきました〜!

 

『はじめての、小さなキリムと小物たち』出版記念キリム展に行ってきました!

 

もう、絶対オススメです!

キリム好きなら、この機会を逃しちゃダメ〜〜‼︎

 

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こちらは東京ジャーミーの礼拝所の入口ですが、

はじめて来られる方にとっての目印は、白亜の尖塔。

 

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代々木上原駅から徒歩5分で東京ジャーミーに到着します。

井の頭通りに面するジャーミーの玄関を通り過ぎて、すぐ左折すると

キリム展の入口になります。ココから入ります。

(東京ジャーミーの「隣」というより、同じ建物)

 

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建物の中に入ると、キリム展のポスターが貼ってあり、

写真左手に階段とエレベーターがあり、2階にGO!

 

本当はギャラリートークのある15日に行きたかったのですが、

その日は都合がつかずに昨日行ってみたら、

本の著者であり、キリム作家の Koyun 由紀子さんが在廊されていてラッキー!

 

トルコ現地でキリム織りを習得され、

その後もキリムに関するさまざまな分野について研鑽を積まれておられる

作家ならではの貴重なお話が聞け、とっても充実した時間でした。

 

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『はじめての、小さなキリムと小物たち』に掲載されているキリムの実物が見られます。

かわいい〜!

 

それぞれのキリムには、トルコキリムに使われるモチーフが使われているのですが、

由紀子さんのお話を聞いて、目からウロコだったのが「プトラック」のモチーフ。

「プトラック(トルコ語)」は、「ゴボウ」=「子孫繁栄のモチーフ」と説明しているキリムの本があるのですが、

調べてみると、どうも英語経由の誤解らしくて、

じつは「ひっつき虫=オナモミの実」で「邪視から身を守る」願いを込めたもの。

 

このお話を聞いただけでも、キリム展に来た甲斐があったのですが、

まだまだ、こんなものじゃございません。

 

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これは「キルマン」という素朴な道具を使って手紡ぎした草木染めの糸。

 

ここでも「キルマン」は糸にじゅうぶん重力がかかるので強撚になるが、

「糸車」だと作業が早い代わりに、ふわふわした糸になる、ということを教えていただきました。

 

「そうなのか〜!」

またもや目からウロコ!

 

「糸車」の話が出たので、

「シャルキョイキリムの細い糸は糸車で撚るのだろうか」という疑問を持っていたわたしは

「シャルキョイの糸って、どうなんですかね?」と尋ねてみました。

 

「シャルキョイは、そもそも羊の種類が違うようです。

山岳地帯に住んでいて、角がぐるぐる巻いている羊は、

繊維がものすごく細くて長いため、あんな糸ができるみたいですよ」

 

さすが1996年から研鑽を積んでこられたキリムの専門家の答えです。

 

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草木染めの染料の見本や、、、

 

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ヨコ糸を打ち込む「くし」の展示も。

右手のカワイイ形の金属製のくしが、トルコの伝統的なもの。

いま教室では、木に金属がついた下のタイプを使っているけれど

金属部分がタテ糸を傷つけやすいので、

つぎに発注する場合は、すべて木でできている上のタイプにしようと思っているとのこと。

 

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キリムだけでなく、絨毯織りとジジム織りもあります。

はじめて見たのが、左手の絨毯用のハサミ。

下の黒い金属のおかげで、同じ厚みになるようにパイルをカットできるというスグレもの。

 

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ガラスケースに入っているので、写真写りが悪くて残念ですが、

キーケースやブローチなどの小物も展示されていました。

 

「いや〜、むっちゃカワイイ〜!」

と、ここまではノーマルなのですが、

「かわいすぎて、食べた〜い!!」

と思わず口走ってしまいました。

 

「???」

その場にいた他のお客さん、思わずギョッとした表情。

 

はっと我に返ったわたしは、

「アレ? そんなことないですか?

わたし、好きなキリムを見ていると、食べたくなるときがあるんですよ」

というと、由紀子さんが

「わかりますよ、ええ♡」

とフォローしてくださって、"不審者通報" を免れることができました、ホッ!

 

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会場には小さなキリムだけでなく、由紀子さんが織られた力作キリムも展示されています。

こちらは、本には載っていないのですが、シャルキョイタイプのキリム。

 

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キリム好きの方ならご存知だと思いますが、

シャルキョイを織るには「曲線織り」の高度な技術が必要です。

 

本の写真を見て、キリム織りが上手な方とは思っていましたが、

難しい曲線織りをここまで自然に使いこなされていて、

あらためて感動しました。

 

写真を撮り忘れたのですが、96年にはじめて織ったアダナデザインのキリムも展示されていて、

右側をギョルスンさん(先生)、左側を由紀子さんが織られたということで

「織りはじめの部分なんか下手でしょ」と謙遜されていましたが、

いやいやいや、上手すぎて、

どの分野もそうですが、才能がある人というのは、最初から上手なのねと思ったのでした。

 

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「憧れのエリベリンデのモチーフはとても難しく、学びの多い一枚」

と本に書かれていた二枚接ぎのキリム。

 

「ご本に"難しい"と書かれていましたが、どういう部分が難しいんですか?」

と質問して、丁寧に答えていただいたのですが、

結局わたしはキリム織りのことを全然わかっていなかったんだ〜!と気づきました。

 

コースターサイズの絨毯を織ったことはありますが、キリム織りは未経験。

織るときは「横に一段ずつ進んでいく」という発想しかありませんでした。

 

たとえば横ストライプのキリムなら、一段一段進んでいけばよいのですが、

それ以上のモチーフになると、一部を集中的に織る作業が入ってきます。

 

 

ご本から拝借しましたが、上の図のように番号順に織ると、白糸の十字部分が「先に織り上がる」ことになります。

 

だから「エリベリンデ」など複雑なモチーフを織る場合は、

先に織りあがった部分と、ヨコ糸がまだ入っていない部分に分かれ、

糸のテンションが違ってくるのだと思います。

 

これって、トルコキリムの織り方の目立った特徴なのかもしれません。

 

わたしの説明が下手なので、わかりづらいと思いますが、

自分自身は「目からウロコ」どころじゃなくって「眼球がポロリ」ぐらいの衝撃でした。

 

あと写真ではよく見えませんが、モチーフの周りに「縁取り糸」が入っています。

これを入れるのも大変な作業らしいです。

 

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端の処理も美しい〜!

 

 

いや、とにかくね、

これまで自分は全然キリムのことをわかっていなかったんだ〜、という感じです。

由紀子さんが丁寧に説明してくださって、とても勉強になりました。

 

* * *

 

そしてキリム展は、これだけではありません。

「広尾キリムギャラリーアナトリア」さんのアンティークキリムも展示されているのです!

 

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マラティアのチュワル。

一般的なチュワルよりひとまわり大きいサイズ。

 

実物の方が格段に美しいです!

わたしの撮った写真では、色や質感が再現できないのでごめんなさい〜

 

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こちらもマラティアですが、モチーフがおおらかでのびのびしています〜

織りはとても力強く、落ち着いた配色も安定感を感じさせます。

 

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同じキリムですが「W」をさらに伸ばしたようなモチーフ、初めて見ました。

ところどころに「糸のつぶつぶ」が織り込んであります。

なにかの願いをかけているのでしょうか?

 

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シワスのヤストゥック。

キリッと締まった糸で、モチーフも愛らしく、伸びやかです。

これは本で見るよりも、実物を見る方がオススメです。

 

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「女王様〜!」と叫びたくなる大迫力のシャルキョイ。

会場の壁に収まりきらない大きさで、しかもコンディション抜群〜!

 

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シャルキョイは日本のコレクターにも大人気で、クッションカバーでも貴重なのに、

こんな完全なピースがあるなんて、まさにミュージアムピースです!

 

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マラティアのシム(金属糸)が使われたピース。

上の三角のようなモチーフ部分が愛らしくて、特にスキ!

 

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マラティア シナンルのヘイべ。

これも写真がへたっぴいで、ぜひ実物をごらんください。

 

精神性が高く、「誇り」を感じさるピースです。

 

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これはトルコ西部のもので、ユンジュかな? 

 

インディゴは、よく見ると赤が混じっているようです。

一見地味だけれど、「日々をきちんと暮らしている」感じがするピース。

 

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じゃーん!

シャルキョイはバルカンの女王様でしたが

「アダナ・レイハンル」はトルコ南部の女王様〜!

 

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見てください、この色!

 

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ボーダーもすばらしいし、

線がキリッといていることといったら!

 

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美しすぎて、ずっと会場にいたいです〜

 

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こちらは「ハタイ・レイハンル」の女王様。

このピンク色も、年月を経て落ち着いた美しさで、他ではめったに見ることができません。

 

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会場の「アダナ・レイハンル」の白はコットンで、

こちらの白は、ウールとコットンを撚り合せた、独特の質感をもつ糸です。

 

トルコキリムの産地については、

トルコでもトップクラスの複数のディーラーに訊ねたとのことですが、

答えはそれぞれだったとか。

本当に、奥が深い世界です。

 

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もう、わたしが言うことありませんね。

あとは、あなたが行くだけです!

 

いやー、眼福、眼福!

 

由紀子さんからも貴重なお話が聞けて、わたしは「耳福」〜

(こんな日本語はありませんので、よい子は真似しないでね)

 

さっ、出かける準備はできましたか〜?

 

 

 

2020.02.05 Wednesday

『はじめての、小さなキリムと小物たち』出版記念キリム展

 

先日ご紹介した『はじめての、小さなキリムと小物たち』という本の

出版記念のキリム展が開催中です!

 

 

場所は、代々木上原駅から徒歩5分の、東京ジャーミーの隣

「トルコ文化センター ギャラリースペース」です。

 

2月3日(月)〜18日(火)10:00~18:00 (最終日は16:00まで)

休館日 9日(日)、11日(火)、16日(日)

 

 

「はじめてのキリム織り」というワークショップ(申し込み必要)が二回と、

2月15日(土)14:00からギャラリートークも予定されています。

 

お近くの方、遠くてもご興味のある方はぜひどうぞ〜!

 

わたしも東京ジャーミーの見学も兼ねて伺おうと思っています〜

 

 

2020.01.27 Monday

キリム本『はじめての、小さなキリムと小物たち』

 

「2020年もよろしく〜!」と書いておきながら、ずっと放置していて

全然「よろしく」ないぷぎーです。

ちょっと取り込んでいたのですが、ひと段落つきましたので

今度こそ、よろしくお願いいたします。

 

* * *

 

さて、去年の11月にとってもステキなキリムの本が出版されました〜!

 

 

Koyun 由紀子さんの『はじめての、ちいさなキリムと小物たち』(日本文芸社)

 

* * *

 

本を手にして、まず思ったのが「かわいい〜!」でした。

 

本のサイズが少し小さめで(18.5cm×17.5cmくらい)、そんなに厚くなく、

紙質も硬すぎず柔らかすぎず、ちょうどイイ感じ。

うれしいことに、オールカラーの96ページ。

 

さらにさらにうれしいのが、写真がすごくいいんです。

(キリムの本って、写真が命ですよね)

 

上の表紙写真からもおわかりと思いますが、

ふっくらした糸の感じや、透明感のある天然染料。

まるで実物が目の前にある感じで、はっきりと見えます。

 

著作権の関係で、本の写真をたくさん載せるのはまずいのですが、

本当は全ページを写真に撮ってブログにアップしたいくらいです。(オイオイ)

 

キリムのバックに使われた木材や小物も味のある素材感で、

ナチュラル系がお好きな人なら、

「こんな本を待っていた〜」と思ってくれるはず。
 

そしてなんといっても、

作者の色選びのセンスがバツグン!

 

* * *

 

Koyun 由紀子さんは、1995年にマヤ民族の腰機を学んだ後、

1996年にトルコに渡ってキリム織りを習得され、

1998年から日本でキリム教室をスタートされ、

NHK文化センターなどでも講師をなさっています。

 

もう20年以上キリムの先生をなさっているんですよね。

 

 

この本に載っているキリムはすべて

ひとつひとつの作業がていねいで、心が込められている感じがします。

本当にキリムが好きで織っていることが伝わってくるというのか。

 

このように、写真を見ているだけでも幸せになれるのですが、

この本は、はじめてキリムを織る人のために書かれていて、

基本のモチーフの紹介、

キリムの織りかた、

道具や材料、

図案など、

これ一冊あれば、キリムが織れるようになっています。

 

そして最後には、オールドやアンティークのキリムの写真もあって、

そのチョイスもすばらしいんですね。

 

お値段は1600円プラス税ですが、

この本は「一回読んでおわり」のタイプじゃなくて、

いつも手元に置いておきたい感じ。

 

日本でこんなステキなキリムの本が出版されて、本当にうれしいです。

 

 

2010.12.04 Saturday

経糸いろいろ(キリム編)


絨毯につづき、キリムの経糸を見ていきましょう。ブログ掲載順に追っていきます。



レイハンル・キリム(その1)  房がまだ残っています。



レイハンル(その1)の反対側  
室内で吊るされていた場合、地面に近い側が摩耗しやすいのかもしれません。



レイハンル(その2)
真綿(絹)のような最上級のウールです。



カシュガイのウールは全般的に油分が多いような気がします。(パサパサしていない)
オフ・ホワイトの毛と茶色い毛が混じった、堂々とした房。



バルーチ・ソフレの経糸には、どことなく野趣が感じられます。



シャルキョイ(マナストル)は、とても細くやわらかい経糸。



シャルキョイ・フラグメントの裁断面。
オフ・ホワイトだけの経糸に、2色の毛を撚り合わせた経糸も混じっています。



白いコーカサス・ヴェルネは、二枚をはぎ合わせたピースです。
左側は糸が折り返されていて切れ目がなく、上から下へ向かって織っていったみたい。
右側は下から上へ向かって織られ、内側に縫い込むことによって糸の始末をしたのかな?



マラティア・ジジムは経糸が横糸と同じ色で染められています。
手紡ぎウールは、染色したとき自然のムラができるために深い味わいが醸しだされます。



赤いコーカサス・ヴェルネには平べったい編み込み。
レイハンル(その1)やカシュカイの編み込みとはまた違いますね。



コーカサスのシルバン・キリムの経糸は、2色のウールの撚り合わせ。
この経糸の細さと詰まり具合を見てください!
シャルキョイも細い糸ですが、コーカサスは経糸の間隔がもっと詰んでいます。
織るのにそれだけ時間がかかりますが、薄い織りなのに耐久性に富み、実用に適したキリムです。

* * *

……とまあ、これまでアップしたピースの経糸を見てきましたが、
ひとつひとつに個性があって、味わいがあります。
だからこそ、ずっと眺めていても飽きないんでしょうか……

2010.11.29 Monday

キリムの技法について


これまでご紹介したキリムのなかに、すこし変わった織りの技法が何種類か使われていました。
シャルキョイ(マナスティル)はカーブした織り、
マラティアにはジジム、
二枚のヴェルネとマフラッシュにはジジムとジリ織りが使われています。

織りの技法は、ご自分で織られる方ならよくご存じだと思いますが、
じつはわたしはよくわかっていません。
それで、本を見ながらお勉強していきたいと思います。

まずはカーブした織り


イラストにすると次のようなイメージ


つぎにジジム



そしてジリ



ジジムとジリのイラストはこんな感じ


ジジムとジリは、いわゆる「刺繍」のように見えるのですが、
キリムを織りながら別糸を絡めていく手法なので、
厳密にいうと、刺繍ではないそうです。

写真は、FLATWEAVES OF TURKEY (by A.Bandsma&R.Brandt)
イラストは、Living with Kilims (by Alstair Hull他) から引用

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