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2016.12.09 Friday

絨毯好きのつどい2016ーラグと音楽と撮影とー

 

前回「絨毯好きのつどい@自宅」を開いたのは2013年4月だったから、じつに3年半ぶりになる。

思い返せば、この間自分的にはいろんなコトがあって、

ふたたび絨毯好きのつどいを開くことができて本当にウレシイ。

 

今回はひょんなことから、不思議な「ご縁」でつどいが企画された。

 

10月に絨毯好きのAさんが、明治大学リバティアカデミー「世界の民族音楽を聴く」の一環、

寺田亮平さんによるレクチャー&コンサート『トゥバ共和国の文化と伝統音楽』のお手伝いをされた。

その司会をされていた石川修次さんが、私の拙いブログを読んでくださっていることがわかり

Aさんがご紹介くださって、石川さんが絨毯を見に来てくださることになったのだ。

寺田亮平さんも同行してくださるという。

 

せっかくだから久々に「絨毯好きのつどい」はどう? と話が大きくなっていって

普段から絨毯をこよなく愛するメンバーにも声をかけた。

 

おまけに、寺田さん経由でバーンスリー奏者の寺原太郎さんご夫妻も「手仕事」がお好きとのこと、

「それじゃあ一緒に行くわ〜」というサプライズな展開になっていく。

 

さらにはバルーチ好きのSさんから、グッドタイミングで数年ぶりのメールをいただき、

「ちょうどよかった! もうすぐ絨毯好きのつどいやるんですよ〜」とお誘いしたらOKのお返事。

そして、ラグだけでなく多方面にご趣味を持つYさんも駆けつけてくださる。

プロ並みの美しい写真を撮られるので「それぞれのお気に入りラグの撮影会をやりましょう〜」とワクワクの展開に。

 

司会進行も「言い出しっぺだから私がやりまーす♪」とAさんが気持ちよく引き受けてくださった。

 

絨毯仲間、そしてなぜかミュージシャンの方々が遠路はるばる来てくださる。

「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」

 

絨毯恋しや ほうやれほ♪

キリム見たいよ ほうやれほ♪

 

* * *

 

 

ということで始まりました〜

「絨毯なんでも鑑定団@自宅〜〜!」

 

まずはウォーミング・アップということで、最初は小さなピースから。

上の写真は、トルコの村で織られたピースと遊牧生活を送るクルド族のピースを比べているところ。

どちらもヤストックと呼ばれるクッションの表皮だが、デザイン・色使い・材質などが異なっている。

 

 

もう少し大きい袋で「似たもの同士の違い」を比較〜

同じバルーチでも、ホラサン地方とシスタン地方では色使いやデザインが違います。

「絨毯織りのビギナー?」と思わせるムニョ〜と歪んだピースと

ベテランが織ったと思われる、きちっとした上手な織りのピース、などなど。

 

一番上にのっかっているのは、かなり古いペルシャ絨毯のフラグメント(産地不明)で

細〜いコットンの縦糸・緯糸を使い、デプレスが効いた高度な織り技術。

「イスファハン?」

「マジですか?」

とにかく部族絨毯・村の絨毯とは織りの技法が明らかに違う、プロ職人が織ったもののようだ。

 

 

技法にかんしては、ご自分で絨毯を織っておられる手仕事クイーンTさんの解説を聴く。

黄色と水色の「織りのサンプル」を使い、

ペルシャ結び(非対称結び)とトルコ結び(対称結び)、

デプレスの効いた織りとそうでない織りの違いなどについて説明してくださる。

 

「ほら、こうやって折るとパカッと開くでしょ。これがトルコ結び」

なるほど〜、わかりやすい♪

 

* * *

 

さて、ランチである。

今回の参加者は10人、狭い自宅にお客様をお呼びするのに慣れていないコトもあって、

コーヒーを出すにも「アワアワ‥‥」みたいなオーラが全面に出ていたのだろう、

今回コーディネイトをしてくれたAさんから「落ち着いて〜」などと声をかけられた。(笑)

 

同じ市内に住むOさんは、私の好きなラグを理解してくれる稀有な友だち。

いくつもの手料理を作ってきてくれてありがとう〜

寺原さんの奥さまからは「今朝うちの庭でもいできたの〜」とみずみずしい柚子をたくさんいただいた。

ほかの方からもたくさんの差し入れをいただき、メニューが豊かになりました。感涙〜

 

 

無事ランチが終わり、午後は石川修次さんによるアメリカ民族音楽のミニレクチャーとバンジョー演奏で幕を開ける。

はじめて生で聴くバンジョーの澄んだ音色に、ほのぼのとした幸せ〜。

 

 

ほとんどの日本人は大西洋の存在を認識することが少ないと思うが、

アフリカ・ヨーロッパ・南北アメリカはこんなふうにつながっているんだなー。

 

バンジョーは西アフリカで生まれ、それが北アメリカに渡ったあとそこで根づき、

21世紀の今なお愛されつづけている楽器。

 

瓢箪に動物の皮を張った3(4)本弦だった初期の楽器から発展して5本弦のバンジョーへ、

南北戦争、レコードの普及、ジャズの影響などによる様々な変化をたどりながら現在に至っていること、

新大陸へのオールド・カマーであるスコッチ系アイリッシュの厳しい暮らしのなかでの音楽や

奴隷船と「アメイジング・グレイス」との関係など、

語れど尽きせぬ興味深いレクチャーをしてくださった。

 

精巧な木彫りや象嵌、螺鈿などきらびやかな装飾がなされたものなど、

楽器それ自体が美術品といえるレベルのバンジョーがたくさんあるとのこと。

石川さんは古いバンジョーもコレクションされており、

いまではアメリカのバンジョーコレクターから羨まれるほど素晴らしいものをお持ちのようだ。

石川修次さんのプロフィール

 

コーディネータ・元明治大学付属中野中学校・高等学校教諭
2005年度後期、2009年度後期、2011年度後期、2013年度後期、2015年度後期オープン講座レクチャー&コンサート「世界の民族音楽を聴く」出演者。1950年東京都に生まれる。國學院大學卒業後、明治大学付属中野中学高等学校の教員となり、現在に至る。大学では民俗学を学び、日本各地の民俗調査に携わる。中学時代にアメリカのフォークソングに出会い、1965年から5弦バンジョーを弾き始める。特にトラディショナル・フォーク・ミュージックに深い関心を持ち、伝承者の「人となり」を研究している。またバンジョーについての興味は尽きることなく、現在も19世紀後半から現代に至るバンジョーをめぐる文化的・社会的・歴史的背景について研究を続けている。

(「世界の民族音楽を聴く」レクチャー&コンサート 講師紹介より)

石川さんのバンジョー演奏はこちらで聴くことができます〜♪(隅田川フォークフェスティバル)

https://www.youtube.com/watch?v=jPjHizBc4To

 

 

つづいて寺田亮平さんによるトゥバの音楽。

3種類の楽器で演奏してくださったのだが、こちらは擦弦楽器の「イギル」。

 

寺田亮平さんのプロフィール

 

トゥバ音楽演奏家・喉歌歌手。1999年より喉歌を習い始める。国内修行のあと2010年より毎年夏の3ヶ月トゥバ共和国の首都クズルに滞在し、トゥバ第一線の音楽家達と交流しながら滞在修行する生活を続けている。ホーメイ、トゥバ語による伝統的な歌の他、伝統楽器イギル、ドシュプルール、ショールを演奏する。
師匠はモングンオール・オンダ−ル(チルギルチン)、アヤン・オール・サム(アラッシュ・アンサンブル)、ブルタンオール・アイドゥン(トゥバ・ナショナルオーケストラ)他。トゥバ語を理解し、現地の音楽コミュニティーに深く受け入れられた数少ない外国人演奏家であり、トゥバの伝統的な歌の聞き取りや翻訳作業、トゥバ各地方での撮影等フィールドワークも行っている。また国内では中央アジア、シベリア関係のコンサートや各種イベントも自身で手がけている。 

2015年現在までトゥバへ3ヶ月×6回、計1年6ヶ月間滞在し現地修行を続けており、国際シンポジウム他現地で受賞歴多数。

またチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院主催の日本の伝統音楽フェスティバル"ДУША ЯПОНИИ"(日本の心)にて、トゥバの音楽に取り組む日本人として出場するなど、活躍の幅を広げている。

The Tuva Republic is a federal subject of Russia located in the geographical center of Asia, in southern Siberia. The republic borders Mongolia to the south. Tuva is a region with a unique history, culture and nature. The Tuvan language is Turkic and the national art of "Tuvan throat singing” is world-renowned.
Terada Ryohei is a Japanese musician who performs the traditional music of Tuvan. He is a student of Mongun-ool Ondar who is a world-famous musician in Tuva and he has continuously stayed in Tuva every year for three months in summer for his studies of the Tuvan traditional music and language.

「トゥバ」ってどこにあるの?

 

ロシア連邦の構成主体であるトゥバ共和国はモンゴル国と接するアジア中央部・南シベリアに位置する共和国で、北海道2つ分くらいの面積に30万人ほどの人々が暮らしています。トゥバ人は文化的にはモンゴルに近い遊牧民でありながら、ウズベク、カザフなどと同じテュルク諸語であるトゥバ語を話す民族です。

(「世界の民族音楽を聴く」レクチャー&コンサート 講座詳細より)

 

 

こちらは撥弦楽器「ドシプルール」。

喉から声を出す「喉歌(フーメイ)」。

 

なぜ喉歌のような歌い方が発達したのかは資料もなく良く判らないが、

英雄叙事詩を装飾する目的で発達したのではないか、と考えている人は多いという。

 

ちなみに、楽器についている木彫りの馬頭はとても大切なものらしい。

「音が変わる」とかそういうことではなく、トゥバ音楽の魂の表象みたいなものだろうか。

 

はじめてのトゥバの音楽だったが、草原でギャロップする馬が見えるような気がする。

馬頭の楽器だけでなく、子牛の頭がついた楽器も披露していただいたが、

「あー、やっぱり馬だ〜」「あー、やっぱり牛だ〜」という音だった。

(寺田さん、むっちゃ低レベルの感想でゴメンなさい)

 

寺田亮平さんのブログはこちら

 

 

贅沢なライブの締めは、寺原太郎さんのバーンスリー演奏で!

バーンスリーというのは北インドの横笛。

 

「インドではどういう時間にどういう音楽を演奏するかが決まっているんです。

そう、たとえばこんな日の午後だったら、これかな」

「インド人にとって、これは蜂蜜のような甘さを感じる曲」

 

「おおっ、そうなのか!そういや音楽にもTPOがあって当たり前だ」とのっけから感動する。

とても贅沢なことのように思える。

 

音楽の素養がなく、ましてやインド音楽については何も知らない私だけれど、

寺田さんが「日本を代表するバーンスリー奏者」と紹介されておられたのが頷けた。

見た目はとてもシンプルな笛から、じつにゆたかな音色が「場」に広がっていく。

とろりとした黄金色のイメージが目に浮かぶような、色彩を喚起させる音。

 

‥‥ところで、子どものときに読んだ本で「笛で踊りだすコブラ」の挿絵があったけど

寺原さんの演奏を聴くと、ヘビも踊りたくなるだろうな〜。

 

寺原太郎さんのプロフィール(下記サイトより引用)

 

92年より巨匠ハリ・プラサード・チョウラスィア師の弟子である中川博志氏に、96年より巨匠ニキル・ベナルジー師の愛弟子H.アミット・ロイ氏に師事。06年より継続的にオーストラリアWoodford folk festivalに出演。07年坂本龍一プロデュース「ロハス・クラシックコンサート」出演。映画「手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ永遠に」(2011)、映画「るろうに剣心」(2012、2014)、スーパー歌舞伎供屮錺鵐圈璽后(2015)で挿入曲を演奏。インド、オーストラリア、南米、北米をはじめ国内外で演奏活動を行う。インド古典音楽の深い理解に基づく、叙情的かつダイナミックな演奏で、各方面より高い評価を受ける。

 

よかったらコチラも→寺原太郎さんのHP

 

* * *

 

次は何人かが持ってきてくださった、それぞれの "MY FAVORITE RUG" のお披露目と撮影会です〜!

 

 

こちらはなんとAさんがフランスの雑貨屋さんからゲットされたというペルシア絨毯。

デザインが華やかで、色使いがバツグンにきれい!

 

デザインはビジャーっぽい感じがするが、織りが薄くてどうも違うようだ。

Tさんが裏を見て「これはシングルウェフトだから、ハマダンかなぁ?」

 

 

Yさんがそれぞれのお気に入りラグを撮影してくださる。わーい!

 

12月末まで限定だが、クラウドに写真をアップしてくださった。

ウールの繊維の輝き、天然染料の奥深さが存分に味わえる写真です。

 

「歳月を経て毛羽を落としたウール」がこれほど美しいのを知る日本人は意外と少ない。

良質のウール、手撚り糸、天然染料が醸し出す美の世界〜〜!

「絨毯はシルクの方が高級」と思っておられる方がいたら、ぜひこの写真をご覧ください!

(一人で興奮しすぎ? 笑)

 

 「Y's EYE」絨毯写真

 

 

こちらはバルーチがお好きなSさんのお気に入り。

いずれもジャフ・クルドと呼ばれるトルコ〜イラク国境に住むグループの袋表。

キリッとした力強い文様は、一目見ただけで「ジャフクルドだ!」とわかる。

日光の下で見ればまばゆいばかりに輝く染色だが、室内でもじゅうぶん美しい。

 

「私も昔は、ダメージのない”堅気のピース”しか買わなかったんですが、

ぷぎーさんの影響を受けて、擦り切れたものも買うようになったんです」

 

‥‥うーむ、言われた本人としてはビミョー。

「堅気の人」を間違った「道ならぬ道」に引き込んでしまったのだろうか‥‥(笑)

 

 

もう一枚Sさんのもので、シャーセバンのマフラッシュ(大型収納袋)のパネル。

目が痛くなるほど細かいソマックがびっしり!

茜・インディゴ・緑そして黄色が美しい。

 

シャーセバンも時代が下ると織りが大きくなってくるが、古いものはさすがにイイ〜!

(こんなことを性懲りなく書くから「堅気の人」を道に迷わせるのだろうかーー反省)

 

 

こちらは石川さんのピース。トルコだということははっきりしているがシブリヒサール?

エリベリンデ(地母神)の力強いデザイン。コンディションもバツグン。

 

 

石川さんの超弩級アンティーク! 130年、もっと古いものかもしれない。

擦り切れによってではなく、緑色の酸化ぐあいとかで古さが感じられる。

 

輝く天然色はレイハンルが第一候補に浮かぶけれど、

菱形をふんだんに使った構図は「ラシュワン・クルド」にも多く見られる。

いずれにせよ素晴らしいピース。

 

 

中央部分のアップ。

色の切り替えやアブラッシュが美しい〜

 

 

こちらはYさんのお気に入り、トルクメンのテケ支族の古いフラグメント。

 

トルクメン絨毯も、自分たちのために丹精込めて織ったものと売るために織ったものではどこか違う。

一部が失われているが、縦の幅から考えてお輿入れのラクダに花嫁が敷く「ウエディング・ラグ」かもしれない。

縦糸が真っ白でピーンとして、織りもすごく細かい。

羊毛も選りすぐりのものを使い、織り技術の高さを見てくれと言わんばかりのピース。

 

 

こちらもYさんのもので、ルリ族の古い絨毯。

写真からも色の美しさとウールの艶やかさが伝わってくる。

 

 

ルリ族の絨毯はカシュガイ族に比べるとかなり少ない。

私の写真がイマイチなので、絨毯の良さが伝わらないかもしれないが、

きよらかな「童心」を感じさせる、マスターピースだと思う。

 

* * *

 

この後はうちにあるピースを広げて見ていただいたのだが、

私自身絨毯を出すのに必死で、写真が撮れずゴメンなさい。

 

それでも久々に絨毯好きの仲間とディープなラグ談義をすることができ、

「ギャラなしで演奏してもらっていいの?!」という素晴らしいミュージシャンの音楽を堪能し、

充実したつどいが持てて、本当にうれしい。

 

あー、生きててヨカッタ〜〜!

みなさまに心より感謝いたします!

 

今回のつどいを通して感じたこと、書きたいことはイロイロありますが、またの機会に〜

いろんなご事情で参加できなかった絨毯好きの仲間たち、また集まりましょうね〜!

 

 

2013.05.01 Wednesday

「絨毯好きのつどい」 at 自宅


連休初日の4月27日、自宅で「絨毯好きのつどい」を開きました。

昨年9月に「キリム内覧会」の記事をアップしたら意外に読んでくださった方が多く、
「こういう集まり、出るのもいいかも」と思われる方もいらっしゃるようです。
私としては「こんな絨毯もあるんですよ」と、できるだけ多くの方に見てもらいたいのですが、
まったく知らない人の自宅に行って絨毯やキリムを見るなんて……と思われる方も多いでしょう。
ですので、「こんな感じでやってます。よかったら次回はどうぞ!」という意味で
第二弾「内覧会」をご紹介したいと思います。

2013_0427_114213-P4270682 - コピー.JPG

今回、そもそもの発端はヤフオクで知り合った方がこのブログを読んでくださっていて
「よかったら絨毯を見に来ませんか?」とお誘いしたのがはじまりでした。
さらにフェイスブックで知り合った方や、先日トライブさんの「絨毯好きのつどい」でご一緒した方など、
今回は私を入れて総勢8名の集まりとなりました。
前回の「内覧会」は近所の友人ばかりだったのですが、今回ネットを通した枠が広がってうれしいです。

心配していたお天気もよく、絨毯やキリムの色を見るにはまずまずの条件。
(一部障子を開けているのは、自然光を入れるため。でもシャツなんか干されていて生活感まる出し……)
蛍光灯の光では良さが半減してしまうし、白熱灯は独特の雰囲気が出て良いものの、
染料やウール本来の風合いは自然光で見るのがいちばんです。

* * *

今回はYさんがご自宅からコレクションの一部を持ってきてくださり、さっそく見せていただくことに……

2013_0427_115534-P4270683 - コピー.JPG

「わーっ!」と、おもわず歓声がひろがりました。
トルコ・チョルム地方のキリムです。
トルコのキリムにはカラフルなものが多いのですが、
このチョルムはじつに多様な色糸を使い、ひんぱんに色を切り替えています。
一見「クレイジー」に見えながら、それがなんともアーティスティック!
織りも細かく、相当上手な人が織ったものと思われます。

20130427_115646.jpg

「これネットで見て、いいなーと思ったら、もう売れちゃってたんですよ!」という声も……
(みなさん食い入るように見つめておられます)

2013_0427_121343-P4270699.JPG

次はハムセのボテ絨毯。
このデザインはレアです。絨毯の本でも見たことがありません。
熟成された天然染料が美しく、可愛さと品の良さが両立した「宝石」のような絨毯。

2013_0427_123834-P4270700 - コピー.JPG

ベシール絨毯です。
私の写真ではうまく表現できていませんが、ベシール独特の熟成した赤。
このデザインは縦4〜5mほどもある大きなものが多いのですが日本の家庭でも使いやすいサイズ。
状態もよく、なかなかこれだけのベシールは出てきません。やりましたね、Yさん!

* * *

欧米のサイトを見ていて思うのは、「なんだか楽しそうにやってるな〜」ということです。
毎年サンフランシスコで開かれる"Antique Rug & Texitile Show"の写真を見ても
「いい年したおじちゃんたち(女性もいますがメインは男性)」が子どものようにはしゃいでいたりしますし、
"The New England Rug Society"というボストン周辺の絨毯クラブでは、
毎年5月は「絨毯ピクニック」を開いてのんびりしたり、そこで「絨毯オークション」や「絨毯交換会」なども開かれるようす。

散歩をしていると、わんこオーナーたちが集まって「うちのコは……」みたいな世間話をしてるけど
日本でもラグやキリムを持って集まって「うちのコ」自慢とか、できるようになるといいな〜

実際に参加したことはありませんが、欧米の絨毯好きは「社会的に成熟した大人」が多い印象を受けます。
かたや日本ではどうも「うさんくさい」感じが絨毯界につきまとっているようす。
バブル期にいわゆるペルシャ絨毯を法外な値段で売りつけた業者がいたり、
ネットで「トルコ絨毯」と検索すると、上位の方に「詐欺」の記事がヒットしたりと、
悲しいことに、なんとなくダーティーなイメージがあるんですね〜。
でも、絨毯って、本来、とてもいいものなんですよ。
そこをわかってほしいっす!

* * *

さて、この後はうちにあるキリムと絨毯をできるだけたくさん見てもらいました。

2013_0427_153145-P4270706.JPG

これはクルシェヒルのプレイヤー・ラグ。
このあと絨毯を広げるのが忙しくて、ほとんど写真が撮れなかったのですが、
Rug Lifeさんが写真を撮ってくださいましたので彼女からお借りしました。
それにしても今のスマホの写真機能ってすごいですね〜!
(いや、やっぱり腕ですね、腕。私がスマホで撮ってもこんなふうに撮れないもの)

20130427_145208.jpg
トルコ東部のクルド族のプレイヤー・ラグ。
これは古いです。150年ちかいと思いますが、天然染料がいまなお鮮やか。

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やはりトルコ東部のクルドと思われる、毛足の長い絨毯。
布団のようなものかもしれません。形はいびつですが艶がすごい。

20130427_170701_0.jpg

バルーチのサドルバッグ(片側)。白い部分はシルクです。
ハゲハゲ絨毯ばかりのマイ・コレクションの中では状態が良いもの。
自分では上手く撮れなかったのですが、上手に撮っていただきました。ありがとうございます!

20130427_171811.jpg

このバルーチも艶が光を反射してうまく撮れなかった絨毯ですが、
実物に近い感じが出ています。ウールがとてもやわらかくカシミアみたい。

20130427_170951_0.jpg

やはりバルーチ。なんとなく立体的に見えるから「3D絨毯」というニックネームをつけました。
トルクメンのギュルみたいな文様が下からブクブク湧いて生まれているように見えます。
色数は少ないけれど、奥行きを感じさせます。ボーダーなどを見ても、相当織りが上手。

20130427_162658_0.jpg

以前ご紹介したTimuriのメインカーペット。
この絨毯の一番の魅力は、深い深いインディゴと光る青(エレクトリックブルー)。
見ているうちに吸いこまれそうな絨毯です。

* * *

素晴らしい写真を撮ってくださったRug Lifeさんは、このつどいの記事も書いてくださっています。
その中で私が一番強い印象を受けたのは、つぎの箇所。

「今回、あらためて感じられたことは、特別魅力的な絨毯・キリムというのは、やはりどこかに意外性、遊びがあるということ。
上手な織りや質のいいウール、美しい色合い、個性的なデザイン。
良い絨毯を説明するにはそれだけでは足りなくて、整った中にあるどこか完璧じゃない部分、
奇妙なズレ、きまぐれにも思える色柄の変化や、左右非対称など、どこか引っかかる部分がある。
それらは偶然のように見えるけれども、実際は(無意識なのか意図的なのか、
体に流れる血によるものなのかわからないけれども)確かに計算が存在する。」

これは私も言葉ではうまく表現できないけれど、かねてから感じていたことでもありました。

建築家のクリストファー・アレグザンダーは「美しい建築とはなにか」という問題に非常にこだわり、
「『笑み』のような美しさを持った建築」、
「あらゆる芸術にとって核心的なこととは、精神の光を発するようなものをつくること」
といった発言をしています。

微妙な不規則性
「全体に影響を与えるシンメトリーや形態のなかに、かすかな不規則性があると、そのフィールドは分化される。
(手で引いた線はその線がよい線ならば機械で引いた線よりもよく見える。
微妙な不完全性がある手織物は規則的すぎる機械織物よりよく見える。)
微妙な不規則性からくる安心感があるからだ。
しかしそれは少しずつ変化をつけようとするわざとらしさからではなく、必然的なものでなければならない。
さもなければ不自然かつ幼稚な軽薄さにおちいってしまう。
(わざとらしくオノで粗く割られたヒノキや、古い幌馬車の車輪や、
わらが積んであるカリフォルニアのなんでもレストランの田舎風スタイルのように。)」
―スティーブン・グラボー著『クリストファー・アレグザンダー』「12の幾何学的特性」より。工作舎1989年―

私には彼の言っていることが難しくてよく解らないのですが、
「美しさとはどういうことか」をめぐっては、ところどころにハッとさせられる言葉があります。
じつは彼の存在を知ったのは、彼がトルコやコーカサスの絨毯のコレクターで本まで出ているからです。
高すぎて入手できていませんが、いつかその本をご紹介できればうれしいです。

* * *

まあ、そんなこんなで10時すぎからはじめて6時までずっとキリムや絨毯を見ました。
途中簡単なお昼をいただきましたが、3時のお茶をする余裕もなく、ひたすら絨毯と向かい合う時間。
「こんなふうに絨毯の裏をじっと見つめるようになったら、相当行っちゃってますよね」
という言葉が出るくらい、絨毯好きの集まりでした。
遠くからおいでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。

そしてこれからもこのような絨毯好きのつどいを開いていきたいと思います。
いずれはブログでも参加者募集の呼びかけをするかもしれません。
参加される方の条件はただひとつ、「絨毯が好き」なことだけです。
このブログを見てくださっているアナタも、次回はぜひ!

2012.09.01 Saturday

キリム「内覧会」


絨毯やキリムを集めていることをできるだけ秘密にしてきたワタシでしたが(物欲を知られたくないため)、
どうも最近それがくずれかかっているようです。


イラン Malayer の小さな絨毯のボテ文様

ことの発端は、Tribeの榊さんが市内のギャラリーで展示会を開いたときに、その近所に住む友人を誘ったことでした。
部族絨毯はけっこうディープな世界なので、けっして「万人受け」するものでは無いと思うのですが、
その友人は絨毯やキリムに「ビビビ」と来たようなのでした
展示会を見た後、「こんな世界があったんですね。興奮して眠れないかもしれません」というメールをもらい、
「そこまで?!」と驚いたほどでした。

その後、持っている絨毯やキリムを見てもらったらますますのめりこみ、
最近では“仲間を増やす”活動にまで発展しつつあります。


典型的な「村の絨毯」で、縦糸と横糸ともにコットン。パイルはウール。


ちなみに、ネットオークションで出品物を買っていただいた神奈川の男性が年に一回絨毯を見に来られます。
大体秋になるとメールをいただき、
「○月○日、いかがでしょうか?」「OKです〜」みたいな感じで日にちを設定し、
うちの毛織物を一緒に眺めて、「このクッタリ感がたまりませんねー」とか、「あー、いい色だー」とか盛り上がった後、
「それでは失礼」と帰られます。
それ以外のお付き合いはまったくないので、なにやら不思議な恒例行事になっています。

* * *

絨毯屋さんが開けるくらいたくさん集めてしまいました。ビジネスをするつもりはありませんが、
絨毯やキリムのよさをより多くの人に知ってもらいたい気持ちはあります。


裏面。色づかいが綺麗。

* * *

そんなわけで、先日彼女を含め3人をお呼びして「内覧会」を開きました。
題して、「毛織物で暑さを吹き飛ばせ」?!



バッグフェイスを見ているところ。
右列:上から上記のMalayerのボテ文様、下二つはバルーチのミナハニ文様
左列:上から南ペルシア(ハムセ連合?)、バルーチのスノー・フレイク、ムシュワニ
障子のそばに積んであるのは、上からトルコのキリム、コーカサスのベルネアなど。
写真左下にあるのはアフガンのハザラ族のカットキリム。



お一人は美大出身で、染色と織りを教えられているかた。絵も描かれるらしい。
いいなあ、自分でものをつくりだせる人って、つくづく尊敬しちゃう。
こういった部族絨毯やキリムをまとまってご覧になるのは初めてだったようですが、
「これだけあれば、展示会をするといいのに〜」と言ってくださった。
「どこそこに安く借りられるギャラリーがあるよ」とか、
ご自身の絵や織物の展覧会などをされている経験からの、貴重なアドバイスをいただきました。

どうやって人に見に来てもらえるか、重い毛織物をどうやって展示するかなど、
難しい課題はたくさんあると思いますが、できるだけ前向きに考えていきたいです。

日本でいわゆる「ペルシャ絨毯」やキリムが90年代にちょっとしたブームになったのは、バブルの恩恵もあったのでしょう。
いまは経済も悪く、「それどころじゃないよ」と言われてしまえばそれまでですが、
美しいものは、気持ちを晴れやかにする力を持っていると思います。

とくに部族絨毯やキリムの暖かみは、工業化されたモノにはないパワーを持っていると信じて……



このブログをはじめたときにご紹介したレイハンルのキリム。
これをお見せすると、いつも「わーっ!」という感じになります。

床の間に飾ってあるのは(苦笑)、コーカサスのプレイヤー・ラグ。



ガジアンテップあたりの発色のよいキリム。
11時から5時まで、お昼をはさんでキリムと絨毯の世界を楽しみました。

大判のキリムは自分ひとりだと広げるのが大変なこともあって、なかなか眺める機会がありません。
絨毯やキリムは日常的に使って楽しむのが一番ですが、
コンディションやその他もろもろの理由で、わたしのはほとんどが「保管状態」です。
絨毯やキリムに虫やカビを発生させないためには、風を通してあげるだけでも効果があるので、
毛織物のメンテの意味でも、良かったです。

自分が好きで集めたものですから、やっぱり見ていて楽しかったなー。
キリムや絨毯も風が通って気持ちよかったかな?

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