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2020.02.21 Friday

34. eBay で買ったコーカサスキリム

 

「わたしの絨毯遍歴」に話を戻すと、

eBay をはじめた 2009年ごろは、コーカサスのキリムに興味があった。

 

あくまでも一般論だが、華やかなものが好みの人はトルコキリム、

実用に耐え、和風インテリアにも馴染みやすいものを求める人はアフガンキリム、

というのが日本の傾向のように思える。

 

これに比べてコーカサスキリムは流通している数が少ないので、

実物をご覧になったことがない方も多いのではないかと思う。

 

わたしが初めてコーカサスキリムを手にしたのは、

ヤフオクで買った「キリムの端切れセット」にちっちゃな端切れが入っていたときだ。

茜と藍と生成りのボーダーだったが、

その茜と藍が、日本人の感性にぴったりくる落ち着いた色で、とても気に入った。

 

eBay を見はじめると、オリジナルな大きさのコーカサスキリムがちらほら見つかった。

 

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これは、アメリカ在住のトルコ人出品者が撮った写真で、

実物よりも色がやや強めに出ている。

 

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これはうちのベランダで太陽光の下で撮った写真。

色はこちらの方が実物に近い。

白糸はコットンだが、あとはウール。

 

タテ糸は生成りと茶色のウールの双糸で、コーカサスのキリムや絨毯によく見られる。

ヨコ糸の特徴は、なんといっても糸の細さ!

タテ糸はそれなりの太さなのに、ヨコ糸は毛糸とは思えないほど細い。

これほど細いと、傷んだ部分の修復はとても難しく、このキリムはリペア部分がすぐ分かった。

 

茜は、レンガ色というのか、やや茶色がかった温かみのある色で、

藍は、ミッドナイトブルーに近い濃色から、緑がかった淡い色まで、驚くほどのバリエーションがある。

茶色は、もともとの羊の毛の色で染めていないようだ。

 

前回の記事で「シャルキョイはそもそも羊が違う」という話があったが、

このコーカサスキリムの糸も、驚くほど長い繊維のウールがあってこそだろう。

どんな羊の毛なのか知りたいところだ。

 

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これはスイスの出品者から購入したコーカサスキリム。

 

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やはりタテ糸は生成りと茶色の双糸。

ヨコ糸は、茜と藍と茶のほかにやさしい黄色が入っている。

うす茶糸の部分は、糸の感じがもっさりしているので、たぶんラクダだと思う。

 

コーカサスキリムはこういったボーダー柄が多いので、

トルコのキリムに比べたら、あまり織り手の創造性は発揮できないかもしれないが、

こんな細い糸を使って、大きなキリムをきちんと織りあげるのは大変だと思う。

スリット織りや、ジジム織りも使われている。

 

トルコキリムの大きなものは二枚接ぎが多いが、コーカサスは一枚もの。

おそらく「牧畜」をする村で、ガッチリした織り機を使って織られたものではないだろうか。

 

細い糸を可能にする長い長い繊維の羊毛。

どんな羊なのか、見てみたいなあ。

 

 

 

 

2020.02.02 Sunday

33. のがした獲物は大きかった

 

心を入れ替えて「わたしの絨毯遍歴」シリーズに戻りたいと思うけれど

夫が入院したり、セキセイインコの幼鳥を迎え入れたりして、なんとなく慌ただしい。

 

まだ落ち着いてブログの記事を書けない感じなので、

今回は、欲しいなあと思っていたが、手に入れることができなかったピースについて。

 

まず、eBay 編。

 

「31. はじめてのeBay」で取り上げた「ムシュワニ」絨毯のように

超格安で良いものがゲットできるときもあれば、

「たぶんゲットできるだろう」とこちらが油断して

入札価格を低めにしておいたりすると、

ダークホースが現れて、

「欲しかったのに、くやしい〜!」というときもあった。

 

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これはシャーセバンのバッグフェイス。

柔らかで艶のあるウールも魅力だが、

なんといっても使われている色がすばらしい。

モチーフも、見ていて笑みがこぼれます。

 

終了日当日までだれも入札しておらず、

わたしはたしか$400ぐらいで入れていたと思うが、

入札終了してみたら、たしか$800前後になっていて、惨敗。

わたし以外に3人ほどが争っていた。

 

シャーセバンは平織りが多くて、パイル織の絨毯は少ない。

ソマックなども素晴らしいのだが、レアなパイル織は

コアなファンが狙っているのだろう。

 

eBay で、本気の入札者は最後の最後で攻めてくる

 

* * *

 

これもたぶん eBay だったと思う。

 

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これもシャーセバンのパイル織絨毯。

茶色はラクダの毛だと思う。

 

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上半分。

ボテが可愛すぎる〜〜!

 

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真ん中より少し下に女の子が二人いる。

左手のボーダーラインのギザギザ具合といい、

それでいて全体の調和が神レベル!

 

これはいくらで負けたのか、覚えていないが、

相当な高値で、わたしには手が届かない値段だったような気がする。

 

* * *

 

次は rugrabbit 編。

rugrabbit は入札じゃなくて、メールで直接交渉のシステム。

結局、問い合わせはせずに「いいなあ、、、」で終わったピース。

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これはボーダーの赤い(オレンジ?)染料がケミカルっぽいけれど、

静かで、品がある構図。

フィールドはやっぱりラクダの毛だと思うけれど、濃淡がいい。

 

一見、トルコ絨毯の雰囲気もあるが、

メインボーダーはコーカサスに多いもので、これもシャーセバンかなあ?

 

* * *

 

つぎは、eBay の番外編でナバホ・ラグ。

 

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見よ、この平和な佇まい!

 

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わたしはナバホ・ラグを一枚も持っておらず、

どんな質感か知らないのだけれど、

キリッと紡いだウールの糸が美しいです。

 

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ずっと見ていても飽きない。

十字モチーフのせいか、

「祈り」を感じさせます。

 

* * *

 

最後は、マーラ・マレットさん編。

 

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これは、買えない値段ではなかったけれど、

すでにウチの絨毯が飽和状態だったので、あきらめました。

ピンクっぽい染料にちょっと引っかかるけれど、

モチーフの配置などが、とっても好みだった。

 

そして最後に、「これだけは頑張って買うべきだった」アイドゥン・チネ。

 

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マーラ・マレットさんは良心的な価格設定なのだけれど、

これだけは結構高かった。

そしてやはり、ボーダー部分の赤色に不安があったので、

ずーっと迷いつづけていたら、

ある日、売れていたのです。

 

あんまり後悔することってないのだけれど、

このキリムだけは、高くても、

歯を食いしばって買うべきだったと思うのです。

 

 

 

2019.12.10 Tuesday

32. 英語ができなくてもなんとかなるeBay

 

いまでも英語はしゃべれないが、eBay から絨毯を買いはじめた2009年はもっと英語がダメだった。

それでもオークションのシステムがよくできていたので、困ったことはない。

 

落札すると、送料込みの金額が画面に現れ、

Paypal で支払いを済ませると、あとは商品が届くのを待つだけだ。

 

入札前に商品について質問があるときや、

"Best offer" という「値引きしていただけませんか?」というシステムのときだけ

ちょこっと英語でやり取りすればよかった。

 

eBay にはアメリカだけでなく世界各国から出品できるので、

あまり英語が達者でない出品者もいた。

 

「ワタシ、英語できないで〜す」

「Oh, yes! ワタシも英語できないで〜す」

みたいな同士でも、きちんと取引できたのだ www

 

* * *

 

ヤフオクもいまは出品者と直接に連絡しなくてもよいシステムになっているが

2009年当時はまだ出品者と直接やり取りする必要があった。

もっと前はネット送金が発達しておらず、落札するたびに郵便局に行って振り込みしたりしていた。

 

デジタル化の進展はめざましく、隔世の感がある。

 

IMG_1007.jpg

 

さて、記事があまりに短くてもナンなので、お気に入りのバッグフェイスの写真でお茶を濁すことにする。

 

今回も「蛸唐草」っぽい文様のバルーチ。色合いからたぶんシスタン地方のもの。

 

IMG_1006.jpg

 

裏を見るとほとんどデプレスがない。

このレンガ色は落ち着いていながら、どこか鮮やかな感じがする。

 

IMG_1002.jpg

 

全体像。

かなり歪みもあり、ハゲハゲ部分も多いけれど、とても気に入っている。

やはり色が決め手かな。

緑色もインディゴも、すべての色に深みがあって、見ていて飽きない。

 

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ウールも艶があっていい感じ。

 

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メダリオン部分。

「蛸唐草」の線を辿ると、心地よい「ゆらぎ」を感じる。

それでいて、力づよい。

 

IMG_1003.jpg

 

キリムエンドは浮き綾織りになっていて、

そんなにピシッとした織りでもないのに、見ていて心地よい。

経糸のウールも「ヒツジさ〜ん!」と叫びたくなる。 笑

 

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バッグフェイスは小さいので、手元に置いてナデナデするのに最適〜 

 

2019.11.29 Friday

31. はじめての eBay

 

ペイパル&フェデックスのお買物に味をしめて、

海外での買物への警戒心がなくなったワタシは、さらなる買物中毒を深めていった。

 

いちばん不安だったのは「お金を払ったのに品物が来なかったらどうしよう」

ということだったが、これまで一度もそういうことはなかった。

 

イヤ、正確に言えば、二度ほど到着が非常に遅れたことがあった。

どちらも相手の人柄を信頼していたので、焦ることはなく、

「まだ届かないのですが、どうしたのでしょう?」みたいなメールを送った。

 

1件目は、船便で送るとのことだったが、2ヶ月たつのに届かない。

いくら船便でも遅すぎると思って確認のメールを送ると、なんとまだ発送していなかった。

当時、お店の近くで国際ニュースになるような事件が発生しており、

もしかしたらその影響があったか、店主が精神的に参っていたのかもしれないと思ったりした。

「申し訳ない」、とのことで船便を航空便に振り替えて、無事届いた。

 

2件目は、パキスタンからバルーチのプレイヤーラグを買ったときだった。

やはりひと月近く届かないので、ディーラーにメールすると

「そんなはずはありません。すぐ送りました」という。

念のため、郵便局に確認したもらったら、

「郵便局にまだありました! 置き場のすみっこに丸まっていました!」とのこと。

 

昔のバルーチは薄いので、たたむととても小さくなる。

しかもそのディーラーは、薄いコットンの枕カバーみたいな袋に入れて送るので、

「なんか布切れを丸めたもの」が置き場にころがっているな、と思われたらしい。

「あんれ、まあ」ということで、すぐ郵送されて、無事に我が家に到着した。

 

そんな遅延があったものの、品物が紛失したことは一度もなかった。

 

* * *

 

話が脱線してしまったが、はじめてeBay に参入したのは2009年の7月だと思う。 

 

最初に取引したのは、eBay にたくさんトライバルラグを出しているディーラーだった。

その人は rugrabbit には参加していなかった。

 

(後でわかったことだが、eBay と rugrabbit の両方に出品している人もけっこういる。

手放したいピースで、コレクター向きのものは rugrabbit 、すこし落ちるものは eBay に出している感じだ)

 

写真の撮り方がうまく、最初は「おっ!」と目を惹かれる。

でも、よく観察していると、絨毯がよく見えるようにライトを当てている場合もあった。

 

その後、彼から10枚ほど買ったが、受けとってみて「イヤッホー!」ではなく「まずまず」な感じ。

この値段なら文句はない、でも、完璧に満足するほどではない、というところか。

 

ただ、商品の説明文はとても詳しく、正確だったので、

私は写真を眺めながら、そのピースの部族やデザインや織りなどについて、ずいぶん勉強させてもらった。

 

* * *

 

次に eBay で買ったピースは大当たりだった。

 

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バルーチ系の「ムシュワニ」と呼ばれるトルコ結びのピース。

これもブログには何度か出している。

 

「ムシュワニ」は、アフガニスタン西北部に住むエスニックグループだが、

彼らが近年織っているものとはずいぶん雰囲気がちがう。

バルーチでもトルコ結びの場合は、「バールリ」というグループが織ったものだという人もいる。

 

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藤色や優しげな緑色など、バルーチ絨毯には少ない中間色が使われている。

ウールも柔らかく、艶があり、しっとりとした優しい手触り。

 

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120年以上は経っていると思うが、キリムエンドやフリンジもよく残っていて、

この年代にしてはコンディションがとても良い。

 

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蛸唐草に似た文様も生き生きとして、動きが感じられる。

 

かなり上手な人が織ったと思うのに、全体像の写真のアウトボーダーを見ると

ふいっと気まぐれに文様を切り替えていたりして、自由気ままに織った部分もある。

 

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昔のハードディスクに eBay 出品者の写真が残っていた!

 

出品者は画商で、20年ほど前に定評のある絨毯屋で購入したと説明があった。

 

このすばらしい絨毯は、ラッキーなことに私以外の入札者がおらず、

なんと、送料込みで455ドル(たぶん絨毯自体は400ドル)だったのだ!

個人的には、マルが一つ増えても全然おかしくないと思っている。

 

.....うーん、これをブログに書くかどうか迷ったのだが、

自分的にはショッキングな「事件」だったので、あえて書く。

 

だからといって、私がお得な買い物ばかりした、、、とは思わないでくださいね。

「あちゃー!」な失敗もいっぱいしたし、高めのラグを買っちゃったりもしたのだから。

 

* * *

 

昔、欧米では、色の暗いバルーチ絨毯は人気がなかったが、

一部のコレクターがバルーチ絨毯の本を出したり展覧会を開いたりして徐々に人気が出はじめた。

 

うちで「絨毯好きのつどい」を開いても、

やはり華やかなトルコキリムやラブリーなカシュガイ絨毯に人気があるなと思う。

 

でも、バルーチ絨毯ってすばらしいと思うんだけどな。

もちろん、最近のものじゃない。

古いバルーチ絨毯すべてがすばらしいと言うつもりもないけれど、

 

静謐で、霊感に満ちていて、心をきよめてくれるような、

すばらしいバルーチ絨毯を

もっとたくさんの人にわかってほしい。

 

 

 

 

2019.11.24 Sunday

30. 本もいろいろ買っていた

 

「わたしの絨毯遍歴」で、これまでの買い物を振り返るのに、あまりきちんとした記録がない。

残っているのはペイパルの購入記録ぐらいだが、それを見ると

Knights Antiques の絨毯のあとに、Powell's Books から本を購入しているようだ。

具体的にどんな本を買ったのかは、記録が残っていない。

 

日本で販売されている絨毯やキリムの本、雑誌をある程度入手してからは、

日本人のキリム屋さんが扱っていたトルコの本や、アマゾンで扱う英語の本も買うようになった。

英語の本といっても、最初は写真を眺めるだけで、文章はパス〜!

それでもじゅうぶん満足していた。

 

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まず、トルコ文化観光省の"ANATOLIAN KILIMS" 。

 

200枚のアンティークキリムが、オールカラーで掲載されている。

見開きの左ページに全体像、右ページに詳細写真と文様の説明がある。

日本のキリム好きの人なら、たいてい持っている本だと思う。

 

トルコにもコンヤ、マラティア、ムットなど、キリムの産地がたくさんあって、

パッと全体像をみて、これはどの産地かを推定できるようになりたいな〜と思いながら眺めた。

 

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たぶんアマゾンで買ったはずだけど、この本をお持ちの方も多いと思う。

Thames&Hudon 社の "KILIM  The Complete Guide" 。

 

トルコだけでなく、ペルシャ、コーカサス、アフガニスタン、中央アジア、北アフリカの

代表的キリムが掲載されている。

 

こちらは写真だけでなく説明文も充実していて、英語も比較的読みやすい。

"Making Kilims"  "Motifs and Symbolism"  など、キリムについて幅広く説明されている。

キリムについて知りたい人が「どれか一冊だけ」買うとすれば、イチオシはこの本だろう。

(そう言いながら、私も好きな部分だけ読んで、全体は理解していない、、、)

 

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上記と同じ出版社、同じ執筆陣の本。

これも日本のキリム好きなら「私も持ってる〜!」という人が多いと思う。

 

「キリムをどんな風にインテリアに生かすか」というテーマに沿った本だが、

キリムそのものについてもきちんとした説明があり、内容が充実している。

 

それにしても、欧米のインテリア写真って、どうしてこんなに素敵なんだろう〜!

それに、どこか知性を感じさせる。

まあ、天井の高さも部屋の広さも、日本の一般家庭とは違うから仕方がないけれど、

自分がマネしようと思っても、こんな素敵な空間にはならないわ〜

 

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上の本はキリムを使ったインテリアだけれど、こちらは絨毯版。

掲載されている絨毯の産地は幅広く、

イラン、トルコ、コーカサス、中央アジア、インド、パキスタン、

北アフリカ、中国、チベット、ヨーロッパ、アメリカ、、、と世界中を網羅している。

(...が、なぜかアフガニスタンが入っていない〜!)

 

自分が持っておらず、見たこともない絨毯がたくさん載っているので、

今度ゆっくり読んでみたいが、いつになることやら、、、

「ヨーロッパ」のうち「ルーマニア、ベッサラビア」などに興味がある。

 

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こちらは Soma Books という出版社の本で、

題名は "KILIMS" だけれど、部族絨毯も含めた、インテリア&基本情報の本。

 

どうなんでしょう、すばらしいキリムや絨毯もあるけれど、

バリバリのケミカルのピースもあったりして、

眺めていると、個人的にはちょっとアンバランスな気持ちになる。

 

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衝撃的なのは、この写真。

出荷前の調整として、青が褪色している部分をペンキで塗っている。

こんなことしたら、水洗いしたとき染料が流れるんじゃないでしょうか、、、

 

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TODTRI という出版社の "Oriental Rugs” 。

 

わずか64ページの小さくて薄い本だが、

絨毯に興味を持った人が最初に手に取る洋書としてはイチオシ!

絨毯の歴史、地理、織り、染料、デザイン、

それから各産地の代表的デザインの絨毯。

 

本当にコンパクトながら、要所を押さえたスバラシイ本です!

掲載されているピースも、個人的にはぜんぶ好き!

 

* * *

 

最初の本以外は、すべて日本のアマゾンで買ったと思う。

 

写真を眺めるだけでも楽しいし、

すこし余裕が出てきたら文章も読んでみる。

 

すると、これまで謎だったことが、少しだけわかるようになる。

 

絨毯やキリムを集める楽しさは、

もちろんそれ自体が魅力的なこともあるけれど、

少しずつ世界が広がっていくような気がするからかもしれない。

 

いや〜、絨毯って、いいよね〜!

 

 

2019.11.16 Saturday

29. 「コンディション」よりも大切に思うこと

 

いまでは「ハゲハゲ絨毯あたりまえ〜」になってしまった私だが

もちろん最初からそうだったわけではない。

日本で売っている絨毯やキリムは、

たとえオールドやアンティークでも、比較的状態の良いものがほとんどだ。

 

穴の空いたキリムやハゲハゲの絨毯を美しいと感じるようになるとは、これいかに?!

 

振り返ってみると、やはり Knight Antiques での買い物がきっかけとなっている。

 

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この Timuri (Baluch 系) 絨毯もブログで何回か取り上げているものだが

個人的にはうちの「ナンバー2」だと思っている。

 

ご覧の通り、コンディションは良いとは言えず、パイルが薄くなった部分がけっこうある。

 

それでもこの絨毯の色の深みと、コンポジションはすばらしいと思う。

 

このデザインは定型化されたもので、オールド絨毯でもときどき見かける。

アフガンでは「ペンシルケース」デザインと呼ぶこともあるが、通称である。

 

絨毯が届いてはじめて広げて見たとき、

とても神聖な気持ちになった。

 

言い古された感のある言葉だが、「オーラ」が絨毯から立ち上ってくるような気がした。

 

「いのちはつづく」

...大げさだけれど、そんなメッセージが絨毯から聞こえてきたのである。

 

* * *

 

前回、有名オークションでも「平凡なものもたくさん出ている」と書いたが、

ほとんどの絨毯は平凡だと思う。

百枚、二百枚、三百枚、、、千枚見ていって、「あっ!」という絨毯に出会う。

 

たまにしか巡り合わないマスターピース。

わたしは初期にその二枚と出会ってしまって、その後はそれほどでもなかったが、

いずれにしても、自分にとってのマスターピースと巡り合うことができて、よかった。

 

その絨毯が本当に良いものかどうかが、後になって判ることがある。

 

それは「比較」を通して、だ。

 

たとえば、おなじ Timiri の赤ベースの絨毯。

 

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ボーダーなどは違うけれど、フィールド内のモチーフは同類のものだ。

茶色のパイルはすり減っているが、上に比べるとコンディションは良い。

大きさは上のものよりもひと回り小さい。

 

最初は「青ベース」と「赤ベース」が揃って嬉しがっていたのだが、

じっくり眺めるうちに、色の深みや絨毯のもつオーラの違いが気になりはじめた。

 

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上の絨毯を太陽光のもとで撮った写真

 

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下の絨毯を屋内で撮った写真

 

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下の絨毯の細部を見て、マゼンタ色は化学染料のような気がするし

インディゴ色も深みがいまひとつない。

 

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上の絨毯には大きな穴があって、裏側から茶色のリネンでツギあてがしてある。

 

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ツギあては裏側から見るとこんな感じ。

 

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ソマック部分もかなり剥げてタテ糸がむき出しになっているが、

にぶく光る糸の美しいこと! (そう感じるのはワタシだけか、、、)

 

「コンディションよりも大切なものがある!」

 

それを全身で感じて以来、わたしは道ならぬ道を歩きはじめた。  

 

* * *

 

手元の『名品茶碗』(世界文化社 昭和61年)にある、通称「馬蝗絆」の写真。

("かすがい"のことを中国で「馬蝗絆」と呼ぶからという)

 

「砧青磁は南宋時代、浙江省龍泉窯の産」

 

IMG_0985.jpg

 

「この茶碗は平重盛が宋の育王山に黄金を寄付した返礼として、

時の住持仏照禅師から贈られたと伝えられ、

のち足利義政に伝わって秘蔵された。

このとき、底にひび割れがあるため、明に送って同様な茶碗を求めたところ、

明では、このような名器は再び得がたいと、鎹(かすがい)を打って返送してきたという」(P31)

 

* * *

 

この本を買ったのは、わたしが絨毯にハマるはるか昔のこと。

 

それでもこのうつくしい器の記憶が、絨毯の旅をしていて、不意によみがえった。

 

Timuri 絨毯と、馬蝗絆。

 

重要文化財の馬蝗絆は、ずっと見たいと思いつづけて、叶わないでいる。

でも、この Timuri 絨毯はいつでも見れるし、触れるんだ〜 笑

 

 

2019.11.10 Sunday

28. 絨毯の「相場」とは

 

前回のカシュガイ絨毯について「『相場』から言えばかなりリーズナブル」と書いたが、

そもそも、アンティーク絨毯の「相場」って基準はどこ? という問題がある。

新しい絨毯なら、産地や工房や品質ランクなどで、単位面積あたりの価格が大体決まっているようだが、

アンティーク絨毯は、小さくても高いものもあって、面積で価格は測れない。

「相場」は、かなり曖昧模糊としたものである。

 

私はプロでもなんでもない一人の愛好家にすぎず、

おもに eBay と rugrabbit で絨毯とキリムを買ってきたので、

どちらかといえば「安値ゾーン」で形成された「相場感」なのである。

 

前回のカシュガイ絨毯のあと「それを超える絨毯には出会わなかった」と書いたけれど、

力のあるディーラーともっと付き合っていたり、

サザビーズ、クリスティーズに代表される有名オークションに参加したりしていれば、

たぶん、あのカシュガイ絨毯を超える逸品に出会っていただろうと思う。

 

有名オークションだからといって、良いものばかりとは限らない。

大変な量の絨毯が扱われるので、平凡なものだってたくさん出ている。

 

でもディーラーは絨毯の中でも超一級品は、eBay や  rugrabbit には出さないはずだ。

大切な顧客に、個人的にオファーするか、有名オークションに出すだろう。

 

最近また欧米の絨毯雑誌をパラパラ読んでいるのだが、

90年代の有名オークションでの落札価格を見て、あらためてビックリした。

トライバルラグでも、村の絨毯でも、私にはとても手が出ない値段なのだ。

 

この時期の有名オークション価格の「相場」と、わたしの「相場」では、ものすごい開きがある。

 

わたしが集めた絨毯は「安値ゾーン」を必死で探して手に入れたものなので、

安易に「相場」なんて言っちゃいけなかったな、と思っている。

 

* * *

 

さて、前回「成功」とは言えなかったハムセ連合のバードラグ、

きょうは天気がいいので虫干しをするついでに、眺めてみた。

 

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(気になっていたのは、「手より糸ではないのではないか」という点。

というのは、天然染料を使っても「紡績糸」では味わいに欠けるように思うからだ。

トルコのボザラン村の絨毯は、今なお天然染料を使っているが、使われている糸が紡績糸で、

一枚買ってしげしげと眺めたが、「やはり紡績糸では味わいがない」と感じた。

おそらく紡績糸では染料の浸透が均一になるため、微妙な色の奥行きが出ないのだと思う)

 

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バードラグはアフシャール族も織るが、

タテ糸が茶色の羊毛だし、ボーダーの模様などはやはりハムセかなと思う。

 

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この写真では、赤の濃淡がケミカルに見える方もおられるかと思うが、肉眼では違和感がない。

 

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トルコ結びで、織りは粗め。

羊毛の質はそんなに良くない。ちょっとパサパサしている。

 

キリムは糸の腹がしっかり見えるので、手紡ぎかどうかは判るのだが、絨毯は判りにくい。

ただ、キリムエンドの糸の腹を見たら、太さが均一ではないようなので

やっぱり手紡ぎ糸なのかなあ。

 

写真では良く見えるのに、実物見たら「アレッ?」の理由は、

いまのところ、まだ、よくわかりません。

 

ヘンな終わりかたですが、今回はここまで。

チャンチャン!

 

 

 

 

 

2019.11.07 Thursday

27. ディーラーと仲良くなる利点

 

はじめて海外からキリムを買ったのは、2009年の5月6日だった。

 

前回書き忘れていたが、ペイパルを使うためにはアカウントをつくり、

手持ちのクレジットカードと連動させる作業が必要だった。

その後、5年くらい前だったろうか、セキュリティ強化の一環として

本人確認を確実にするために、免許証のコピーを提出した記憶がある。

 

ペイパルも今は日本語のサイトがあり、利用している日本人も増えたのではないだろうか。

もう6年近く海外からの買い物はしていないので、最近の事情はよくわからない。

 

* * *

 

「ギャッベ出身者」だけあって、当時はおもにカシュガイ族に心惹かれていた。

Knights Antiques から買ったキリムが好みにドンピシャだったこと、

ペイパルやフェデックスの便利さに味をしめたことで、

つい続けてハムセ連合のバードラグを買ってしまった。

 

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この絨毯はコンディションも良いし、写真ではなかなか良く見える。

ところが実際に接してみると、いまひとつの感じがある。

うちに来てくださった何人かにお見せしても、「、、、」みたいな反応なのだ。

 

ハムセ連合のものは、たいてい「胸キュン!」になってしまうのに、これは「、、、」なのである。(しつこい)

なぜなのか???

ひとつには、カラーパレットが青みがかっているため、沈んだ感じを受けること。

すべて天然染料だと思うけれど、どことなく奥行きにかける感じがする。

あとは、羊毛の糸が「均質」な感じで、もしかしたら手撚り糸ではないのではないか?

という気もする。

 

トライバルラグの一つの特性である、若干の「歪み」もあるが、

この絨毯は「商品」として織られたのかもしれない。

 

* * *

 

まあ、このハムセ絨毯は「成功」とは言えないかもしれないが、

カシュガイとハムセと、二枚つづけて買ったおかげで、思わぬ幸運が飛び込んできた。

 

P5116869.JPG

 

ブログに何回も載せているので、ご存知の方も多いと思うが、

店主から、この絨毯のオファーが来たのである。

 

「この絨毯は、私が扱ったカシュガイ絨毯の中でも特別なものです。

ホームページには載せていません。

本来の価格は◯◯◯ポンドですが、特別に◯◯◯ポンドでご提供できます。

いかがでしょうか?」

という内容だった。

 

こんな形で絨毯店から直接オファーを受けたことがなかった私は、ちょっとビックリした。

「なんか、罠があったらどうしよう」という思いも念頭をよぎった。

 

でも、きちんとしたお店のようだし、

メールで送られてきた画像は素晴らしかった。

 

この絨毯は、私が買った絨毯のなかで最高額のものである。

(それでも「相場」から言えば、かなりリーズナブルな価格だと思う)

 

そしてクオリティの面からいっても、私のところへ来た絨毯のなかで最高のものである。

 

* * *

 

それにしても、ホームページに載っていない「とっておき」絨毯をなぜオファーしてくれたのか?

 

このあとフェイスブックに登録して、店主のページを見たら

どうやらお子さんが結婚されたようだった。

もしかしたら、結婚のお祝いのために現金が必要だったのかな?と思ったりもする。

 

いずれにしても、海外から絨毯を買いはじめてまもなく、私にとっては最高の絨毯を手に入れることができた。

その後、自分でも呆れるほど絨毯を購入したが、これ以上の絨毯に巡り合うことはなかった。

 

* * *

 

このお店は6,7年前に "Knights Oriental Rugs" と店名を変更した。

理由は、アンティークが少なくなってきたからだと思う。

 

現在はロンドンからコッツウォルズに移転して、また店名が変わっているようだ。

 

今はペイパルから「ポチッ」と購入するシステムではなくなり、

メールを出して交渉して、、、という流れのようだ。

 

絨毯の価格も、全般的に驚くほど高くなっている。

 

日本の骨董の世界もそうだが、

骨董というのは新しくつくることができない。

いまある品物をぐるぐる巡らせる以外に方法がない。

 

コレクターのところでしばらく滞在したあと、

所有者がなんらかの理由でそれを手放さないと、

流通する良品が少なくなっていくのは当然とも言える。

 

* * *

 

アメリカの絨毯雑誌に「ディーラーと仲良くなりましょう」という記事があった。

90年代末の記事なので、状況が少し違うが、なるほどと思う。

 

「見識が高く、力があり、自分と好みが似ているディーラーと仲良くなる利点はたくさんあります。

絨毯についていろいろ教えてくれるし、

あなたの好みも理解してくれているので、

あなたにふさわしい絨毯を見つけてくれ、

よい買い物をすることができます。

 

ディーラーによっては、不要になった絨毯を下取りしてくれ、

現在の好みにあった絨毯を買う資金に充当することもできます」

 

、、、といったような内容だった。

 

ディーラーと仲良くなる利点を、こういう時代だからこそ

再度考えてみるのもよいだろう。

 

 

 

 

2019.10.25 Friday

26. 海外からはじめてのお買い物

 

国内での「わたしの絨毯遍歴」について、まだ書くべきことがあるのだけれど

内容について決められないうちに、時間だけが経ってしまった。

それはそれで後日書くことにして、今回は海外からはじめてラグを買ったことを書きたい。

 

* * *

 

絨毯やキリムにハマるにつれ、「やっぱり古いモノに良品が多い」と感じるようになった。

染色、上質なウールで「梳きや撚りの工程」も含めた糸質、文様の力強さ、

これらすべての点ですぐれた物が多い、アンティークの絨毯・キリムへと関心が移っていった。

 

もちろん国内でもアンティークは売られているが、点数が限られており、かなり高額になってくる。

 

Fさんのブログで存在を知ったトーマス・コールのサイトをのぞいてみると、

いいなあと思うアンティークがたくさん載っていた。

けれど値段が書かれていない!

 

その時点では、質問する度胸がなかった。

質問した以上は、購入についての意思が問われるだろうし、

自分の英語力にも自信がなかったので、ただ指をくわえて見ているだけだった。

 

ところがある日「明朗会計」の英語のサイトを発見した!

ロンドンにある "Knights Antiques" というお店で、

それぞれのピースに価格が表示され、支払いは PayPal でOKというではないか。

日本への発送は FedEx が受け持つ。 

 

それまでペイパルもフェデックスも利用したことがなかったけれど、

ペイパルのサイトを見ると(当時は英語での説明しかなかったが)

万が一の荷物の紛失にも誠実に対応してくれるみたいなことが書かれてあった。

 

わたしが欲しいなと思ったのは、カシュガイの鮮やかな赤がメインのキリム。

写真からもツヤツヤとしたラノリンの多いウールであることが伝わってくる。

コンディションも抜群で、きれいに編み込まれたフリンジもきれいに残っている。

 

「かわいい〜!」

 

イギリスのお店なので、ポンドでの販売。

もちろんポンドでお買い物などしたことはなかったが、

ネットの為替相場をチェックして、ポンドを円に換算すると、

送料込みのキリムは妥当な金額だと思えた。

 

激情に駆られたわたしは、ペイパルの説明を再度たしかめ、

怪しいお店ではないか、できるかぎりサイト全体をチェックし、

「賭けてみるか、、、」と、生唾をごっくんして、

 

「ポチッ」..... 

(この時点でわたしの眼球は飛び出ていたかもしれない)

 

「あ、あ、、、押しちゃった、、、」のであった。

 

すると、ほどなくお店からメールが来た。

たしか「お買い上げありがとうございます。

商品は明日発送させていただきます」みたいな内容だったと思う。

 

とりあえずお店から連絡があったのでホッとして、いまかいまかと荷物の到着を待った。

はっきり覚えていないが、3、4日後にはフェデックスから荷物が届き、

「こんなに早いの〜!」と小躍りして喜んだ。

 

関税のことをあらかじめ調べたかどうかは覚えていないが、

荷物を受け取る時に関税を徴収された。

それでも商品代も含めて「よい買い物ができた」と嬉しかった。

 

そして荷物を開く時のドキドキ、ワクワク感!

もちろんこれまでだって、届いて荷物を開く時は嬉しかったが、

はじめての海外からの買い物なのだから、興奮しないはずはない。

 

「キャー、綺麗〜〜!!!」

 

鮮やかな赤をはじめとして、濃淡二種類のインディゴ、緑、黄、オレンジ、茶(ラクダ)など

どの色を取っても天然染料の美しさが素晴らしい!

白はコットンが使われていて、濃厚な天然色のなかで輝いていた。

 

 

化学染料の強さとは違う、天然染料の強さに脳ミソの奥が衝撃を受けてジーンとした。

 

もう、うれしくて、うれしくて。

 

はじめての海外からのお買い物は大成功だった。

 

 

* * *

 

それから数年間、 "Knights Antiques"で何枚か絨毯とキリムを買った。

「100%成功だった」とまでは言えないが、基本的に高品質で大満足の品物だった。

 

このお店でゲットしたものについて、次回続けて書こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019.10.04 Friday

25. 「失敗しちゃった」ピースへの愛

 

勢いにまかせて絨毯やキリムを買うなかで、「失敗した」物もたくさんある。

ほとんど失敗はないようなコレクターもいるけれど、わたしは結構失敗してきた方だと思う。

このシリーズ「21. 骨董の世界に近いのか?」にも書いたように、

「すみません、勉強が足りませんでした」というほかはない。

 

だんだん自分なりの価値観ができてきて、「これだよ、これ!」という物が手に入ると

以前に買った「失敗」ピースが「、、、」と思えて、見るのも嫌になった時期があった。

ところが「わたしの絨毯遍歴」シリーズで、これまでの自分の来し方を振り返るようになると

その気持ちに変化が生じてきた。

 

うちにある絨毯やキリムは、自分が選んで手に入れたものだし、

一枚一枚にはそれぞれ一生懸命織った人がいて、ストーリーがある。

「絨毯との旅」の一コマ一コマを飾ってくれた、すべてのピースに感謝したい気持ちになった。

 

* * *

 

今回は以前「オレンジの色流れ」という記事を書いたときに載せたトルコのアイドゥン・キリム、

その写真では色流れが不鮮明だったので、今回もう一度取り上げてみる。

 

IMG_0967.jpg

 

全体像はこんな感じで、「二枚はぎ」になっている。

 

IMG_0958.jpg

 

オレンジの色流れが、この写真でははっきりわかる。

初期の化学染料はこのように色が流れた後、周囲に色移りする。

フリンジ(経糸)にも色移りしているのは、もとはその部分にオレンジの緯糸があったから。

端っこが一部カットされた状態であることがわかる。

 

IMG_0959.jpg

 

この赤もペパーミントグリーンも化学染料のようだ。

ひょうきんなモチーフの中央左側が補修されている。

 

IMG_0963.jpg

 

試しに、上にレイハンルキリムを乗っけて糸の太さを比較してみた。

...........とここまで「ダメじゃん!」な点ばかりあげつらってきたが、

下側のアイドゥンの糸をじっと見つめていると、

あらら〜、なんだかミョーに可愛らしく見えてきた〜〜

 

IMG_0960.jpg

 

インディゴはアブラッシュ(染めむら)の濃淡が明確で味があり、

お花のようなモチーフがとってもカワイイ!

 

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「洗練されたピース」とは言いがたいけれど、

ひょうきんなモチーフが「いい気分〜!」と歌をうたっている。

 

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一本の糸に太い部分や細い部分がある、手紡ぎの糸で、

天然のラノリン(脂分)が多い、艶のある羊毛が使われている。

 

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くにゃくにゃに曲がり、毛布のような質感!

 

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このピースを見ていると、温暖な気候に恵まれた、平和な村の娘さんが

陽気な歌をうたいながら織っている情景が浮かぶ。

 

ルノワール「村の踊り」より

 

全然ちがうかもしれないけど、こんな感じの娘さんをイメージしてしまう、、、

 

 

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マスターピースじゃないけれど、気持ちを和ませてくれるキリムの一枚だ。

 

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