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2016.11.09 Wednesday

トルコ東部クルド族の寝具

日本で流通しているトルコ絨毯は、工房の絨毯がほとんどで、たまに村の絨毯も見かけるけれど、これは遊牧生活を彷彿させるワイルドな絨毯だ。



かなり個性が強いので、好き嫌いが分かれると思う。



日本でも市民権を得たギャッベは、もともとは南西ペルシャ遊牧民の寝具だった。
それを商品化する過程で、ギャッベはタテヨコに折り畳むことのできない、基礎が硬い織りに変化したが、本来の遊牧民の寝具はこのように折り畳むことができる。

ご覧のようにパイルが長い。



最初パイルを眺めたとき「なんか他の絨毯と違うな」と思ったのだが、よく見るとパイル糸が双糸なのだ。二本の糸を縒ってある。
普通絨毯のパイル糸は縒っていない単糸なので、これを見つけたときは嬉しかった。



わかりにくい写真ですが、見えますでしょうか?



茶色の糸が摩耗しているので、ある程度古いものだと思うが、一部化学染料が使われている。



これは紫の化学染料で、表面は退色して白っぽくなっているが、根元に紫が残っている。



裏を見ると、紫がよくわかる。
ヨコ糸にはこげ茶色の糸。これは折り畳みやすいように、ヨコ糸が4本から8本とたくさん通してある。



フリンジがでているキリムエンドの赤い糸もケミカルっぽい。化学染料だとフリンジに色移りしやすいようだ。



それでもこの絨毯が好きなのは「爆発する生命力」!
いかにも逞しいクルド族の手によるものである。

このボーダーの自由な線も大好きだ〜〜!



この絨毯から生命力をお裾分けしてもらって、きょうもがんばろう〜〜!

2016.10.21 Friday

手より糸の愉しみ


日本では「絨毯の織りは細ければ細かいほど良い」と考える人が多いように、 キリムも、いわゆるシャルキョイやレイハンルのように、「糸は細い方が好き」という人が多いみたいです。



ただ糸の細さ以外にも、ウールに艶があるかどうか、そして糸に味があるかどうかもポイントですよね。



手より糸ならではの現象として、一枚のキリムでも糸が太くなったり細くなったりしているのも、好きだなあ。



コンヤの古いキリム。キリムのヨコ糸は単糸が基本ですが、タテ糸の残りを使ったのか、二本の糸を縒った糸も使われています。



二枚のキリムを並べてみました。
それぞれに魅力を感じます。
2016.09.06 Tuesday

こんなものでも



こんな小さなフラグメントでも、眺めていると楽しい。



シャルキョイというかバルカンのキリム。



糸の太さや染めが微妙に変化しているところが愛しい。



アメ釉の小皿を合わせてみました。



ささやかな朝のお遊び。
2016.08.01 Monday

暑中お見舞い

いよいよ夏本番ですね。
暑中お見舞い申し上げます。



かなりなコンディションのフラグメントですが、私にとっては「余人をもって代え難し」。



滴るような天然色は、いまでは再現することが難しいし、



このような自信にあふれた織りも、なかなか再現できないんですね。



やっぱり古いキリムが好きです。

2015.04.18 Saturday

Bergama district rug (Balikesir)


4月に入ってブログを更新しないまま、はや18日、テヘ。kyu

今回は、トルコ西部に位置するベルガマの絨毯です。

P4183198.JPG

大体の大きさ:縦156cm 横146cm

タテ糸:染めていないアイボリーのウール(2本撚り)
ヨコ糸:茶色のウール(原毛の色ではなく染めている)
パイル糸:インディゴ(濃淡)・レンガ色・アイボリー・こげ茶・モスグリーン・若草色・薄枇杷色

対称結び・デプレスなし
ノット数は10cm四方に大体29目✖️19目
それぞれのパイルの間に通される横糸は2〜12本

織られた時期:推定19世紀後半

P4183178.JPG

織りはじめと織りおわりの平織り部分

P4183173.JPG

この写真では強めに出ているが、実際は落ち着いたレンガ色とインディゴがベース。

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ベルガマ地方の毛織物のカラーパレットは、たいてい茜とインディゴが基本になっている。

P4183188.JPG

キリムエンドの部分に入ったジジム織りは、表から見ると糸がかすれたようになっているが...

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絨毯の裏からジジムが施されている。
トルコの他の地域でも時折このような技法が見られる。

P4183183.JPG

屋外で撮った写真

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絨毯裏側。
パイルの間からわずかに覗いているのが茶色のヨコ糸。
この写真では、ヨコ糸は一列あたり2本もしくは4本入れられている。

P4183192.JPG

この写真の中央より若干上の方には、ヨコ糸が6本以上入れられている部分がある。
遊牧民や村の絨毯では、ヨコ糸の数は臨機応変に変えられることが多い。

P4183194.JPG

10cm四方に大体29✖️19目なので、織りは全然細くない。
しかしこの絨毯はとても立派な絨毯だとわたしは思う。
絨毯の価値はノット数では計れない。

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タテ糸はフラットに張られる、デプレスなしの織り方。
結び目を見ると、タテよりヨコが広くなっている。
だから29✖️29もしくは19✖️19ではなく、29✖️19になっているのだ。

P4183193.JPG

織りの技法で特筆すべきなのはセルベッジの処理である。

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パイル織の部分が両端まで広がらずに途中で終わり、平織りになっている。


P4183181.JPG

しかもインディゴと茶色が波模様に織られ、いい味を出している。

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この絨毯に似たデザインは、M. Eiland 親子による"Oriental Carpet  A Complete Guide"にでている。

P4183202.JPG

解説によれば、ベルガマでもバルケシル地方に住むカラケチリ部族のものではないか、ということ。
上の絨毯のセルベッジはよくあるパターンのように見えるが、オリジナルは欠損したのかもしれない。
セルベッジは、先に痛みやすい部分なので。

P4183203.JPG

デザインはまったく違うが、似たようなセルベッジのトルコ絨毯。
これは、James Opieの"TRIBAL RUGS" からの引用。
部族的なつながりがあるかどうかはわからない。

P4183197.JPG

絨毯からあふれる力強いパワー!
トルコ絨毯というと、色鮮やかでかわいいものをまず思いうかべるけれど、こんな絨毯もあるんですよ。手
 
2014.12.20 Saturday

旅するキリム

早いもので今年もあとわずかですね。
いろんなことがありました。

絨毯やキリムのブログをつづけていると、
ただ「色がきれいね〜」とか「ウールがすべすべ〜」とか能天気なことを書いている分にはいいのですが、
うつくしい染織を生みだした土地があゆんできた歴史に思いおよぶと、
どうしようもなく重い気もちになることがあります。

レイハンルの記事を書いているときも、
うちつづくシリア内戦のために故郷を離れ難民となった人びとのこと、
古代都市アレッポの歴史的建造物があちこちで無残に破壊されたこと、
レイハンルの町自体も昨年爆弾テロで被害をこうむったことなどが頭に浮かびました。

シリア周辺だけでなく、美しい絨毯やキリムが生み出された土地には、それぞれの苦難の歴史があります。

* * *

先日、東京ミッドタウン内にある「21-21Design Sight」企画展「活動のデザイン」に立ち寄りました。
そこで見たマスード・ハッサーニの作品。



企画展のコンセプトは「活動のデザイン」ということですが、
この作品がどういう「活動」を担っているかというと、
「マイン・カフォン(地雷を爆発させろ)」という名の通り、地雷を撤去すること。



ボールが風の力で転がって、地雷を爆発させる仕組みです。
この作品は「デザインの意義を人道的な解決策に応用する活動」とのことですが、
これ以外にも自由でゆたかな発想から、「わたしたちのいま」を見つめなおす作品が数多くありました。
来年の2月1日まで開催していますので、興味のあるかたはぜひどうぞ。

* * *

さて、AU BON MARCHE を知らなかった私の手もとにあった中央アナトリアのキリム。



全体像はこんな感じです。
フィールド部分のモチーフは「カーネーション」を図案化したものだとの説明を受けました。

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……とは言っても、これが「あっ、カーネーションね!」とすぐにわかる人は少ないのでは?

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夕日に当たっているときに撮ったので、独特の雰囲気が出ています。
(ちなみに下の茶色い絨毯はアフガニスタンのトルクメンの支族エルサリのもの)

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ボーダーのモチーフはアナトリア・キリムによく見られるタイプですが、
このキリムは飄々としているというか、とっても大らか。

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コンヤ周辺のものだと思いますが、
個人的にいまいちばん好きなのが、アナトリア中央部の古いキリム。

華やかさを競うわけでもなく、
目立たないけど、ゆったりと構えて、にこにこ微笑んでいるような。

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二枚はぎになっていますが、モチーフの大きさが全然違うし、左右もみごとに合っていません。あ
でも、この大らかさがいいんですよ、このキリムは!

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前回「120年位ありそう」と書きましたが、150年くらい経っているかも知れません。
年代判定の根拠として、使われている染料などが基準になるようですが、
個人的には「モチーフが醸し出す雰囲気」が気になります。
素人っぽいアバウトな基準だけれど、「古いものは空間がゆったりしている」。

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見ていて心がなごみます。

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指人形みたいなモチーフ♪

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古いキリムなのに、なんとなくモダンな感じも……

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接写画像だと、手撚り糸の味わい深さがよくわかります。
一本のウールが太くなったり細くなったり……

シャルキョイやレイハンルのように、細〜い糸を均一に撚る技術もすばらしいですが、
このような糸の不均一な太さも、手仕事のあたたかみを感じさせます。

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写真下部の藤色は古いキリムによく見られる色ですが、
その上のアイボリーと茜の上の、薄〜い「ペパーミント・グリーン」はトルコ中央部の古いキリムにも見られます。

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房も、長い年月をよく耐えてきました。

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古い割には現代アートのような印象も……

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このアナトリア中央で生まれたキリムは、やがてトルコを去ってパリに行きました。
途中でちょん切られるなどいくつかの受難を潜り抜け、アメリカのコレクターの元に行きました。
旅をつづけてきたキリムは、いま、日本に来ています。

茶色い糸の部分がかなり傷んでいますが、とても美しいキリムです。
大切にしたいと思います。

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2014.08.12 Tuesday

中央が無地のアナトリアン・キリム

大雨やら台風やらで大変な思いをされた方もいらっしゃることと思いますが、いかがお過ごしですか?
残暑お見舞い申し上げます。

* * *

前回「インディゴの海」のキリムの全体像はこれです。

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トルコ南東部のいわゆるレイハンル・キリムと呼ばれるピースですが、
これと良く似た意匠のキリムが、"Ayan Gulgonen Collection" に載っています。
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"18th and 19th Century Anatolian Kilims - The Brigitte and Ayan Gulgonen Collection" P.37より
 19世紀前半 Reyhanli  358×75cm

説明書きには、やはり「無地のインディゴ部分の色斑が見事であること」が強調されています。
もしインディゴ部分が均一に染められたものであるなら、このキリムの魅力は半減するでしょう。

キリムや絨毯にどんどんのめり込んでいくうち、
「どんな絨毯やキリムが美しいのか」という基準について、
いまの日本の現状が残念に思えるときがあります。

「ノット数第一主義」とでもいうのか、
「織りが細かければ細かいほど良い絨毯」という考えが主流を占めているのですが、
私は、そんな単純なものではないと思うのです。

そりゃ、たしかに、
いまイランで腕利きの職人が絨毯を織るとして、
大きな絨毯を寸分の狂いもないほど正確に細かいノットで織りあげるには、相当な時間がかかります。

「これだけコスト(時給ほか)がかかってるのやさかい、それだけ高く売らんとペイ出来まへんわ」
みたいな基準は、「絨毯の美しさ」とは関係ないと思います。

たとえばスーラの絵のタッチを細かく数え上げて、
「この絵の点描の数を数えたら、他の絵の二倍あったから、この絵は二倍の価値がある」
なんて考える人はいないでしょう。

なんか愚痴っぽくなってきましたが、
とにかく日本でも「絨毯の美しさとは?」について、
もっともっと深めていけるといいなあ……と思います。

* * *

そういう意味で、「美しいキリムとは?」のお手本になるのが、この3冊。

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左:The CAROLINE & H.MCCOYJONES COLLECTION
中央:前掲 18th and 19th Century Anatolian Kilims
右:100KILIMS -MASTERPIECES FROM ANATOLIA-

私が持っているキリムの本のなかでは、目下のところこの3冊が
最も「美術品」として鑑賞に堪えるピースが集まっていると思います。

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上のレイハンルキリムが載っているのはこの本。

さて、この本には上のレイハンル以外にも「中央部分が無地のキリム」が載っています。

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シバス 19世紀前半 363×73cm (P.14)

うーん、いいですねぇ〜!
いわゆるアンティークといっても、100年前後のもののなかには
「確かにキレイだけど、どことなく小ざかしい感じがする」ものがあります。
(そういうのをつい買ってしまったこともあるんですけど……)

けれど150年とかもっと古いキリムや絨毯には、
ゆったりとした時の流れ・作為のない美しさが感じられることが多いのです。


いってみれば、
「自然」というか「なにか大きなもの」が織り手をつうじてキリムのなかに降りてきていて
それを見ているうちに、自分の心までがのびのびと自由になれる。

……いまもっとも惹きつけられるキリムというのはこういうキリムかな。

* * * 

話がどうもまとまりません。(^_^;)
今回は「中央部分が無地のキリム」についての記事なのですが、
このタイプは「ラクダで移動するとき荷物の上にかけるキリム」だという意見があります。

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おなじみボーマーさんの "Nomads in Anatolia" ですが、
この本に図解付きで説明されています。

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こんなのとか……(2枚はぎ)

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こんなんですね。(一枚もの)

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またこれもけっこうメジャーな本ですが、
この本でも「中央部分が無地のキリムは婚礼のお輿入れの際使われた」と説明されています。

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これはフェティエのキリムだそうですが、上のボーマー本のキリムとよく似ています。(1枚もの)
中央が無地のタイプのキリムは、フェティエおよびアレッポ〜レイハンル間でよく見つかるとのこと。
距離的にはずいぶん離れていますが、部族的になにか関係があるんでしょうか?
よくわかりません。

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これはアイドゥンル(部族名)によるキリムとされていますが、トルコ南西部あたりのものかな? (2枚はぎ)
フェティエもそうですが、色づかいが力強く、生地もやや厚めな印象を受けます。

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こちらは "100 KILIMS" の Plate 34。145×264cm。(一枚もの)
やはりフェティエに近いムーラのもので、ユルックのキリムと説明されています。

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こちらはマッコイ・ジョーンズ・コレクションより Plate 61。 157×348cm

厳密にいうと中央部分にも柄がありますが、構図的に「お輿入れキリム」のような印象を受けます。

産地は書かれていないのですが、フェティエでもないしレイハンルでもなさそう……
(あてずっぽうで根拠はないのですが、コンヤとか中央部のような気がします)

いずれにしても、色といい意匠のバランスといい、じつに見事!

3冊並べた写真のカタログに掲載されているのは、美術品として恥じないキリムばかりなのですが、
「最良の1冊は?」と訊かれれば、わたしはマッコイジョーンズコレクションを推すでしょう。

* * *

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Gulgonen Collection のレイハンル・キリムをもう一度。
やはりフェティエなど南西部のキリムとは違いますね。

* * *

次回もしつこく中央が無地のキリムの記事。
おなじレイハンルのピースと並べて、ちがいを比較してみたいと思います。


 
2014.08.03 Sunday

インディゴの海

日本人ともなじみが深く
暑さをやわらげてくれる色と言えば、やはり「藍」でしょう。

今回はインディゴのアブラッシュ(染め斑)が見事なピースをご紹介します。

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キリムの全体像はお見せしませんが、アナトリアン・キリムです。

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横糸を端から端まで渡さずに、途中で切り替えしながら織ったようです。
インディゴの濃淡が綺麗ですね〜

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このボーダーから、大体の産地がつかめるかも……

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インディゴの粒子は大きいので浸透しにくく、このような染め斑ができやすいそうです。
でも、それがまた「味」なんだよね!

奥のような深い色にするには、染めては甕から出して酸化させる作業を繰り返します。
根気のいる仕事です。

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このキリム(というかフラグメント)はかなり古く、19世紀前半ではないかと思われます。

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古いので、よくこなれていて柔らかい♪

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ずっと眺めていると、海のようにも見えてきて……

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うーみーはーひろいーなー、おおきーいーなー♪

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いーってーみたいーなー、よそのーくーにー♪
……
って、この歌がつくられたとき、外国に行くことは特別なことでした。

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ざぶ〜ん、

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ざぶ〜ん、

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ざぶ〜ん、
……

(脱力のまま終了)
2014.07.06 Sunday

エルズルム アンティークキリム (染料にケミカル含む)

いよいよ梅雨も終わりに近づいてきましたね。
きょうは、トルコ東部のエルズルムのプレイヤー・キリムをご紹介します。

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ディーラーが撮った写真 その1

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ディーラーが撮った写真 その2
ちなみにこのキリムはアメリカの女性ディーラー、マーラ・マレットさんから買ったものです。

マレットさんはキリム以外のテキスタイルをはじめ、織りの技法にもたいへん造詣が深く、
"Woven Structures -A Guide to Orienrtal Rug and Textile Analysis-"  という本を出されています。

トライバル・ラグや村の絨毯には
「これはどこの、またはどのグループが織ったものだろう?」と悩むものがけっこうありますが、
織りの技法を調べることによって、出自が判明するものもあるようです。
まあ、このテーマは奥が深いので、またそのうちに……って、いつになるんだか? (^_^;)

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ここからは私が撮った写真です。

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こんな感じで壁に飾ってあるんですよ。
早春に撮った写真なのでシンピジウムが……
キリム自体は地味〜な色づかいなのですが、壁が白いので割と引き立っています。

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エルズルムのキリムって、ボーダーが幾重にもあったり、文様ももっと密集しているものも多く、
「どうだっ?!」っていうアンティークキリムはすごい値段がついているようです。
ストックホルムでのICOCのディーラーズフェアでエルズルムのキリムを見かけました。
写真が下手なのでうまく撮れませんでしたが、実物は黄と緑が実に深い色ですばらしかった!
思わず値段を聞いたら、ボロボロの状態で9000ドル! ヒュー、ドカン! ……撃沈されました。

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こちらはエルズルムといっても重厚さはなく、小じんまりしたお茶目なキリム。
ひょうきんなモティーフに心がなごみます♪

この赤系統の色は先日ご紹介したアドゥヤマン・キリムに近い、地味な色です。
トルコ東部に特徴的な色なんでしょうか? 黄も緑も、地味な色です。
ただし上記ICOCのエルズルム・キリムはとても鮮やかな色でした。
おなじエルズルムでも染色のできばえに違いが出るのは、媒染などの技術によるものか……よくわかりません。

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経糸がやや太めで織りがしっかりしているので、壁にかけても大丈夫な感じです。
かなりの年代があるキリムを長期的に壁にかける場合は、コンディションなどによって配慮をした方がいいと思います。

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キリムの表と裏、ほとんど色は同じです。
明るめの緑はオリジナルでなく、補修された部分です。

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人の頭のようにも見える、ひょうきんなモチーフ!
オフホワイトの部分にもけっこう補修が入っていますね。
全体像を見るとあまり補修がわかりませんが、細部を見るとけっこうレストア部分があります。
にもかかわらず三角のモチーフがいい感じにちりばめられて、とってもカワイイ!

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コンポジションというか、「空間の取り方」がわたしのツボにハマりました〜♪

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ややっ! エプロンをした女性が手を伸ばしているような茶色のモチーフが!

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左と右と、一個(一人)ずつ!

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おそらく19世紀末ごろのものではないかと思われますが、
タイトルにもあるように、アンティークでありながら一部に化学染料が使われています。

上のボーダー部分の赤を見ると、ややオレンジがかった赤で糸の表面だけが褪色しています。
このキリムの大部分に使われているサーモン色は天然染料だと思いますが、
上のボーダーと、その下の三角モチーフの一列がケミカルのようです。
上に出ている経糸を見ると、オフホワイトの原毛が赤く染まった部分がありますね。
あくまでも一般論ですが、天然染料の場合このような色移りはほとんどありません。

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このケミカルに似た色として、対称結びのバルーチタイプ絨毯に使われている赤があります。
紫の蛸唐草の下に見える、四角をつないだ小さなモチーフの褪色した赤です。
この絨毯もかなり古く、100年はゆうに超えているはずなので、
「アンティーク」といえどもケミカルが使われているケースは、それなりにあるのでしょう。

化学染料を見わける目安のひとつとして、
・絨毯の場合:パイルの表面だけが褪色していて、陽のあたらないパイルの根元部分は褪色していない
・キリムの場合:表だけ褪色していて裏は褪色していない
という観点がありますが、特にキリムの場合、業者が裏側を陽にあてて表と同じ程度に褪色させるケースがあります。
そうなると上の基準は使えなくなりますが、
個人的には「初期の化学染料はどことなく濁った感じを受ける」気がするんですね。
「じゃあ、このサーモン色もくすんでいるからケミカルじゃないの?」と思われる方もいると思いますが、
「色が地味」なのと「濁っている」のとは違うんですね……

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まあ、絶対に天然染料という確証もありませんし、
いちばん大切なのは「好きかどうか」ということでありまして、
このキリムのお茶目ぶりが、わたしはとても好きなのでアリマス♪

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ガッツポーズ!
……ということで、今回はこれまで。
2014.06.28 Saturday

アドゥヤマン アンティークキリム

ずいぶんご無沙汰しておりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

つい先日、同じラグファンのYさんがうちにいらしてくださったときに、このブログの話が出て、
「詳しい記事を書くのは大変だと思うので、気軽な感じで写真だけでも載せてくれるとうれしい」という話になりました。

そっかー。
いやじつは私もエビデンスの少ない遊牧民系ラグの記事を書くのは、けっこう気を使うなあ〜と思っていました。

このブログでご紹介していないピースもそれなりにあり、
写真を見るのを楽しみにしてくださっている方もいるかもしれない、というわけで、
当分、ほぼ写真のみの投稿をしていこうと思います。

* * *

今回は、トルコ南東部のアドゥヤマンと思われるアンティークキリムです。


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おっと〜! 
上下を逆に撮ってしまいました〜!

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実物はこれほど尻つぼみではないのですが、これが正しい方向。
たぶんプレイヤーキリムだと思います。

「アドゥヤマン」って、じつはわたしも知りませんでした。
トルコ文化省発行 ANATOLIAN KILIMS 1」のプレート5に似たピースがあるので、そうではないかと……

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これがカタログのアドゥヤマン・キリムで、大きさは96×158cmだそうです。
わたしのは、約90×128cmなので、ちょっとだけ小ぶり。
いわゆるセッジャーデ・サイズです。

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トルコのアンティークキリムといえば、縦3〜4mほどもある大きなサイズが目につくなか、
小ぶりなものはキリムブームの早い時期に欧米に流れたようです。
いまはあまり流通していないか、あっても手の出ない値段。
これは運よくアメリカのコレクターから譲ってもらったピースです。

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アドゥヤマンってどこにあるの? って調べてみたら、
アダナとディヤルバクルを結んだ線の中央よりやや東寄りの場所みたいです。
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「トルコ東南部のキリム」っていうと、アダナ・ガジアンテップ・アレッポなどは
透明感のある華やかな染色……っていう印象が強いのですが、
このキリムはそれらに比べるとやや地味で、よく言えば落ち着いた印象を受けます。

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このサーモンピンク、天然染料だと思いますが、コチニールじゃないですね。
茜系統の色なのかなあ……
でも、とてもまったりと熟成したイイ色です!

濃度が違うふたつのインディゴと、やわらかな卵色。
茶色は染めたものか、羊のそのままの毛なのかわかりませんが、朽ちてはいません。


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きっちりとした上手な織りです。

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コンディションはまずまずで、オリジナルのフリンジが一部残ってます。

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経糸に茶色っぽい毛も混じっていますね。

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厚みはこんな感じ。
極薄でもないけれど、古いのでまったりとこなれてます。

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ほとんど使われずにいたようです。

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ミフラブらしき文様ですが、どこかカワイイ!

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まん中にあるのはお花? ……ってか手が2本と上下に矢印ついてるんだけど!

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気になるのが、中央の薄いインディゴのモチーフが、レイハンルのデザインに似ていること。
http://rug-lover.jugem.jp/?day=20101107
トーテムポールを連想させるような部族っぽいデザイン。
なにか関係はあるのでしょうか?

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上部分

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下部分

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うにょうにょ〜っと持ち上げた手のようにも見えます。

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畳むとこんな感じ。収納のスペース取らなくてよかったわあ。

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……という手抜きな感じですが、これからもよろしくお願いします。 (^.^)/~~~
 
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