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2010.12.06 Monday

コーカサス チェック?のヴェルネ(後編)

 今回はこのジジムを見ていて、気がついたことを取り上げます。
このピースの大半は、とても上手なひとが織ったのではないかと思いますが……



右端の「羊の角」、ちょっと歪んでいませんか?



ありゃりゃ、この菱形はどうしたことでしょう?
裏側に現れているジジムの始末も、つたない感じですが……



左右のボーダーのジジムは、たどたどしい菱形がほとんど……

* * *

さて、ここから先は推測になりますが、
どうもこのピースは、上手な織り手さん以外に「初心者」が加わっているのではないでしょうか?
地の部分とフリンジ付近のジジムは、上手なひとが織って、
「初心者」が左右ボーダーのひょろひょろジジムを手がけたのでは……



"TRIBAL RUGS" by Jenny Housego 1996より
シャーセバンの女性がジャジムを織っている写真
(お母さんたちはガイジンさんに慣れたようすなのに、子どもたちは「不審」のまなざし!)

以前からなんとなく気になっていたのですが、
遊牧民の写真には、上のように小さな女の子がよく一緒に写っているんです。


"Carpet Magic"  by Jon Thompson 1983 より
トルクメンの女の子がおもちゃの織り機で絨毯を織っています

遊牧民の女の子は、ものごころがつくや、ごく自然に織物にかかわっていくそうです。
いつもすぐそばでお母さんがキリムや絨毯を織るのを眺めているうちに、
自分も織ってみたくなるのかもしれません。

"ORIENTAL RUGS IN COLOUR" by Preben Liebetrau (1963) という本に、
つぎのように書いてありました。

遊牧民のラグはすべて女性によって織られ、子どもたちを手伝わせることもしばしばある。
女性が
両脇の二人の子どもたちと一緒に仕事をしているのは、ごく普通のことだ。
これによって彼女らは絨毯製作の秘訣と要領とを、遊びの感覚で習得するのである。


"KILIM The Complete Guide" by A.Hull & J.L.Wyhowska
アフガニスタンのハザラ族の女性と子どもたち

両脇に女の子のいる写真を見つけました!

なにを手伝うのかといえば、
糸の色を変えるときに、「赤取って」とか「青取って」と指示したり、
「(織り目を詰める)タラク取って」とか「(パイルをカットする)ナイフ取って」とか
使う道具を手渡しするのが、まず手始めかな〜、なんて考えちゃいます。

お母さんはキリムや絨毯織りの作業を見せたり説明したりしながら、
つぎの世代に手仕事を継承していったのではないでしょうか。
そしてそれが、母と娘のコミュニケーションでもあったという……

子どもたちにしてみれば、
単なる毛糸が一枚のうつくしい織物へと姿を変えるのを驚きの目で眺めつつ、
いつかは自分が糸を操って、作品をつくりあげたいと願ったのかもしれません。

これって、ものごとをロマンチックに考えすぎでしょうか?
でも、もし、単に必要だからというだけでなら、
あれほどたくさんの美しいキリムや絨毯が生まれるはずはなかったと思います。

ひとがものをつくるということには、
きっとよろこびが伴っていたはず。

コーカサスのベルネのジジムを眺めながら、
そんなことを考えました。

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