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2016.02.08 Monday

アンティークのトルクメン絨毯の値段2



あ、そういえば、検索ワードに「部族絨毯 バカ」というのもありました。



‥‥‥ガーンネコ



いやー、自分のことをバカって言うのと、赤の他人からバカって言われるのとでは、ビミョーに違いがあるもんですね。あはは。



ショボン ショボン ショボン



* * *



ハイ! 部族絨毯バカのぷぎーです!

バカなので、おかげさまで、風邪ひいてません!

さあ、きょうも元気に行きましょう!



オカネの話は一回でやめようと思いましたが、

みなさんやはりちょっぴり気になるみたいで、アクセス数に反映されてます。(笑)

まあいいや、サザビースのオークションという「非日常」の話だから、ということで前回のつづきをやりましょう。



* * *



まず前回の補足で、高額になるピースの条件について。








前回この「オクバシュ(テントの支柱を入れる袋)」がすごい高額になったとレポートしたのですが、

その理由は「オクバシュ」自体がレアであることもさることながら、

見つかるオクバシュのほとんどはヨムートの平織り
(キリム)で、


テッケのパイル織で19世紀のオクバシュ」は極めてレアであることが超高額の理由のようです。



もうひとつ、このサリークのエンシ。



IMG_2236.JPG



サリークのエンシは、19世紀末から20世紀初めにかけて大量に織られたのですが、

それらは濃茶〜紫系の色合いで、

こちらのピースは、透明感のある輝く赤が使われた18世紀から19世紀のものだとのこと。

そうなると、コレクターの中できわめて人気の高いサロールのエンシ以上に貴重なものになる、

ということで超高額になった模様。



つまり年代が18世紀以前のものや、点数が限定されているピースほど、高額になる傾向があると言えそうです。



このオークションカタログの説明文を読んでいると、

トップクラスのコレクターは、いかに多くの実物を見ているかはもちろんのこと、

トルクメンに関する文献をどれだけたくさん読み、知識を身につけているかが重要なことがわかります。



部族絨毯のなかでもトルクメンは一番研究が進んでいる分野です。

ロシアの研究者によるフィールドワークなども丹念にされていますから、学術的にも信頼性が高く、

「トルクメンコレクターには理数系の知的な人が多い」というのもうなずけますね。



* * *



さて、今回は「サロール・ギュル」が使われたチュバルでも、サロールが織ったのではないものがある、という話です。真性サロールのもの、サリークのもの、テッケが織ったものを比較してみましょう。



トルクメンのなかでも一番ノーブルなグループとされている Salor サロールのチュバル(テントに吊り下げる大型収納袋)はこちら。



IMG_2291.jpg

"ORIENTAL RUGS Vol.5 TURKOMAN" by Uwe Jourdan 1989 より



エンドパネルと呼ばれる下の部分がすこし失われていますが、袋表のほぼ全体が残っています。

「サロール・ギュル」とは、中央部分を占める3つのモチーフ。



ジョン・トンプソン・コレクションのオークションでは、

サロールのチュバルは完品がなく、フラグメントのみが出品されていました。



IMG_2287.jpg



サロールのメイン・ギュルとサブ・ギュル(八角星の模様)は、上の写真のものとほぼ同じです。



しかし専門家にかかると「ボーダーデザインとフィールドに使われている水色が通常のサロールのものとは違う」。

うーん、なるほど。たしかにサロールの水色は珍しいかも。

(‥‥って言ってますが、私、サロールの実物は一度も見たことがありません!

たぶん日本には一枚も入ってきていないんじゃないでしょうか)



19世紀のもので、マゼンタ部分はシルクだそうです。

落札金額は $12075。仮に日本人が落札したら、関税も含めて200万ぐらいになるかな。kyu



IMG_2289.jpg



こちらはサロール・ギュルをコピーした Saryk サリークのチュバル。



「19世紀のもので、白はコットン、クリムゾンはシルク。最高のウールと染料がふんだんに使われている。

サリークの間では19世紀後半にシルクのパイルを使うのが流行った。

また、サリークがサロールギュルを使いはじめたのは19世紀中頃で、

テッケも同じころにサロールギュルを使うようになった」



このピースは、estimate(これまでのオークションで似たようなピースが落札された参考値)$8000-10000 となっていますが

このときは出品者の設定する最低落札価格に届きませんでした。



IMG_2288.jpg

サロール・ギュルを使ったTekke テッケのチュバル。



「19世紀。シルク部分が朽ちている。

フィールドデザインはサロールそのものだが、織の構造、色、ボーダーはテッケ。

おそらくMerv メルブに住むテッケのものであるが、その織物は

より上品に、より高い技術を誇るようになり、オーナメントが激増する傾向を示した。



テッケのチュバルにおいて、サロールギュルは、3個から6個へ、そして9個へ、と数が増えていった。

エンドパネル(下の部分)には、様々な種類の凝ったオーナメントがはちきれんばかりに織り込まれるようになったが、

このピースは、サロールギュルは大きくて丸く、エンドパネルもすっきりしていて、

サロールギュルがテッケに取り入れられたころ見本にされたピースの原型に近いものと思われる」



落札金額は$2515。



この3枚の比較から、アンティーク絨毯に関しては、

織の構造や色、デザインの伝播や変遷史など、様々な要素を総合的に考えて判断する必要があるといえるでしょう。



絨毯を目にしてまず目に飛び込むのがデザインと色です。

実用品として使う分には、自分が気に入ればそれで良いと思いますが、

絨毯のデザインはしばしばコピーされるので、デザインだけではオリジンを判断できないのです。



さて、テッケチュバルのサロール・ギュルの数が増えていくという現象、

これは最初にあげた"TURKOMAN"の本から引用しました。



IMG_2290.JPG



上は19世紀中頃、下は1900年前後のものとのこと。

上はサロールギュルが6個ですが、下は9個に増えています。
全体も過密な感じになり、
サロールギュルがまん丸からひしゃげた形へと変化しています。

「伝言ゲーム」じゃないけど、コピー回数が重なることによって、元のものから変わっていったんでしょうね。
絨毯の世界は奥が深いです。



では、また!




コメント
最近ここのサイトを見ていたらラグにはまってしまいました。ほんとに素敵な記事をたくさん有難うございます。

近くに絨毯で相談できる人がおらず、トルクメンの絨毯で教えていただきたいことがあって書き込ませていただきました。

https://www.carpetvista.jp/kapetto/turkaman?artno=AXVZZZO178

色々見ていると、大きなギュルではなくこういう模様の絨毯がすきなことが分かったのですがいったいこれが何なのかがわからないと似たようなものを探せなくて困っています。
どうか教えていただけないでしょうか?
新品ではなく、もっと時間がたったようなパイルなんかも見えかけているようなのが好きなのでこれは買う対象にはならないのですが、、、。
  • naru
  • 2019.06.09 Sunday 09:11
naru さま、コメントありがとうございます。
最近全然新しい記事をアップできていないのに、ご覧くださって嬉しいです。

naruさまの見つけられたサイトの絨毯は、トルクメンのヨムート支族のものだと思います。イランの北部にヨムートの末裔が住んでいるので、そこで数十年前に織られたのでしょう。

もう少し古い物をお探しとのことなので、
Yomut Yomud というキーワードで画像を検索すれば、欧米のものを含めてたくさん出てくると思います。
トルクメンの支族のうちでは、テッケと同程度にヨムートは数があるようです。

また不明な点があれば、遠慮なくご質問くださいね。
お好みの絨毯が見つかりますように〜
  • ぷぎー
  • 2019.06.10 Monday 11:02
ご丁寧にお返事いただき有難うございました。
Yomudだったんですね。コレクション論等さまざまな角度からの記事、楽しく、身に沁みながら読ませていただいております。本もとりあえずtribal rugsという本を買ってみたのですが、あまり詳しくなかった(汗ので、ここのblogを少しずつ読みながら勉強していきたいと思います。
お互いに良いじゅうたんに出会えますように。

  • naru
  • 2019.06.11 Tuesday 21:03
私もはじめて部族絨毯に興味を持ったころは、「絨毯屋tribe」さんのブログや「旅と絨毯とアフガニスタン」さん「あんからあん」さんなどのブログを必死で読んでいました。あとは「アフガニスタンの絨毯」で検索すると、参考になる記事がありました。
日本ではなかなか本物の部族絨毯に接する機会がないのが辛いところですが、それもまたモチベーションになったような記憶があります。
お気に入りの絨毯に出会えますように〜
  • ぷぎー
  • 2019.06.12 Wednesday 09:22
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