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2016.08.25 Thursday

「カーネーション」か「二匹のハゲタカをつかむ女神」か

 

前回のフラグメントの全体像はこんな感じです。

 

 

これに似た文様のアナトリアン・キリムがジョン・トンプソン著"ORIENTAL CARPET"に載っています。

 

IMG_3444.JPG

 

氏によると、このキリムはトルコのニーデ地方のもので

「このデザインは、これが織られた2世紀ほど前にオスマン朝の宮廷で流行ったカーネーション・モチーフに由来する」

とのこと。

 

 

「カーネーション・モチーフ」といえば、以前の記事でもう一枚ご紹介したことがありましたが、

「カーネーションと言われてもよくわからない」カンジ。

 

 

これは17世紀のオスマン朝のベルベットとのことですが、

うん、そう言われてみれば、デザインが似ているような気もするなあ‥‥

 

IMG_3433.JPG

 

私のフラグメントの部分1

 

IMG_3432.JPG

 

部分2

 

IMG_3431.JPG

 

部分3

 

IMG_3437.JPG

 

ピンボケで恐縮ですが "THE TRIBAL EYE" by Peter Davies からの引用です。

画像左上がオスマン朝のカーネーションモチーフ、その下がアナトリアンキリムの文様です。

 

「なるほどね」というカンジはしますが、

この本ではさらに、このモチーフが「ハゲタカをつかむ女神」とも解されていることを紹介しています。

 

IMG_3436.jpg

 

図の上下を逆にしたら、こうなるのです。

 

Minoan_Master_of_Animals_jewellery.jpg

 

これは、大英博物館にあるエジプトの"MASTER OF THE ANIMALS"。

 

CH-BirdMan.jpg

 

こちらはマーラ・マレット女史のサイトから拝借してきた壁画のイラストです。

 

古代より多産・肥沃・豊穣の神とされてきた「地母神=エリベリンデ」のモチーフは

アナトリアン・キリムによく使われますが、

地母神信仰は、トルコだけでなく地中海全域にわたって見られます。

 

IMG_3444.JPG

 

上記ジョン・トンプソン本掲載のキリム画像を逆にしてみましたがいかがでしょう?

 

IMG_3430.JPG

 

私のフラグメントの部分1・上下逆バージョン

 

IMG_3429.JPG

 

部分2 逆バージョン

 

IMG_3428.JPG

 

部分3 逆バージョン

 

* * *

 

「カーネーション」か「2匹のハゲタカをつかむ女神」か?

このモチーフをめぐる論争はずっと続いているようですが、なかなか決め手がないようです。

 

古くから絨毯の多くが、売るために織られてきたのに対して、

キリムは一部の例外を除いて、自家用が中心でした。

 

アナトリアン・キリムの文様には「エリベリンデ」がよく使われることもあり、

素朴に考えると、

エリベリンデの一つのバージョンとしての「2匹のハゲタカをつかむ女神」じゃないの?

と思うのですが、

トルコの KILIM AND FLATWEAVING RUGS MUSEUM のカタログに、

遊牧民が織ったというよりは、宮廷用もしくは商品として織られたのではないかと思われる

カーネーション・モチーフのキリムが載っているのです。

 

IMG_3447.JPG

 

「カーネーション・モチーフのキリム」の部分

 

IMG_3448.jpg

 

このピースは620✖️381cmとのことで、

右側が欠損していることからオリジナルの幅はもっとあったはずです。

 

一般のアナトリアン・キリムの横幅はせいぜい1m程度で、2枚はぎにしても2m程度。

ジョン・トンプソン本のキリムは、2枚はぎで307✖️182cmでした。

 

このキリムは写真から見る限りでは一枚ものですから、相当大きな織り機が必要です。

これらのことから専門の大型機材を揃えたプロの製作者による宮廷用のキリムだと思われます。

 

IMG_3449.JPG

 

同じカタログから「カーネーション・モチーフ」とされるもう一枚の部分。

大きさは418✖️83cmですから、遊牧民もしくは村の女性が織ることのできるサイズです。

 

ジョン・トンプソン本や私のフラグメントに近いですが、

「ハゲタカをつかむ女神」の頭部がなく、キリム中央部分の意匠も違っています。

「宮廷用カーネーション・キリム」から「ハゲタカをつかむ女神」への移行期の意匠かもしれませんね。

 

IMG_3450.jpg

 

遊牧民もしくは村の女性が「宮廷用カーネーション・キリム」にインスパイアされて織ったような印象です。

これらのサンプルを見ていると「オスマン宮廷のカーネーション・モチーフが遊牧民によってデフォルメされた」

という説も、一理あるようにも思われるのです。

 

みなさんはどう思われますか?

 

 

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