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2017.02.03 Friday

茶色の経糸2 BESHIRもしくはアムダリア中流 CLOUD BAND

 

ヤギ毛の経糸で、久しぶりにスイッチが入ったようなので何回か連載します。

 

日本で「ベシール絨毯」といっても知っている人はとても少ないと思いますが、

前回ご紹介した大型チュバルの表皮のように、

トルクメン族エルサリ支族、ウズベク族、アムダリア川中流周辺の村人などの複数のグループによって織られた

いわゆる「ベシール絨毯」は

欧米の絨毯愛好家たちに高く評価されている絨毯のひとつです。

 

当ブログ初公開になりますが、

"so called Beshir" (いわゆるベシール)もしくは "Middle Amu Darya" (アムダリア中流)の

Cloud Band Carpet (クラウドバンド=雲龍文様の絨毯)です。

 

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大体の大きさは、147✖️265cm。

大きな絨毯は保管が大変なので、わたしが集めているのは小ぶりなラグが中心ですが、これは例外。

絨毯買物中毒の最盛期、eBayでデッドヒートのうえ競り落としました。

ベシール絨毯は欧米のラグ・マニアに絶大な人気があるため、こっちもハチマキ締めてかかりました。ぴのこ:)

 

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蛇もしくは雲のように見える雲龍文様は、中国から伝わった説が主流のようですが、

「チューリップ模様の変形ではないか」などと主張する人もいます。

 

で、なぜこの絨毯を出したかといえば、やはり経糸にヤギ毛が使われているからです。

 

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羊毛とは違うことがなんとなく分かりますか?

 

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ヤギ毛の経糸を使うことにより、絨毯の耐久性が増すようです。

 

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パイル糸に使われている茶色の糸は羊毛のようですが、

大型タイプのベシール絨毯のパイル糸は、ちょっとごわっとしたウールが使われることが多いようです。

(ベシール絨毯にはいくつかのタイプがあるので、柔らかい羊毛のものもあります)

 

ハードな使用に耐える絨毯のウールは、ソフトで滑らかな毛よりも、むしろ

この絨毯のようなごわっとした毛の方が向いているのではないかと、個人的には思っています。

 

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絨毯のサイズが大きいと、やっぱり迫力ありますね。

 

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茜とインディゴと黄色と、染めてない茶色の羊毛。

本当はこれに緑が加わると言うことないんですが、、、

 

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緑が使われているベシールのフラグメント

 

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Fine Arts Museums of San Francisco の1999年の図録から

 

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これも緑が使われたクラウドバンド・デザインのベシール絨毯

 

IMG_0055.JPG

 

こちらは「雲龍文様」というよりは「チューリップ模様の変形」と形容したほうがしっくりくるかも。

 

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以前ご紹介したトルクメン絨毯の本にもクラウドバンド・デザインの絨毯が載っています。

 

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説明文はこちら

 

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この本はわたしが持っているトルクメン本のなかで一番新しく、

それゆえトルクメン絨毯の一番新しい研究成果を反映しています。

 

説明文も「ベシール絨毯」という呼称を使わず、「アムダリア中流」としています。

 

図録の写真なのではっきりとはわかりませんが、この絨毯の経糸はヤギ毛ではなく羊毛のようです。

 

この本についての記事はこちらこちら

 

IMG_0038.JPG

 

絨毯の裏側の写真を見ればわかりますが、

織りはわずかにデプレスがかかる程度のフラットな織りですが、

経糸がヤギ毛であるため、実用に耐えると思います。

 

ただ「クラウドバンド・ベシール」という(自分だけが信仰している)ブランド力のため、

使いつぶす勇気はなく、巻いて大切に保管してあります。

我ながらバカだなあ、、、Docomo_kao8

 

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私のお宝、なんとか次世代に手渡したいものですが、

日本ではなぜ「インテリアの壁」を超える絨毯好きが増えないんでしょうか、、、ゆう★

 

 

 

コメント
こんにちは。
パソコンの画面でみても迫力が伝わってくるような絨毯ですね。レベルの高そうな絨毯を使うにはそれなりに覚悟がいりそうですね。自分は尻込みしてしまいます(笑)

でも、使い始めたら素敵な世界が、、、ですかね。
  • kg
  • 2017.02.03 Friday 17:54
kgさま、今年もよろしくお願いします。
やはり絨毯もキリムも大きいと迫力ありますね。赤い色とうねるようなデザインが特徴です。
私は貧乏性なもので、実用として使うにはやはり二の足を踏んでしまい、ときどき広げて眺めるだけです。(笑)
  • ぷぎー
  • 2017.02.03 Friday 19:20
Cloud Band Besirをお持ちだとは恐れ入りました。実はこの絨毯が大好きです。最初に見たのはJ.Tの『Carpet Magic』ですがそれ以来忘れられない絨毯です。
ベシールは特別ですね。ベシール様と呼びたいです。

実は2007年のICOCの販売ブースで売りにだされていて、価格を聞いてたじろいでいる合間に、御存知スエーデンのJP Wilborg氏にあっさりと先を越されました。

イスタンブールでは今回紹介されていたElenaさんとアメリカ人のコレクターの共通した意見として、この周辺の絨毯群を「ルバーブ・トルクメン=川沿いの半定住するトルクメン絨毯」としてを紹介していました。
是非今度実物を見せていただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
  • tribesakaki
  • 2017.02.07 Tuesday 10:54
Sakaki さま

自分の物欲を晒すようで恥ずかしくこれまで秘密にしていましたが、今回記事にしてしまいました。でもやはりこの記事へのアクセス数を見ると、クラウドバンドベシールが日本では全然マイナーな存在なんだなということを痛感します。ぜひ今度見てやってください。この赤、私のイメージのベシールの赤より鮮かなんですよ。天然の茜由来だとは思いますが、媒染剤の違いでしょうか?

なるほど、このタイプのベシールはルバーブ・トルクメンと考えられているんですね。確かにこれだけの大型の絨毯は移動しながら織るのは無理ですね。経糸を張り直す作業だけでも大変ですし、たぶん商業用に織られたものなのでしょう。
それでもやっぱり心惹かれる絨毯です。

今年もよろしくお願いいたします。


  • ぷぎー
  • 2017.02.07 Tuesday 11:25
遅ればせながら。
わー、これはものすごい絨毯ですね!!
溢れ出る生き物感。全然違うけれど頭に浮かんだものを辿っていったらアボリジニの紋様でした。雲のような柄と粒々かな。
かっこいいです。小さなパワースポットですね。
「インテリアの壁」超えて行きたいと思います。
  • akiko
  • 2017.02.13 Monday 23:30
わ〜、惹かれます!青系に惹かれがちな私ですが、このデザインは不思議で魅惑です!大胆でありつつ、バランスがとれていて。洗練を感じます。色もいいですね〜。ところどころにある青も深みがあって、、。触感も良さそうですね!
  • おりえんと
  • 2017.02.14 Tuesday 22:14
Akiko さま、ありがとうございます。
なるほどアボリジニですか!確かにダイナミックにうねる線やつぶつぶのモチーフという点で共通していますね。
大型のベシール絨毯はペルシャや東南アジアのデザインの影響を強く受けていて、販売用に織られたものながら、独特の野生的なパワーを感じます。
今度いらしたときにぜひ見てやってください。

おりえんと様、この赤はベシール絨毯のなかでも明度が高いんですよ。スコーンとした色です。
そう、ベシール絨毯の不思議なところは野生的でありながら洗練されていることなんです。

いわゆる「ブハラ絨毯」は、よく考えられているようなtekkeの絨毯ではなく、ベシール絨毯だったのではないか、という説があります。シルクロードの要衝で取引された「ブハラ絨毯」が、東西の意匠が融合した大型のベシール絨毯だったという説に説得力を感じます。
  • ぷぎー
  • 2017.02.15 Wednesday 10:34
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