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2017.12.03 Sunday

永井荷風の誕生日

 

12月3日は永井荷風の誕生日。

昨日は市川市文学ミュージアムに行ってきた。

 

『「断腸亭日乗」起筆百年を記念して

永井荷風展

荷風の見つめた女性たち』

 

IMG_0423.jpg

 

市川市は多くの文学者たちが住んだところで、文教政策にも力を入れている。

中央図書館の館内にはミュージアムもホールもあって立派だけれど、

なによりも図書館が多くの親子連れなどで賑わっていることが印象的だった。

 

IMG_0424.jpg

 

今回のフライヤー、入場券、プレゼントの「しおり」だけれど、

このフライヤーの四隅にある「イメージ画像」にはちょっと面食らった。

 

いまはミュージアムも人を呼ぶためにいろんな工夫をしていて、

特に国立科学博物館などの「人を呼ぶ展示方法」は隔世の感がある。

 

上の「イメージ画像」も結構な予算をかけて撮影しているんだろうけど、

個人的にはチープな感じが否めず、ちょっとついていけない。

展示には『断腸亭日乗』の原本というお宝があるのに、なぜそれを表面に配さない?!ゆう★

(テーマが荷風先生なので、ちょっと毒づいてみました)

 

IMG_0426.jpg

(展示会パンフレットより)

 

『断腸亭日乗』の原本を見たのは初めてだったが、

比較的小ぶりで(日記だから当然か)、

しかし雁皮紙に刻まれた墨の色いまだに鮮やかで、侍の血を引く荷風の達筆、

「掌中の玉」といってもよいほど美しかった。

 

IMG_0425.jpg

『東京人』12月号と展覧会パンフレット

 

ちなみに『東京人』には、市川市文学ミュージアムに膨大な「荷風コレクション」を寄贈した

近藤邦男さんの記事も載っている。

 

書籍千二百九十五点、雑誌千八百十三点、荷風原作の映画や演劇のポスターやチラシ、

写真類や荷風関係の記事を掲載した新聞雑誌のスクラップ類、トータル五千点近くだという。

たとえばポスターやチラシ、新聞記事などは、その時にはありふれたものであっても、

時代を経て生きる人々が入れ替わっていくと、コレクションの価値が飛躍的に高まる。

 

コレクションの醍醐味ってこれだよなあ。

それに比べると私なんて、物欲にまかせて集め散らかしたという感じ。ゆう★

 

昨日は『荷風と東京』などの名著がある川本三郎さんの講演、

そして川本さんと持田叙子(のぶこ)さんとの対談があった。

 

川本さんの描かれる文章は、眼差しが温かくて好きだ。

初めてご本人のお話を聞けたが、やはり温かなお人柄を感じさせた。

 

川本さんが「散歩の荷風」を書いたとすれば、持田さんは「家の中の荷風」に焦点を当てたとのこと。

ひと昔前は、荷風ファンといえば「中高年のおじさん」だったけれど

持田さんをはじめとする女性の荷風ファンも現れて、荷風の読み方が広がっているようだ。

 

* * *

 

さて、今日は荷風先生の誕生日ということで『断腸亭日乗』をすこし引用させていただく。(一部非常用漢字を変換)

 

昭和19(1944)年12月3日

快晴。日曜日。老眼鏡のかけかへ一ッくらい用意し置かむと思ひて昼飯して後外出の支度する時警報発せられ砲声殷殷(いんいん)たり。空しく家に留る。晡下(ほか)警報解除となる。今日は余が六十六回目の誕生日なり。この夏より漁色の楽しみ尽きたれば徒(いたずら)に長命を歎ずるのみ。唯この二、三年来かきつづりし小説の草稿と大正六年以来の日誌二十余巻だけは世に残したしと手鞄に入れて枕頭に置くも思へば笑ふべき事なるべし。夜半月佳し。

 

(展覧会パンフレットより)

 

今回、その日記を入れていた手鞄も展示されていた。(写真左下)

 

この日記を書いた翌年3月、東京大空襲により住まいの「偏奇館」は焼失するが、

荷風はそのときも鞄を枕元に置いてあったため『断腸亭日乗』は無事であった。

 

その日の『断腸亭日乗』はこちら

 

展示されている『断腸亭日乗』は、荷風にとって一番大切なものだった。

 

それを見ることができた。

昨日はいい一日だった。

 

 

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