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2018.05.01 Tuesday

「美は乱調にあり」?! 「クルド・バルーチ」と呼ばれる絨毯

 

ぷぎー地方ではいつも、ゴールデンウィークに田植えがはじまります。

 

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きょうは朝早くから近所の里山を歩いてきました。

 

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こちらは田植えはまだこれから。

水を張った田んぼが鏡のよう。

山紫水明〜き(山は紫じゃないけど)

 

引っ越してきた当初はまったく興味がなかった里山。

なにげない季節のいとなみがいとおしく感じられるようになりました。

 

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蜘蛛によるマスターピース!

「くものくも」( 蜘蛛の雲 ) 汗

 

* * *

 

夫がリタイアして家にいることが多くなったので、なかなか絨毯を出して眺める機会がなくなったけれどDocomo_kao18

先日絨毯を日光浴させたついでに何枚か写真を撮りました。

 

今回ご紹介するのは「クルド・バルーチ」と呼ばれる絨毯2枚。

 

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いわゆる「バルーチ絨毯」は、(真正)バルーチ族以外のグループが織ったものも含まれています。

アフガニスタン北西部のティムリーやムシュワニ、チャハール・アイマックなど。

 

これらのグループは、ちゃんとしたトライバルグループなのですが、

それ以外に「クルド・バルーチ」と呼ばれるタイプの絨毯があり、

こちらはそういう名前の部族がいるわけではなさそうです。

不勉強でハッキリしたことは言えませんが「クルド族が織ったバルーチっぽい絨毯」のこと?

 

私にわかることは、以下のとおりです。

 

アンティークのバルーチ絨毯は、総じて糸が細めで、織りもトライバルラグの中では細いほう。

パイルも最初から短めにカットされます。

 

それに比較すると「クルド・バルーチ」と呼ばれる絨毯は、糸は太め、織りはあまり細くなく、パイルも長め。

 

IMG_0602.jpg

 

キリムエンドにこのようなジジムを織り込むことも多いようです。

この他、クルド族はオレンジ色が好き?という印象も。

 

この写真を見れば、糸の太さや織りのざっくり具合がわかりますね。

 

 

ちなみにこれはクルドではないバルーチ絨毯。

縦糸を比較してみてください。

 

そしてクルド族の絨毯やキリムには、やたら色を変えているものが多いのです!

 

「絨毯好きのつどい」1回目でYさんが見せてくださったクルドのキリムは

驚くほどの種類の色を使っていたし、

手仕事クイーンがトライブさんから購入されたクルドの絨毯も

「これでもか!」というほど色んな糸をとっかえひっかえ使って織ったものでした。

 

(注:おなじクルド族でも、セネやビジャーなど工房の絨毯はそんなことはなく

デザイナーが指定したとおりの色と線を守ってキッチリした絨毯を織るので誤解されませんように)

 

 

最初この絨毯を見たとき、赤の部分になんとなく違和感がありました。

全体に「色むら」があるので、化学染料が不均一に褪色したのかも? と感じたのです。

 

IMG_0614.JPG

 

こういうときこそ絨毯の裏側を見るのが大事!

裏側を見れば解ることも多いのです。

 

写真だとわかりにくいかもしれませんが、

赤い糸をじっくり見ていると、トーンの違う赤を3種類ほど使っています。

つまり赤のトーンが違う糸綛(かせ)をとっかえひっかえ使ってパイルを結んでいるのです。

化学染料を疑ったけれど、どうやら天然染料のようですし。

 

「効率」からいえば、いちいち違う綛から毛糸を使えば、余分な手間と時間がかかります。

でもこの絨毯を織った人は「トーンを変えたほうがスキ!」と考えたのでしょう。

 

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この写真だと、赤のトーンの違いがよくわかりますね。

 

 

ウールの毛質も他の多くのバルーチ絨毯とは違います。

ちょっとゴワっとしているものの、パイルが長めなのもあって、手触りはわりとスベスベしています。

 

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やたらと色を変えたがる他にも、織り模様をわざと崩すことも好きみたい。

右側の絨毯の「ボーダー(外枠の模様)」の赤い部分を目で追ってみてください。

 

あっ、フィールド内部に「茶色のワンちゃん」がいます!

 

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さて次はこちらのボテ絨毯!

オレンジや茜、インディゴはよく残っているけれど、

ボテの背景の薄茶色は鉄媒染を使ったのでしょうか、朽ちてすり減っています。

 

ボテがキャラクターの顔のようにも見えてきます。

ウルトラマンの「シェー!」(←さすが還暦を迎える人の言葉だ・・・

 

ボテも、ひとつとしておなじ形はないし、

インディゴの糸の入れ方も、無作為すぎて泣けてきます、、、(モチロン「うれし泣き」)

 

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ところで絨毯って、どっちから織りはじめているかわかりますか?

 

絨毯を撫でて「抵抗が少ない方向」を感じとってください。

パイルが下に向かうように絨毯をおけば、その絨毯は下から織りはじめているのです。

 

そういうわけで、この写真では下から上に織り進めているのですが、

ボーダーからフィールドに移ってすぐ、かわいい小花模様が織り込まれていますね。

 

うん、ここまでは整然とした感じなのですが、

その後は、気の向くまま思うまま、のびのびと織っていったようです。

 

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フィールドの端っこの小さな花なのか精霊なのか、、、もカワイイ。

 

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「セブン&アイ・ホールディングス」のロゴを思わせるようなキャラクター?

 

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うーむ、この動物はなんだろう、、、

ヤギか、はたまたラクダさえイメージさせるような、、、

 

* * *

 

この絨毯を織った人は、どんな人だろう?

どんなことを考えながら織ったんだろう?

 

そんなことを想像できるのが、トライバルラグのおもしろさの一つです。きらきら

 

 

コメント
長いこと絨毯に惹かれておりますが、こちらのサイトを拝見し、その魅力に益々引き込まれました。自然の移ろいと、美しい絨毯にうっとりし、興味深いお話を拝読して、感激いたしました。アフガニスタン北西部の絨毯ー素晴らしいですね。先の、絨毯干しの写真はワクワクするような風景でした。最近、特に、アフガニスタン、カシミール絨毯に魅かれます。お時間がおありの際に、ぷぎー様がお勧め下さる、カシミール絨毯についての文献、デザインについての著書などがあればお教えくださいませんか。
  • chimamo
  • 2018.05.02 Wednesday 12:24
chimamo さま、拙いブログをご覧くださりありがとうございます。最近はあまり更新することができなくなっていますが、温かいコメントをいただき嬉しいです。

アフガニスタンの絨毯は派手さはないものの、飽きのこない深い色と落ち着きのある文様が魅力で私も大好きです。アンティークでコンディションの良いものは少ないですが、50年程度のオールド絨毯には打ち込みがしっかりしていて、どんどん踏んでも大丈夫な質実剛健なものもたくさんあるようです。

お話のカシミール絨毯ですが、恥ずかしながら不勉強で参考になる書籍等の知識がございません。
アフガニスタンの絨毯でしたらantique collectors club のOriental Rugs Vol.3 がございます。
もう少し調べてみて、カシミール絨毯について新しい情報が入れば、改めてご連絡を差し上げたいと存じます。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
  • ぷぎー
  • 2018.05.02 Wednesday 15:26
お忙しいなか、お返事をありがとうございます。たいそう素晴らしい内容を綴っておいでになり、感動いたしました。美しい絨毯ーどのようにして知識を深められ、多様な絨毯と出会われるのかしらと尊敬の念を抱きながら、ぷぎー様の探究心と、それらを皆にシェアして下さる温かなお人柄にも感服いたします。アフガニス絨毯についての文献、早速求めようと存じます。新緑と花々の香りを纏った皐月の風が心地よいゴールデンウィークーお健やかな休日でありますよう。
  • chimamo
  • 2018.05.03 Thursday 15:22
こちらこそありがとうございます。
絨毯に関する日本語の文献はあまり多くないようですが、私が読んで勉強になったのは、朝日新聞社発行の『絨毯 シルクロードの華』とアートダイジェスト社の『ペルシア絨毯図鑑』です。アフガニスタンやカシミール絨毯に関する内容はありませんが、手織り絨毯の一般的な知識がよくまとめられています。いずれも古本になりますが、アマゾンあたりでも入手できるのではないかと思います。
chimamo 様も良い休日をお過ごしくださいますように。
  • ぷぎー
  • 2018.05.03 Thursday 17:34
最近はこちらもブログの更新がほとんど出来ておらず、展示会情報ばかりです。
昨年に出版予定だったトライバルラグの本が挫折して、少しやる気を失っておりました。。。
今回の記事に刺激されて、そろそろ復活したいと思っております。
クルド・バルーチの絨毯かなり面白いですね。
特にボテ柄の方は見事に、ボテ柄だけが残ってなんとも言えない不思議な雰囲気です。大好きなホラサーンの「トライバルラグ」という感じがしました。
触らなくても、その感触が伝わってくるようです。

引く続き、トライバルラグの紹介楽しみにしています!


  • tribesakaki
  • 2018.05.09 Wednesday 10:39
日本でのトライバルラグをめぐる環境は本当に厳しいものがありますね。多少の歪みや使用に伴う変化などを「景色」として味わう文化があるのに、なぜあまり理解されないのか不思議で仕方がありません。
このボテ絨毯、見ていて飽きません。楽しみながら織ったことが何となく伝わってきます。

tribe logのブログなど、ぜひまたトライバルラグの情報発信続けてください。楽しみにしています。
  • ぷぎー
  • 2018.05.09 Wednesday 13:01
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