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2011.08.27 Saturday

ウズベク・タタールのキリム

 先日「ハザラ族のキリム」をご紹介したときに
「タタール」が「ハザラ族の別名として使われることがあるようだ」、と書きました。

あの後、「タタール・キリム」として購入したキリムを眺めていましたが、ずいぶん印象も違います。
ネットで間違った情報を流すのも良くないなと思って、ちょっと調べてみました。

絨毯やキリムの種類を知りはじめたとき、
それを織ったトライバル・グループの名前(トルクメンやバルーチなど)が使われるときと
キリムが織られた大体の場所(トルコの場合、マラティアやシバスなど)、
さらには織物の集積地地名(イランの場合、カズビンやシラーズなど)が使われるとき、
いろんな名称が混在して、面くらった記憶があります。

さて今回の「ハザラ&タタール」を考える際に、アフガニスタンの主な集積地を見てみましょう。



ヘラート、カライナウ、マイマナ、サリプル、ラビジャール、チャルチャガン、モコール
などが主な集積地となっています。
国土の中央を右肩上がりに走っているのが、ヒンドゥークシュ山脈です。

先日ご紹介したハザラ族のキリムは、おそらくサリプルで売買されたものだと思われます。

アフガニスタンはパシュトゥーン、タジク、ハザラ、ウズベク、トルクメン、バルーチなど
が住む多民族国家であり、それがまたいくつものトライバル・グループを形成しているので
わたしには非常にわかりにくいところです。

バーミヤンの近くのハザラジャード周辺に住むハザラ族は
イスラム・シーア派だといわれていますが、
カライナウ周辺のハザラ族は、「チャハール・アイマック(四つの遊牧民)」という集団に属していて
イスラム・スンニー派とされており、区別されています。

さて、問題の「タタール・キリム」として購入したキリムをご紹介します。



「タタール」=「ハザラ」とすると、これもハザラ族が織ったものかと思っていましたが違うようです。
何冊かの本を当たってみて、一番信頼がおけそうな
"Oriental Rugs Volume3 The carpet of Afghanistan"によりますと、
このタイプのキリムは、ウズベク族のものとされています。

「タタール」は、ウィキペディアを一応信頼するとして、それによると
北アジアモンゴル高原から東ヨーロッパリトアニアにかけての幅広い地域にかけて活動した
モンゴル系テュルク系ツングース系
の様々な民族を指す語として用いられてきた民族名称」
とされていて、とても幅広く使われているようなので、
アフガンのハザラ族も、ウズベク族も、「タタール」とされているようなんですね。

ということで、先日のキリムと今回のキリムは別のトライバルグループのものだとわかりました。



ウールはちょっとパサパサしていますが、カワイイ色と文様です。
ちなみに上記の本によれば、アフガンの羊は
カラコル・ギルザイ・カンダハリー・ハザラギー・バルーチなど
主に5種類が使われており、品質もピンからキリまであるようです。
このキリムには「ギルザイ」ウールが使われているとのこと。



なんか、うねってますね〜。
トライバルのものは多少歪みがあるのが普通ですが……



あらら〜
小鳥たちが下のほうへいくとお魚(サンマか太刀魚?)たちになっちゃいました〜!



この歪み方は、けっこうすごい!
……
まあ織っているひとも人間ですから、その日の調子もあるので
「だりぃー!」とか言いながら織ったのかなあ?



「いい味出してるじゃん」って、ワタシ的には好きですけど……

が、しかし、仮にキッチリ派のトルクメンのお母さんだったら
娘がこんな歪んだものを織ってたりするのを見たら怒るかな?



裏はこうなっています。



絨毯やキリムを見ていると、頭にいろんなこと(妄想も?)が浮かんできます。
機械が織ったものではなくて、人間が織ったものだから
その個性にいっそう愛着がわくような気がしませんか?

コメント
このところのアフガニスタンのキリム特集わかりやすくいいですね。複雑な産地、部族、集積地名が分類されていますね。
キリムはトルコ語で、日本ではトルコキリムは主流ですが個人的にはアフガンキリムの素朴で大胆、味わいがありホット出来る雰囲気がとても好きです。
たしか自由が丘のフォークテキスタイルミュージアムのオーナー岩立さんも、収集の道に入ったのがアフガンキリムに魅せられた事、と仰っていました。
  • tribesakaki
  • 2011.08.31 Wednesday 11:58
つねづね思うんですが、日本の一般的な家屋には、色合い的にもアフガニスタンのものが良く合うと思います。「くつろぐ」インテリアには最適ですよね!
岩立さん……ご高名はかねがね伺っているのですが、まだお会いしたことがありません。ICOCでガーファンクルに似ているアメリカ人からも「岩立さんとお知り合いですか?」と尋ねられました。彼もすこし中国語がしゃべれて、わたしが日本のお菓子をあげると「好喫!」と言って笑ったことなど思い出します。Oriental Rug Review を見て、Paul Ramseyという人だとわかりましたが、ACORのチェアマンだって……偉い人みたいですね。喫驚!
  • ぷぎー
  • 2011.08.31 Wednesday 17:53
和のくつろげる空間にアフガンのKILIM&TRIBALRUGはぴったりですね。
Oriental Rug Review もご覧になっているのですか?広告が少なくて地味な感じですが内容は好きです。トライバルラグの文様についての記事などは充実していますしね。
ICOCでは多くの出会いがあったようで、羨ましいです。
11THの時のチェアーだったDennis Dodds氏に日本で開催したいという話をしたら
「インシャラー.」と言われたのを思いだしました。
  • tribesakaki
  • 2011.09.01 Thursday 23:40
国籍や年齢、職業などまったく違う人々が、Tribal Rug好きという一点で仲良くなれるという経験は得難いものでした。絨毯の美しさは世界共通でわかりあえるんですね!
大震災の後「のんきに海外旅行」というのは罪責感もあったのですが、私にとって得られたものは大きかったです。経済(効率)最優先の社会になってしまった日本が失ったもの、もう一度取り返さなければいけないものを考えさせてくれました。
  • ぷぎー
  • 2011.09.02 Friday 06:47
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