ARCHIVE  ENTRY  COMMENT  TRACKBACK  CATEGORY  RECOMMEND  LINK  PROFILE  OTHERS
<< November 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
2017.05.12 Friday

オブジェ on kilim

きょうも初夏のような陽気



金森正起さんの金属オブジェ


みずのみささんのグラス



宇宙をイメージしたガラスのオブジェ


ものをつくれる手ってすごい。
2017.04.17 Monday

北インド古典音楽@源心庵

 

きのうは天気も良く初夏のような陽気。

絨毯好きのつどい2016」に来てくださった寺原太郎さんのコンサートに行ってきた。

 

IMG_0162.jpg

 

「絨毯好きのつどい」以来、寺原さんが主催している「世界音楽紀行」に通うようになった。

 

寺田亮平さんのトゥバ音楽を皮切りに、スウェーデン音楽、チベット音楽、アイリッシュ音楽と聴いてきたが

なかなか聴けない世界の音楽を生で聴けるチャンスだし、

毎回行くたびに新しい収穫があって、楽しみにしている。

 

この「世界音楽紀行」とは別に、「数寄の庵で聴く北インド古典音楽」に行ってきた。

 

IMG_0161.JPG

 

左の建物が、江戸川区の行船公園内にある数奇屋造りの日本建築「源心庵」。

月見台が大きく池へ張り出していて、水がすぐそばに感じられる。

池には鯉やマガモなど水鳥がたくさん。

建物から池をへだてた対岸には、葉桜となりかけた桜が見えた。

 

IMG_0165.JPG

 

すみません、最初はブログ記事にするつもりじゃなかったので、

コンサート終了後の日暮れの写真で見栄えがしませんが、よく手入れされた素敵なお庭もありました。

 

IMG_0163.jpg

 

今回のフライヤー、これまた持ち回っていたので折り目クチャクチャ汗

 

IMG_0164.jpg

 

当日いただいた資料によれば、北インド古典音楽は

旋律を奏でる「主奏者」、リズムを奏でる「伴奏者」、通奏低音を奏でる「タンブーラー奏者」で構成されるという。

 

今回は二部構成で、前半は寺原さん(バーンスリー)、後半は H. Amit Roy 氏(シタール)がそれぞれの主奏者で、

どちらも伴奏者はタブラの池田絢子さん、タンブーラー奏者は寺原百合子さんだった。

 

北インド古典音楽をきちんと聴くのはこれが初めてだったけれど、

やはりインドという国の奥行き、深さのようなものを体感した。

 

まず一曲の長さ! 前半は50分超、後半も1時間超!

一番好きなバッハのゴールドベルク変奏曲が、演奏者にもよるけれど大体1時間なので、それに匹敵するわけだ。

しかも即興ですよ、あーた!

 

寺原さんいわく「まずその日演奏するラーガ(彩り)を決めるんですが、同じラーガでも

その日の気分によって30分で終わったり、1時間以上にもなったりする」そうな。

 

最初はチューニングから始まる。

主奏者が自分の基本となる音を決めた上で、タンブーラーとタブラもそれに合わせる。

あるインド音楽の演奏者はチューニングについて「神様の座る椅子を整える」と表現しました。

正しい音の椅子にのみ、神様が座ってくれるのです。

 

うん、この言葉、演奏を聴いた後ではすごくわかるー。

インド音楽って神様抜きでは語れないのではないだろうか。

 

* * *

 

さて、寺原太郎さん。

「春の曲にしたいんですが、インドの春って日本の春とかなり違うんですよね。

激しい感じのものが多いんですが、今回は比較的日本に近い感じのラーガでいきます。

桜のようにふんわりと美しく、けれどどこかにちょっと狂気をはらむような」

(スミマセン、うろ覚えなので発言が正確でないと思いますが)

ということで始まった。

 

「気楽に聴いてくださいね。後ろでお茶飲んでも結構ですし、池を眺めに立ってもいいですよ」

えっ、そうなのー。

 

それにしてもバーンスリーという横笛は懐が深い音を出す。

寺原さんのバーンスリーを聴いてからは、手持ちのCDのフルート協奏曲が物足りなく思えるようになったくらいだ。

いわゆる「室内楽」として発達したフルートと、バーンスリーは成立ちからして違うのかもしれない。

 

演奏を聴いたシロートの感想。

「比較的日本に近い」の言葉どおり、旋律もどこか日本的な気がしたし、

満開の桜をイメージして演奏されていたのかもしれない。

最初はおもむろに主奏者の演奏、

やがてタブラが入ってきてスリリングな掛け合いへと進行する。

 

あー、桜だ〜満開の桜〜、桜吹雪〜!

なんか身体がむずむずと動きはじめる。

前の席では首をくねらしてリズムを取っている人もいる。

人目を気にすることがなかったら月見台に出て踊っちゃってたかも。

 

「そうだ、こういうときは田中泯!

田中泯を呼んできて踊ってもらおう!」

と目を閉じて音楽を聴きながら勝手に妄想に耽った。

 

最初は「40分くらい」とのことでスタートしたが、興が乗って50分超〜!

すごいな太郎さん、熱演でした〜!

撥弦楽器や打楽器でも50分の演奏は体力勝負だと思うのに、笛ですよ笛!

声楽の人だって、あんなにぶっつづけに歌ったらもたないんじゃないかなー?

アメージング呼吸法!

今度、肺活量どれくらいあるかきいてみよう。

 

* * *

 

さて、休憩を挟んで H. Amit Roy 氏のシタール。

シタールも、ビートルズが採り入れたことぐらいしか知らないお寒い状況のワタシ。

 

前半のノリノリ気分を残しながら後半の演奏が始まった。

 

‥‥‥‥

 

前半の演奏は、"Music in the air〜!" という感じで

どちらかというと、音楽が外に向かって放たれていく印象だったのだが、

後半は非常に思索的で、個人の内面に向かって深く深く「問い」を発しつづけるような印象を持った。

 

前半は日本人の感性に近い音楽のように思えたけれど、

後半は、厳しい自然環境に生まれ、悠久の昔から積み上げられてきた思索の国の音楽だなと思った。

 

まあ、「何も知らない素人のたわごと」ということで聞き逃して欲しいのだけれど

なんだか、大きな悲しみをたたえている音楽という気がしたのね。

 

そうすると、いまの世界のこととか考えちゃって。

いまだって大きな自然災害が起これば、人間の力っていうのは本当に小さくて何もできないのに、

人間がつくりだす災いが猖獗を極めつつあるような世界のこと。

 

そんな世界に対して自問自答とともに、絶対者=神にたいして問いかけをつづけているような音楽。

アミット・ロイ氏の音楽からそんなことを感じた。

 

だから後半は首を振ることもなく、かしこまって聴いておりました。ぐすん

 

まあそれでも、アンコールに応えて演奏した曲は

「それでも世界は続く」という感じがして、ホッとした。

 

IMG_0160.JPG

 

きのうは興奮してなかなか寝つけなかった。

その混乱を引きずったまま記事を書いたので、支離滅裂だけれど、

それも私の1ページ。

 

 

心に響く音楽を聴けて、よかった。

 

 

 

 

 

2017.04.06 Thursday

大岡信「言葉の力」抜粋

 

詩人で評論家の大岡信さんが亡くなりました。

 

幅広い教養と深く細やかな洞察力にもとづきながら、さりげなく、

それでいて高い品格を感じさせる言葉の数々は、いまこそ再読の価値があるように思います。

 

「言葉の力」という1977年愛知県文化講堂における講演速記に加筆した文章を読んだとき、

ふだんは使い古されて単なる機能と化している「言葉」が、いのちを持って立ち上がるのを感じました。

長文なのでその中から、染織に興味のある方ならぜひ読んでいただきたい一部をご紹介します。

 

 

 美しい言葉とか正しい言葉とか言われるが、単独に取り出して美しい言葉とか正しい言葉とかいうものはどこにもありはしない。それは、言葉というものの本質が、口先だけのもの、語彙だけのものではなくて、それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまうところにあるからである。人間全体が、ささやかな言葉の一つ一つに反映してしまうからである。そのことに関連して、これは実は人間世界だけのことではなく、自然界の現象にそういうことがあるのではないか、ということについて語っておきたい。

 

 京都の嵯峨に住む染色家志村ふくみさんの仕事場で話していた折、志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは、淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかでしかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸いこむように感じられた。「この色は何から取り出したんですか」。「桜からです」と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取出した色なのだった。あの黒っぽいゴツゴツした桜の皮からこの美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取出せるのだ、と。

 

 私はその話を聞いて、体が一瞬ゆらぐような不思議な感じにおそわれた。春先、もうまもなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裏にゆらめいたからである。花びらのピンクは、幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンク色に近づいていて、花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの尖端だけ姿を出したものにすぎなかった。

 

 考えてみればこれはまさにその通りで、樹全体の活動のエッセンスが、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれの限られた視野の中では、桜の花のピンクしか見えない。たまたま志村さんのような人がそれを樹木全体の色として見せてくれると、はっと驚く。

 

 このように見てくれば、これは言葉の世界での出来事と同じことではないかという気がする。言葉の一語一語は、桜の花びら一枚一枚だと言っていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかしほんとうは全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。そういうことを念頭におきながら、言葉というものを考える必要があるのではなかろうか。そういう態度をもって言葉の中で生きていこうとするとき、一語一語のささやかな言葉の、ささやかさそのものの大きな意味が実感されてくるのではなかろうか。それが「言葉の力」の端的な証明でもあろうと私には思われる。

 

「『世界』主要論文選(1946-1995) 」岩波書店より

 

桜咲く季節に逝かれた大岡さん、

美しいことばの数々をありがとうございました。

 

IMG_0721.JPG

 

 

 

2017.03.26 Sunday

パキスタン映画「娘よ」&「裁判官の娘」と呼ばれる絨毯

 

きのうの朝、NHK FM を聴いていたらピーター・バラカンさんが映画の紹介をしていた。

「ストーリーはわりと単純なんですけど、なんといっても風景がすばらしいし、俳優の演技や音楽もいい。お薦めです」

 

アフィア・ナサニエル監督「娘よ」というパキスタン映画。

こんなにグローバル化が進んでいるのに、パキスタン映画が日本で公開されるのは初めてという。驚き!

 

P1013364.jpg

 

「遥かなるカラコルム山脈の麓。

敵対する部族長との政略結婚から10歳の娘を守るため、

母と娘の命がけの旅が始まった。

フンザの狭い路地、黄金色に輝く杏やポプラの木々の中で繰り広げられるカーチェイス。

パキスタン北部の自然を背景に、伝統的な社会に生きる人々の葛藤を描き、

多くの観客の共感を集めた作品」

(「エキプ・ド・シネマの会・会報」より)

 

神保町の岩波ホールで3月25日〜4月28日まで。

 

P1013365.jpg

 

この映画の原題は "Dukhtar" 。

「娘」という意味で邦題とおなじだが、

部族絨毯が大好きならすぐ思い浮かぶのが

"Dokhtor-e-Ghazi" (裁判官の娘)と呼ばれるプレイヤーラグ。

 

* * *

 

以下、Tribeさんのサイトより引用させていただきます。

 

 

お祈り用絨毯にこめられた思い

 

バルーチ族には絨毯にまつわる美しい物語が伝えられています。

イランとアフガニスタンの国境付近に、その地域で評判の美しい娘が住んでいました。
彼女はティムーリ族というバルーチの中の一支族の高名な裁判官の娘でした。
ある時他の支族であるバールリ族のシャーマン(祈祷師)の血を引く若者が、彼女と恋に落ちて求婚しますが、裁判官の父親は二人の間を認めず、結婚はおろか彼を村から追放し、娘は秘密の場所に監禁されてしまいます。彼女を愛していた彼はスーフィー*のあらゆる技を駆使して彼女との結婚の許しを得ようと試みます。
彼に会えない娘はひとり篭って絨毯を織り続けていましたが、その時に織られた絨毯の文様は今までに見たことのない美しい紋様でした。そしてその文様は見る者の気持ちを幸せにする不思議なモチーフでした。彼女の織った絨毯は町でも大評判になり、二人の関係に同情する者が増えて行きました。頑固な父親も終には折れて二人の縁談を認めました。

彼への思いが彼女に美しい絨毯を織らせたのでしょうか。
その後二人は幸せに暮らしたそうですが、彼女はその後23枚の絨毯を織り、二人の娘達が母親に習って織ったものを含めると70枚ほどの絨毯がドクフタレ・カジイ(裁判官の娘)と呼ばれるようになりました。

(引用ここまで)

* * *

 

P1013366.JPG

 

いまは亡き Michael Craycraft さんの本にも「裁判官の娘」と呼ばれる絨毯が4枚掲載されています。

 

P1013367.jpg

19世紀中頃 Nishapur 産

 

P1013368.jpg

19世紀末 Turbot-i-Jam 産

 

P1013369.jpg

20世紀はじめ アフガニスタン・イラン国境付近の産

 

P1013370.jpg

19世紀中頃 Farah 産

 

(地名はいずれもイラン北東部からアフガニスタン北西部にかけて)

 

わたしのところにも「裁判官の娘」の祈祷用絨毯が一枚あります。

 

2012年4月に桜をのせて遊んだ記事からもう一度。

 

20140402_1048596.jpg

 

ご覧のとおり、クタクタです。

 

20140402_1048593.jpg

 

下のボーダー部分もタテ糸が露出していますが、糸の撚りがいまだに残っているのに感動します。

 

20140402_1048597.jpg

 

フィールドの文様は、娘の願いをのせて飛ぶ鳥のようにも見えます。

 

20140402_1048591.jpg

 

気品ある絨毯。

 

20140402_1048594.jpg

 

全体像はこんな感じ。

 

* * *

 

映画の話に戻りますと「パキスタン」「部族」「結婚」など、部族絨毯好きなら見逃せないテーマ満載!

 

東京の後、他の地域でも上映される予定ですので、興味のある方はチェック!「娘よ」公式サイト

 

わたしもはやく見にいきたいな〜〜!きらきら

 

2017.03.09 Thursday

木蓮が咲いた

団地の木蓮が咲きました〜!




花びらは柔らかいけれど、花を包んでいる殻は「産毛」のイメージに反して硬めです。



動物みたい。



レイハンルキリムのトーテミック・モチーフで遊んでみました。



草間彌生センセイ〜!

2017.02.28 Tuesday

絨毯のヨコ糸は見えるのか?

 

「茶色の経糸でスイッチが入った」なんて書いていましたが、

ひょんなことから「台湾にスイッチが入り」、絨毯は放置状態になってしまってゴメンなさい〜。

 

気分を切り替え、経糸じゃなく「絨毯の緯糸」について少しばかり書きます。

 

* * *

 

まず質問。

「あなたは絨毯のヨコ糸を見たことがありますか?」

 

前回ご紹介したハゲハゲ絨毯なら、パイル糸がすっかり取れてしまっている部分があるので

タテ糸もヨコ糸もはっきり見えます。

 

しかし、堅気の市民生活を送られている日本のマジョリティーの方で

絨毯のヨコ糸を見たことがある人は少ないんじゃないでしょうか?

 

キリムは「タテ糸とヨコ糸」で構成されていて、

つづれ織りのキリムは「ヨコ糸が主役!」

表に現れているのは、ほとんどがヨコ糸です。

 

一方、絨毯は「タテ糸とヨコ糸とパイル糸」で構成されていて、

パイル織の絨毯は「パイル糸が主役!」

表に現れているのは、ほとんどがパイル糸です。

 

キリムも絨毯も、「フリンジの部分がタテ糸」なので

みなさん、タテ糸は見たことがあるはずです。

 

でも絨毯のヨコ糸は、パイル糸に埋もれてしまって、ほとんど見えません。

 

特に都市工房で織られたペルシャ絨毯やトルコのヘレケ絨毯は、

強くデプレスがかけられていますから(「ダブルウェフト」とも表現される)、

ヨコ糸は奥に存在するものの、表にはまず現れていないと思います。

 

でも、部族絨毯村の絨毯はほとんどデプレスのないフラットな織り構造ですから、

絨毯のをまじまじ〜っと見つめると、ヨコ糸が見えてきます。

 

IMG_0065.JPG

 

これも一応「いわゆるベシール絨毯」。

 

結構ゆがんでいて、遊牧生活を送るグループのものかもしれません。

エルサリ・トルクメンとも感じが違うので、ウズベク族のものかな?

 

IMG_0068.JPG

 

スター・キッズの幼稚園〜! って感じで、個人的にはけっこう気に入っているんですけど。

 

IMG_0069.JPG

 

ボーダーのクロス・モチーフや「スター・キッズ」の形がぜんぶ違っているところがラブリー!

 

IMG_0088.JPG

 

古いのでけっこうこなれてます。

タテ糸は、ベシール絨毯おなじみのヤギの糸。

 

IMG_0086.JPG

 

さて、絨毯の裏側です。

茜、インディゴ、黄、茶、アイボリーのパイル糸が、まず目に飛びこんできますが、

パイル糸とパイル糸の間からのぞく茶色の線ーーそれがヨコ糸です!

 

IMG_0090.JPG

 

これはアフシャールのサドルバッグの裏側の写真ですが、

矢印で "weft" と示されている部分がヨコ糸。

 

このピースは、一段あたりヨコ糸を左右に往復させ、2本のヨコ糸が使われていますが、、、

 

 

このトルコのヤストゥックは、

一段あたりヨコ糸を左右に2往復または3往復させているため、

4本または6本のヨコ糸が使われています。

 

ヨコ糸がたくさん使われているので、ぱっと見るだけでヨコ糸の存在がわかりますね。

 

IMG_0066.JPG

 

このように、部族絨毯や村の絨毯は、裏側を見るとヨコ糸の存在がわかりますが、

このベシール絨毯のように、表側もパイルがかなりすり減っていると、

うっすらと茶色い横糸が見えています。

 

IMG_0070.JPG

 

* * *

 

余談ですが、パイルたっぷりの絨毯でも

色のついたタテ糸やヨコ糸を使ったものは、

全体の色調がどことなく違って見えます。

 

以前、茶色いタテ糸を使ったムットのキリムを持っていました。

カラシ色のヨコ糸のキリムでしたが、なんとなく茶色っぽく見えました。

 

ヨコ糸がすり減っていたわけではないのですが、

表に出ていないタテ糸でも、やっぱりなんとなく色調に影響するんだな、と思ったことでした。

 

わたしが好きなベシール絨毯は、なんといっても茜色に特徴があります。

他の絨毯の茜色とは、どこか、ちがう。

 

もしかしたら、タテ糸やヨコ糸に茶色の糸が使われているため、

パイル糸の茜に、どこか趣きを添えているのかもしれません。

 

2017.02.19 Sunday

茶色の経糸3 緯糸も茶色のベシールチュバル

経糸はフリンジという形で表に現れるのですぐ分かりますが、絨毯の緯糸はパイルの間に埋没しているので、なかなか確認しづらいですね。



「敬老の日とくしゅう〜!」で登場した長老のみなさま。

ハゲハゲ絨毯はパイルが無くなっているので、ふだん埋没している緯糸が現れて、緯糸観察にはうってつけです。
上がいわゆるベシール、下二枚がコーカサス。




コーカサスのヒゲじいは経糸も緯糸もアイボリーのウール。



コーカサスの梅干しばあちゃんは、経糸がアイボリー、緯糸はゴールドの細めの糸。



ベシール、これは恐らくエルサリ・トルクメンのチュバルですが、経糸は柔らかめのヤギ毛のようです。



写真の下方にほつれた緯糸が写っていますが、薄茶色のウールのようです。ほつれた先を見ると二本を撚り合せているのが分かりますね。




セルベッジも緩くなっていて、糸の感じがつかめます。

2017.02.04 Saturday

「最強のふたり」

先週の土曜日「たばこと塩の博物館」に行く前に、シネ・スイッチ銀座でフランス映画「ショコラ」を観た。



思った以上に重い映画だったけれど、主役のオマール・シーとチャップリンの孫であるジェームス・ティエレの演技に唸った。

2月6日月曜日の夜9時からBSでオマール・シー主演の「最強のふたり」がある。

フランスの大富豪と移民のものがたり。
オススメなので、興味がある方は是非どうぞ。

2017.02.03 Friday

茶色の経糸2 BESHIRもしくはアムダリア中流 CLOUD BAND

 

ヤギ毛の経糸で、久しぶりにスイッチが入ったようなので何回か連載します。

 

日本で「ベシール絨毯」といっても知っている人はとても少ないと思いますが、

前回ご紹介した大型チュバルの表皮のように、

トルクメン族エルサリ支族、ウズベク族、アムダリア川中流周辺の村人などの複数のグループによって織られた

いわゆる「ベシール絨毯」は

欧米の絨毯愛好家たちに高く評価されている絨毯のひとつです。

 

当ブログ初公開になりますが、

"so called Beshir" (いわゆるベシール)もしくは "Middle Amu Darya" (アムダリア中流)の

Cloud Band Carpet (クラウドバンド=雲龍文様の絨毯)です。

 

IMG_0035.JPG

 

大体の大きさは、147✖️265cm。

大きな絨毯は保管が大変なので、わたしが集めているのは小ぶりなラグが中心ですが、これは例外。

絨毯買物中毒の最盛期、eBayでデッドヒートのうえ競り落としました。

ベシール絨毯は欧米のラグ・マニアに絶大な人気があるため、こっちもハチマキ締めてかかりました。ぴのこ:)

 

IMG_0036.JPG

 

蛇もしくは雲のように見える雲龍文様は、中国から伝わった説が主流のようですが、

「チューリップ模様の変形ではないか」などと主張する人もいます。

 

で、なぜこの絨毯を出したかといえば、やはり経糸にヤギ毛が使われているからです。

 

IMG_0041.JPG

 

羊毛とは違うことがなんとなく分かりますか?

 

IMG_0042.JPG

 

ヤギ毛の経糸を使うことにより、絨毯の耐久性が増すようです。

 

IMG_0045.JPG

 

パイル糸に使われている茶色の糸は羊毛のようですが、

大型タイプのベシール絨毯のパイル糸は、ちょっとごわっとしたウールが使われることが多いようです。

(ベシール絨毯にはいくつかのタイプがあるので、柔らかい羊毛のものもあります)

 

ハードな使用に耐える絨毯のウールは、ソフトで滑らかな毛よりも、むしろ

この絨毯のようなごわっとした毛の方が向いているのではないかと、個人的には思っています。

 

IMG_0044.JPG

 

絨毯のサイズが大きいと、やっぱり迫力ありますね。

 

IMG_0039.JPG

 

茜とインディゴと黄色と、染めてない茶色の羊毛。

本当はこれに緑が加わると言うことないんですが、、、

 

IMG_0057.JPG

 

緑が使われているベシールのフラグメント

 

IMG_0053.JPG

 

Fine Arts Museums of San Francisco の1999年の図録から

 

IMG_0051.JPG

 

これも緑が使われたクラウドバンド・デザインのベシール絨毯

 

IMG_0055.JPG

 

こちらは「雲龍文様」というよりは「チューリップ模様の変形」と形容したほうがしっくりくるかも。

 

IMG_0050.JPG

 

以前ご紹介したトルクメン絨毯の本にもクラウドバンド・デザインの絨毯が載っています。

 

IMG_0048.JPG

 

説明文はこちら

 

IMG_0049.JPG

 

この本はわたしが持っているトルクメン本のなかで一番新しく、

それゆえトルクメン絨毯の一番新しい研究成果を反映しています。

 

説明文も「ベシール絨毯」という呼称を使わず、「アムダリア中流」としています。

 

図録の写真なのではっきりとはわかりませんが、この絨毯の経糸はヤギ毛ではなく羊毛のようです。

 

この本についての記事はこちらこちら

 

IMG_0038.JPG

 

絨毯の裏側の写真を見ればわかりますが、

織りはわずかにデプレスがかかる程度のフラットな織りですが、

経糸がヤギ毛であるため、実用に耐えると思います。

 

ただ「クラウドバンド・ベシール」という(自分だけが信仰している)ブランド力のため、

使いつぶす勇気はなく、巻いて大切に保管してあります。

我ながらバカだなあ、、、Docomo_kao8

 

IMG_0046.JPG

 

私のお宝、なんとか次世代に手渡したいものですが、

日本ではなぜ「インテリアの壁」を超える絨毯好きが増えないんでしょうか、、、ゆう★

 

 

 

2017.01.31 Tuesday

茶色の経糸1 羊毛&ヤギ毛

 

今回の丸山コレクションでは、ヤギ毛もしくは茶色の羊毛の経糸を使ったピースが目につきました。

そこで自分が持っている茶色の経糸の絨毯をあらためてチェック。

 

* * *

 

現在織られている絨毯のほとんどは、白い経糸が使われています。

 

デパートなどで売られている都市工房製作の絨毯は、経糸も緯糸もコットンを使ったものが主流のようです。

コットンの方がたわみが少なく織りやすいし、実用品として考えると耐久性にもすぐれています。

一方でイラン産のギャッベの経糸は、いまなお生成りのウールがほとんど。

また、シルクのペルシャ絨毯なら、経糸の材質もたいていはシルク。

いずれにしても、茶色の経糸は、新しい絨毯にはまず見られません。

 

うちのリビングのイージーチェアの下に敷いてあるのは

イラン北部に住むトルクメンの今出来の絨毯。

 

IMG_0024.JPG

 

文様はケプセギュルなので、トルクメンの中でもヨムートのものだと思われます。

 

IMG_0025.JPG

 

経糸は変哲もないマシンスパン(機械撚り)。

材質はウールのようですが、不自然な艶があって化繊との混紡かもしれません。

 

* * *

 

しかし古いヨムートのパイル織には、経糸に茶色の羊毛が使われることが多いようです。

茶色の羊の原毛そのままの色。

 

IMG_0011.JPG

 

この4枚はトルクメンのヨムートのもの。

 

IMG_0018.JPG

 

写真がうまく色を拾っていないけれど、チョコレート色。

テント内に吊るして使うチュバルの表。推定19世紀末。

 

IMG_0019.JPG

 

端の処理として内側に縫いこんであるので見えにくいけれど、経糸は茶色の羊毛。

 

IMG_0020.JPG

 

これもおそらく19世紀末くらいのチュバルの表。

下側の無地の部分をエレムと呼びますが、アブラッシュが出ていてこっくりしたブラウン。

 

IMG_0021.JPG

 

薄茶色の経糸で、上のチュバルよりもポワポワした柔らかな羊毛。

 

IMG_0022.JPG

 

こちらは少し時代を下ったものですが、絨毯の用途はよくわかりません。

セルベッジ(耳)やモチーフが可愛くて、優しい茶色が気に入っています。

欧米市場ではほとんど見かけない珍しいタイプのヨムート。

 

IMG_0023.JPG

 

この経糸もポワポワした薄茶色の羊毛。

 

IMG_0017.JPG

 

4枚並べた一番下のトルバ表皮だけは、白い羊毛を使っています。

これはパイル織りでなく、ソマック織りです(平織を織りながら斜めに糸を入れていく、刺繍のように見える技法)。

 

* * *

 

茶色の経糸といっても、羊毛だけではなく、ヤギ毛を使ったものもあります。

 

たとえばトルクメン絨毯にカテゴライズされるベシール絨毯は、経糸にヤギ毛を使うことが多いのです。

 

IMG_0026.JPG

 

上の4点に比べるとずいぶん大きいチュバルの表皮。

東南アジアからウズベキスタンに伝播したイカット文様の影響を受けた意匠と言われています。

 

ベシール絨毯はアフガニスタン北部からウズベキスタンにかけてのアムダリア川流域で織られていました。

トルクメンのエルサリ支族、ウズベク族、近隣に定住する村人など、いくつもの製作グループがあったようです。

これはたぶんエルサリのものでしょう。

 

IMG_0027.JPG

 

この経糸がヤギ毛。

羊毛に比べると固くまっすぐなので、糸を撚るのに苦労するはずです。

それでも水を弾き、虫に食われず、糸の強度が強いため、特定のグループの絨毯に使われました。

 

大型の古いベシール絨毯を個室に敷いていますが、

アンティークなのにヤギの経糸のせいか頑丈で、ガンガン掃除機をかけても大丈夫。

 

* * *

 

このほか、カシュガイ族の絨毯の経糸に、茶色の羊毛が使われたものがあります。

 

IMG_0029.JPG

リビングの壁に飾っている小型の絨毯。

やはり19世紀末ぐらいのものだと思われます。

 

IMG_0030.JPG

 

茶色の経糸といっても、アイボリーの糸と撚り合せて双糸にしたもの。

 

「カシュガイは経糸に生成りを好み、ルリ族やハムセ連合は茶色い経糸が多い」

という説を聞いたことがありますが、

この絨毯はまちがいなくカシュガイのもので、茶色の経糸が使われています。

 

IMG_0031.JPG

 

こちらも典型的なカシュガイの文様ですが、経糸は茶色を含めいろいろな糸が使われています。

 

IMG_0032.JPG

 

やはり茶色とアイボリーの双糸や、、、

 

IMG_0033.JPG

 

いろんなバリエーション。

 

* * *

 

IMG_0012.JPG

 

以前にもご紹介したけれど、わたしの「トライバルラグの原点」ともいえるピースがこれ。

部族絨毯に魅せられはじめたころに手に入れた、バルーチの袋の表皮。

このピースを見ていると、なんだかホッとするのです。

 

IMG_0016.JPG

 

経糸に茶色の羊毛やヤギ毛など、さまざまなものが使われていて、

それが美しい調和をつくりだしていると感じたんですね。

 

天然染料は色あせても、なお美しい。

大好きな、大好きな、ピースです。

 

Powered by
30days Album