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2017.01.31 Tuesday

茶色の経糸1 羊毛&ヤギ毛

 

今回の丸山コレクションでは、ヤギ毛もしくは茶色の羊毛の経糸を使ったピースが目につきました。

そこで自分が持っている茶色の経糸の絨毯をあらためてチェック。

 

* * *

 

現在織られている絨毯のほとんどは、白い経糸が使われています。

 

デパートなどで売られている都市工房製作の絨毯は、経糸も緯糸もコットンを使ったものが主流のようです。

コットンの方がたわみが少なく織りやすいし、実用品として考えると耐久性にもすぐれています。

一方でイラン産のギャッベの経糸は、いまなお生成りのウールがほとんど。

また、シルクのペルシャ絨毯なら、経糸の材質もたいていはシルク。

いずれにしても、茶色の経糸は、新しい絨毯にはまず見られません。

 

うちのリビングのイージーチェアの下に敷いてあるのは

イラン北部に住むトルクメンの今出来の絨毯。

 

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文様はケプセギュルなので、トルクメンの中でもヨムートのものだと思われます。

 

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経糸は変哲もないマシンスパン(機械撚り)。

材質はウールのようですが、不自然な艶があって化繊との混紡かもしれません。

 

* * *

 

しかし古いヨムートのパイル織には、経糸に茶色の羊毛が使われることが多いようです。

茶色の羊の原毛そのままの色。

 

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この4枚はトルクメンのヨムートのもの。

 

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写真がうまく色を拾っていないけれど、チョコレート色。

テント内に吊るして使うチュバルの表。推定19世紀末。

 

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端の処理として内側に縫いこんであるので見えにくいけれど、経糸は茶色の羊毛。

 

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これもおそらく19世紀末くらいのチュバルの表。

下側の無地の部分をエレムと呼びますが、アブラッシュが出ていてこっくりしたブラウン。

 

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薄茶色の経糸で、上のチュバルよりもポワポワした柔らかな羊毛。

 

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こちらは少し時代を下ったものですが、絨毯の用途はよくわかりません。

セルベッジ(耳)やモチーフが可愛くて、優しい茶色が気に入っています。

欧米市場ではほとんど見かけない珍しいタイプのヨムート。

 

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この経糸もポワポワした薄茶色の羊毛。

 

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4枚並べた一番下のトルバ表皮だけは、白い羊毛を使っています。

これはパイル織りでなく、ソマック織りです(平織を織りながら斜めに糸を入れていく、刺繍のように見える技法)。

 

* * *

 

茶色の経糸といっても、羊毛だけではなく、ヤギ毛を使ったものもあります。

 

たとえばトルクメン絨毯にカテゴライズされるベシール絨毯は、経糸にヤギ毛を使うことが多いのです。

 

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上の4点に比べるとずいぶん大きいチュバルの表皮。

東南アジアからウズベキスタンに伝播したイカット文様の影響を受けた意匠と言われています。

 

ベシール絨毯はアフガニスタン北部からウズベキスタンにかけてのアムダリア川流域で織られていました。

トルクメンのエルサリ支族、ウズベク族、近隣に定住する村人など、いくつもの製作グループがあったようです。

これはたぶんエルサリのものでしょう。

 

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この経糸がヤギ毛。

羊毛に比べると固くまっすぐなので、糸を撚るのに苦労するはずです。

それでも水を弾き、虫に食われず、糸の強度が強いため、特定のグループの絨毯に使われました。

 

大型の古いベシール絨毯を個室に敷いていますが、

アンティークなのにヤギの経糸のせいか頑丈で、ガンガン掃除機をかけても大丈夫。

 

* * *

 

このほか、カシュガイ族の絨毯の経糸に、茶色の羊毛が使われたものがあります。

 

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リビングの壁に飾っている小型の絨毯。

やはり19世紀末ぐらいのものだと思われます。

 

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茶色の経糸といっても、アイボリーの糸と撚り合せて双糸にしたもの。

 

「カシュガイは経糸に生成りを好み、ルリ族やハムセ連合は茶色い経糸が多い」

という説を聞いたことがありますが、

この絨毯はまちがいなくカシュガイのもので、茶色の経糸が使われています。

 

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こちらも典型的なカシュガイの文様ですが、経糸は茶色を含めいろいろな糸が使われています。

 

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やはり茶色とアイボリーの双糸や、、、

 

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いろんなバリエーション。

 

* * *

 

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以前にもご紹介したけれど、わたしの「トライバルラグの原点」ともいえるピースがこれ。

部族絨毯に魅せられはじめたころに手に入れた、バルーチの袋の表皮。

このピースを見ていると、なんだかホッとするのです。

 

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経糸に茶色の羊毛やヤギ毛など、さまざまなものが使われていて、

それが美しい調和をつくりだしていると感じたんですね。

 

天然染料は色あせても、なお美しい。

大好きな、大好きな、ピースです。

 

2017.01.30 Monday

「西アジア遊牧民の染織ー塩袋と旅するじゅうたん」

早いもので一月も終わろうとしていますが、みなさんお変わりありませんか。


2008年「たばこと塩の博物館」で「西アジア遊牧民の染織ー塩袋・生活用袋物とキリムー」という展覧会がありましたが

行こう行こうと思っていながら、結局行けませんでした。


当時博物館は渋谷にあり、染織のなかでも特に「塩袋」など袋物を中心とした展示でしたが、

第二弾の今回は博物館が墨田区のスカイツリーのそばに移転し、

展示内容も数点の袋物のほかは絨毯が中心になっています。


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日本で部族絨毯を観ることができる博物館といえば、

東京国立博物館(トーハク)東洋館でときどき松島きよえコレクションなどの一部が展示されるくらいです。

ただ残念なのは、展示が地下で照明が暗く、ガラスケース越しの展示なので

染料、材質、織りのディテールなどが、よくわからないことです。


今回の「たばこと塩の博物館」では、一部ガラスケース越しのものもありますが、

ケースなしの至近距離から観ることができるものがほとんどで、

照明もよく、染料や材質(羊毛・ヤギ毛・コットン)の質感がつかめます。


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講演会、映画会、ワークショップも開催されるので、

興味のある方は検索してみてください。


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右が今回の図録、左が2008年の図録で、ミュージアムショップで購入できます。

日本でトライバルラグを観ることのできる機会は多くないので

興味を持たれた方はご覧くださいね。

それでは。

2016.12.31 Saturday

空は青いぞ

今年もお世話になりました。



いつも散歩する遊歩道から。白鷺か、もしかして白鳥?



枯枝に残る花殻と種が、意外なほどに美しい。



梅には早くも蕾が…



このお家はいつもお花を欠かせることがない。



もう一つの散歩コースは近所の里山。
空が青くて、気持ちがいい。



大きな木の神社にも新しい注連縄。
きちんと手入れをしてくれる人がいるからこそ。



田んぼ、田んぼ、
お空が映ってきれいだなー。



みなさま、よいお年をお迎えください。
2016.12.29 Thursday

TREATY by Leonard Cohen

 

2016年が終わろうとしている。

 

それぞれにとって、どんな一年だっただろうか。

 

* * *

 

1998年に詩人の田村隆一が亡くなったとき、

朝日新聞を見て驚いた。

 

長身でダンディな田村隆一が15段広告のぶちぬきで真ん中に写り、

 

「じゃあ みなさん

これから いろいろ 大変だろうけど

お先に失礼します」

 

と書かれていた。(勝手にリンク

 

* * *

 

今年のノーベル文学賞がボブ・ディランに決まっていろいろ騒がしかったが、

米大統領選に沸く真っただ中の11月7日、

優れた詩人でシンガーソングライターのレナード・コーエンが静かに息を引き取った。

 

「じゃあ みなさん

これから いろいろ 大変だろうけど

お先に失礼します」

 

田村隆一のときよりも、ずっとこの言葉がこたえる。

 

* * *

 

 

最後のアルバムになった "YOU WANT IT DARKER"。

レナード・コーエンの遺書というにふさわしい。

 

ジャケットの写真なんか、泣けるね。

 

彼の身体は、すでに窓の向こう=彼岸に行っちゃっていて、

片手だけが此岸が残っている。

サングラスに映るこちらがわの風景は、どんなふうに見えたのだろう。

 

* * *

 

 

"You Want It Darker"

 

If you are the dealer, I'm out of the game
If you are the healer, it means I'm broken and lame
If thine is the glory then mine must be the shame
You want it darker
We kill the flame

 

Magnified, sanctified, be thy holy name
Vilified, crucified, in the human frame
A million candles burning for the help that never came
You want it darker

 

Hineni, hineni
I'm ready, my lord

 

There's a lover in the story
But the story's still the same
There's a lullaby for suffering
And a paradox to blame
But it's written in the scriptures
And it's not some idle claim
You want it darker
We kill the flame

 

They're lining up the prisoners
And the guards are taking aim
I struggled with some demons
They were middle class and tame
I didn't know I had permission to murder and to maim
You want it darker
We kill the flame

 

難解でよくわからないが、「人間の業」をうたったものだろうか。

 

 

ジャケットを開くと、白い鳥が生と死のボーダーを越えようとしている。

I'm ready, my lord...

 

* * *

 

個人的にいちばん心にしみるのは、この曲 "TREATY" 。

 

I've seen you change the water into wine
I've seen you change it back to water too
I sit at your table every night
I try but I just don't get high with you

 

I wish there was a treaty we could sign
I do not care who takes this bloody hill
I'm angry and I'm tired all the time
I wish there was a treaty
I wish there was a treaty
Between your love and mine

 

They're dancing in the street, it's Jubilee
We sold ourselves for love but now we're free
I'm sorry for the ghost I made you be
Only one of us was real and that was me

 

I haven't said a word since you've been gone
That any liar couldn't say as well
I just can't believe the static coming on
You were my ground, my safe and sound
You were my aerial

 

The fields are crying out, it's Jubilee
We sold ourselves for love but now we're free
I'm sorry for the ghost I made you be
Only one of us was real and that was me

 

I heard the snake was baffled by his sin
He shed his scales to find the snake within
But born again is born without a skin
The poison enters into everything

 

And I wish there was a treaty we could sign
I do not care who takes this bloody hill
I'm angry and I'm tired all the time
I wish there was a treaty
I wish there was a treaty
Between your love and mine

 


* * *

 

レナード・コーエンよ、安らかに。
 

 

2016.12.09 Friday

絨毯好きのつどい2016ーラグと音楽と撮影とー

 

前回「絨毯好きのつどい@自宅」を開いたのは2013年4月だったから、じつに3年半ぶりになる。

思い返せば、この間自分的にはいろんなコトがあって、

ふたたび絨毯好きのつどいを開くことができて本当にウレシイ。

 

今回はひょんなことから、不思議な「ご縁」でつどいが企画された。

 

10月に絨毯好きのAさんが、明治大学リバティアカデミー「世界の民族音楽を聴く」の一環、

寺田亮平さんによるレクチャー&コンサート『トゥバ共和国の文化と伝統音楽』のお手伝いをされた。

その司会をされていた石川修次さんが、私の拙いブログを読んでくださっていることがわかり

Aさんがご紹介くださって、石川さんが絨毯を見に来てくださることになったのだ。

寺田亮平さんも同行してくださるという。

 

せっかくだから久々に「絨毯好きのつどい」はどう? と話が大きくなっていって

普段から絨毯をこよなく愛するメンバーにも声をかけた。

 

おまけに、寺田さん経由でバーンスリー奏者の寺原太郎さんご夫妻も「手仕事」がお好きとのこと、

「それじゃあ一緒に行くわ〜」というサプライズな展開になっていく。

 

さらにはバルーチ好きのSさんから、グッドタイミングで数年ぶりのメールをいただき、

「ちょうどよかった! もうすぐ絨毯好きのつどいやるんですよ〜」とお誘いしたらOKのお返事。

そして、ラグだけでなく多方面にご趣味を持つYさんも駆けつけてくださる。

プロ並みの美しい写真を撮られるので「それぞれのお気に入りラグの撮影会をやりましょう〜」とワクワクの展開に。

 

司会進行も「言い出しっぺだから私がやりまーす♪」とAさんが気持ちよく引き受けてくださった。

 

絨毯仲間、そしてなぜかミュージシャンの方々が遠路はるばる来てくださる。

「朋有り遠方より来たる、亦た楽しからずや」

 

絨毯恋しや ほうやれほ♪

キリム見たいよ ほうやれほ♪

 

* * *

 

 

ということで始まりました〜

「絨毯なんでも鑑定団@自宅〜〜!」

 

まずはウォーミング・アップということで、最初は小さなピースから。

上の写真は、トルコの村で織られたピースと遊牧生活を送るクルド族のピースを比べているところ。

どちらもヤストックと呼ばれるクッションの表皮だが、デザイン・色使い・材質などが異なっている。

 

 

もう少し大きい袋で「似たもの同士の違い」を比較〜

同じバルーチでも、ホラサン地方とシスタン地方では色使いやデザインが違います。

「絨毯織りのビギナー?」と思わせるムニョ〜と歪んだピースと

ベテランが織ったと思われる、きちっとした上手な織りのピース、などなど。

 

一番上にのっかっているのは、かなり古いペルシャ絨毯のフラグメント(産地不明)で

細〜いコットンの縦糸・緯糸を使い、デプレスが効いた高度な織り技術。

「イスファハン?」

「マジですか?」

とにかく部族絨毯・村の絨毯とは織りの技法が明らかに違う、プロ職人が織ったもののようだ。

 

 

技法にかんしては、ご自分で絨毯を織っておられる手仕事クイーンTさんの解説を聴く。

黄色と水色の「織りのサンプル」を使い、

ペルシャ結び(非対称結び)とトルコ結び(対称結び)、

デプレスの効いた織りとそうでない織りの違いなどについて説明してくださる。

 

「ほら、こうやって折るとパカッと開くでしょ。これがトルコ結び」

なるほど〜、わかりやすい♪

 

* * *

 

さて、ランチである。

今回の参加者は10人、狭い自宅にお客様をお呼びするのに慣れていないコトもあって、

コーヒーを出すにも「アワアワ‥‥」みたいなオーラが全面に出ていたのだろう、

今回コーディネイトをしてくれたAさんから「落ち着いて〜」などと声をかけられた。(笑)

 

同じ市内に住むOさんは、私の好きなラグを理解してくれる稀有な友だち。

いくつもの手料理を作ってきてくれてありがとう〜

寺原さんの奥さまからは「今朝うちの庭でもいできたの〜」とみずみずしい柚子をたくさんいただいた。

ほかの方からもたくさんの差し入れをいただき、メニューが豊かになりました。感涙〜

 

 

無事ランチが終わり、午後は石川修次さんによるアメリカ民族音楽のミニレクチャーとバンジョー演奏で幕を開ける。

はじめて生で聴くバンジョーの澄んだ音色に、ほのぼのとした幸せ〜。

 

 

ほとんどの日本人は大西洋の存在を認識することが少ないと思うが、

アフリカ・ヨーロッパ・南北アメリカはこんなふうにつながっているんだなー。

 

バンジョーは西アフリカで生まれ、それが北アメリカに渡ったあとそこで根づき、

21世紀の今なお愛されつづけている楽器。

 

瓢箪に動物の皮を張った3(4)本弦だった初期の楽器から発展して5本弦のバンジョーへ、

南北戦争、レコードの普及、ジャズの影響などによる様々な変化をたどりながら現在に至っていること、

新大陸へのオールド・カマーであるスコッチ系アイリッシュの厳しい暮らしのなかでの音楽や

奴隷船と「アメイジング・グレイス」との関係など、

語れど尽きせぬ興味深いレクチャーをしてくださった。

 

精巧な木彫りや象嵌、螺鈿などきらびやかな装飾がなされたものなど、

楽器それ自体が美術品といえるレベルのバンジョーがたくさんあるとのこと。

石川さんは古いバンジョーもコレクションされており、

いまではアメリカのバンジョーコレクターから羨まれるほど素晴らしいものをお持ちのようだ。

石川修次さんのプロフィール

 

コーディネータ・元明治大学付属中野中学校・高等学校教諭
2005年度後期、2009年度後期、2011年度後期、2013年度後期、2015年度後期オープン講座レクチャー&コンサート「世界の民族音楽を聴く」出演者。1950年東京都に生まれる。國學院大學卒業後、明治大学付属中野中学高等学校の教員となり、現在に至る。大学では民俗学を学び、日本各地の民俗調査に携わる。中学時代にアメリカのフォークソングに出会い、1965年から5弦バンジョーを弾き始める。特にトラディショナル・フォーク・ミュージックに深い関心を持ち、伝承者の「人となり」を研究している。またバンジョーについての興味は尽きることなく、現在も19世紀後半から現代に至るバンジョーをめぐる文化的・社会的・歴史的背景について研究を続けている。

(「世界の民族音楽を聴く」レクチャー&コンサート 講師紹介より)

石川さんのバンジョー演奏はこちらで聴くことができます〜♪(隅田川フォークフェスティバル)

https://www.youtube.com/watch?v=jPjHizBc4To

 

 

つづいて寺田亮平さんによるトゥバの音楽。

3種類の楽器で演奏してくださったのだが、こちらは擦弦楽器の「イギル」。

 

寺田亮平さんのプロフィール

 

トゥバ音楽演奏家・喉歌歌手。1999年より喉歌を習い始める。国内修行のあと2010年より毎年夏の3ヶ月トゥバ共和国の首都クズルに滞在し、トゥバ第一線の音楽家達と交流しながら滞在修行する生活を続けている。ホーメイ、トゥバ語による伝統的な歌の他、伝統楽器イギル、ドシュプルール、ショールを演奏する。
師匠はモングンオール・オンダ−ル(チルギルチン)、アヤン・オール・サム(アラッシュ・アンサンブル)、ブルタンオール・アイドゥン(トゥバ・ナショナルオーケストラ)他。トゥバ語を理解し、現地の音楽コミュニティーに深く受け入れられた数少ない外国人演奏家であり、トゥバの伝統的な歌の聞き取りや翻訳作業、トゥバ各地方での撮影等フィールドワークも行っている。また国内では中央アジア、シベリア関係のコンサートや各種イベントも自身で手がけている。 

2015年現在までトゥバへ3ヶ月×6回、計1年6ヶ月間滞在し現地修行を続けており、国際シンポジウム他現地で受賞歴多数。

またチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院主催の日本の伝統音楽フェスティバル"ДУША ЯПОНИИ"(日本の心)にて、トゥバの音楽に取り組む日本人として出場するなど、活躍の幅を広げている。

The Tuva Republic is a federal subject of Russia located in the geographical center of Asia, in southern Siberia. The republic borders Mongolia to the south. Tuva is a region with a unique history, culture and nature. The Tuvan language is Turkic and the national art of "Tuvan throat singing” is world-renowned.
Terada Ryohei is a Japanese musician who performs the traditional music of Tuvan. He is a student of Mongun-ool Ondar who is a world-famous musician in Tuva and he has continuously stayed in Tuva every year for three months in summer for his studies of the Tuvan traditional music and language.

「トゥバ」ってどこにあるの?

 

ロシア連邦の構成主体であるトゥバ共和国はモンゴル国と接するアジア中央部・南シベリアに位置する共和国で、北海道2つ分くらいの面積に30万人ほどの人々が暮らしています。トゥバ人は文化的にはモンゴルに近い遊牧民でありながら、ウズベク、カザフなどと同じテュルク諸語であるトゥバ語を話す民族です。

(「世界の民族音楽を聴く」レクチャー&コンサート 講座詳細より)

 

 

こちらは撥弦楽器「ドシプルール」。

喉から声を出す「喉歌(フーメイ)」。

 

なぜ喉歌のような歌い方が発達したのかは資料もなく良く判らないが、

英雄叙事詩を装飾する目的で発達したのではないか、と考えている人は多いという。

 

ちなみに、楽器についている木彫りの馬頭はとても大切なものらしい。

「音が変わる」とかそういうことではなく、トゥバ音楽の魂の表象みたいなものだろうか。

 

はじめてのトゥバの音楽だったが、草原でギャロップする馬が見えるような気がする。

馬頭の楽器だけでなく、子牛の頭がついた楽器も披露していただいたが、

「あー、やっぱり馬だ〜」「あー、やっぱり牛だ〜」という音だった。

(寺田さん、むっちゃ低レベルの感想でゴメンなさい)

 

寺田亮平さんのブログはこちら

 

 

贅沢なライブの締めは、寺原太郎さんのバーンスリー演奏で!

バーンスリーというのは北インドの横笛。

 

「インドではどういう時間にどういう音楽を演奏するかが決まっているんです。

そう、たとえばこんな日の午後だったら、これかな」

「インド人にとって、これは蜂蜜のような甘さを感じる曲」

 

「おおっ、そうなのか!そういや音楽にもTPOがあって当たり前だ」とのっけから感動する。

とても贅沢なことのように思える。

 

音楽の素養がなく、ましてやインド音楽については何も知らない私だけれど、

寺田さんが「日本を代表するバーンスリー奏者」と紹介されておられたのが頷けた。

見た目はとてもシンプルな笛から、じつにゆたかな音色が「場」に広がっていく。

とろりとした黄金色のイメージが目に浮かぶような、色彩を喚起させる音。

 

‥‥ところで、子どものときに読んだ本で「笛で踊りだすコブラ」の挿絵があったけど

寺原さんの演奏を聴くと、ヘビも踊りたくなるだろうな〜。

 

寺原太郎さんのプロフィール(下記サイトより引用)

 

92年より巨匠ハリ・プラサード・チョウラスィア師の弟子である中川博志氏に、96年より巨匠ニキル・ベナルジー師の愛弟子H.アミット・ロイ氏に師事。06年より継続的にオーストラリアWoodford folk festivalに出演。07年坂本龍一プロデュース「ロハス・クラシックコンサート」出演。映画「手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ永遠に」(2011)、映画「るろうに剣心」(2012、2014)、スーパー歌舞伎供屮錺鵐圈璽后(2015)で挿入曲を演奏。インド、オーストラリア、南米、北米をはじめ国内外で演奏活動を行う。インド古典音楽の深い理解に基づく、叙情的かつダイナミックな演奏で、各方面より高い評価を受ける。

 

よかったらコチラも→寺原太郎さんのHP

 

* * *

 

次は何人かが持ってきてくださった、それぞれの "MY FAVORITE RUG" のお披露目と撮影会です〜!

 

 

こちらはなんとAさんがフランスの雑貨屋さんからゲットされたというペルシア絨毯。

デザインが華やかで、色使いがバツグンにきれい!

 

デザインはビジャーっぽい感じがするが、織りが薄くてどうも違うようだ。

Tさんが裏を見て「これはシングルウェフトだから、ハマダンかなぁ?」

 

 

Yさんがそれぞれのお気に入りラグを撮影してくださる。わーい!

 

12月末まで限定だが、クラウドに写真をアップしてくださった。

ウールの繊維の輝き、天然染料の奥深さが存分に味わえる写真です。

 

「歳月を経て毛羽を落としたウール」がこれほど美しいのを知る日本人は意外と少ない。

良質のウール、手撚り糸、天然染料が醸し出す美の世界〜〜!

「絨毯はシルクの方が高級」と思っておられる方がいたら、ぜひこの写真をご覧ください!

(一人で興奮しすぎ? 笑)

 

 「Y's EYE」絨毯写真

 

 

こちらはバルーチがお好きなSさんのお気に入り。

いずれもジャフ・クルドと呼ばれるトルコ〜イラク国境に住むグループの袋表。

キリッとした力強い文様は、一目見ただけで「ジャフクルドだ!」とわかる。

日光の下で見ればまばゆいばかりに輝く染色だが、室内でもじゅうぶん美しい。

 

「私も昔は、ダメージのない”堅気のピース”しか買わなかったんですが、

ぷぎーさんの影響を受けて、擦り切れたものも買うようになったんです」

 

‥‥うーむ、言われた本人としてはビミョー。

「堅気の人」を間違った「道ならぬ道」に引き込んでしまったのだろうか‥‥(笑)

 

 

もう一枚Sさんのもので、シャーセバンのマフラッシュ(大型収納袋)のパネル。

目が痛くなるほど細かいソマックがびっしり!

茜・インディゴ・緑そして黄色が美しい。

 

シャーセバンも時代が下ると織りが大きくなってくるが、古いものはさすがにイイ〜!

(こんなことを性懲りなく書くから「堅気の人」を道に迷わせるのだろうかーー反省)

 

 

こちらは石川さんのピース。トルコだということははっきりしているがシブリヒサール?

エリベリンデ(地母神)の力強いデザイン。コンディションもバツグン。

 

 

石川さんの超弩級アンティーク! 130年、もっと古いものかもしれない。

擦り切れによってではなく、緑色の酸化ぐあいとかで古さが感じられる。

 

輝く天然色はレイハンルが第一候補に浮かぶけれど、

菱形をふんだんに使った構図は「ラシュワン・クルド」にも多く見られる。

いずれにせよ素晴らしいピース。

 

 

中央部分のアップ。

色の切り替えやアブラッシュが美しい〜

 

 

こちらはYさんのお気に入り、トルクメンのテケ支族の古いフラグメント。

 

トルクメン絨毯も、自分たちのために丹精込めて織ったものと売るために織ったものではどこか違う。

一部が失われているが、縦の幅から考えてお輿入れのラクダに花嫁が敷く「ウエディング・ラグ」かもしれない。

縦糸が真っ白でピーンとして、織りもすごく細かい。

羊毛も選りすぐりのものを使い、織り技術の高さを見てくれと言わんばかりのピース。

 

 

こちらもYさんのもので、ルリ族の古い絨毯。

写真からも色の美しさとウールの艶やかさが伝わってくる。

 

 

ルリ族の絨毯はカシュガイ族に比べるとかなり少ない。

私の写真がイマイチなので、絨毯の良さが伝わらないかもしれないが、

きよらかな「童心」を感じさせる、マスターピースだと思う。

 

* * *

 

この後はうちにあるピースを広げて見ていただいたのだが、

私自身絨毯を出すのに必死で、写真が撮れずゴメンなさい。

 

それでも久々に絨毯好きの仲間とディープなラグ談義をすることができ、

「ギャラなしで演奏してもらっていいの?!」という素晴らしいミュージシャンの音楽を堪能し、

充実したつどいが持てて、本当にうれしい。

 

あー、生きててヨカッタ〜〜!

みなさまに心より感謝いたします!

 

今回のつどいを通して感じたこと、書きたいことはイロイロありますが、またの機会に〜

いろんなご事情で参加できなかった絨毯好きの仲間たち、また集まりましょうね〜!

 

 

2016.11.26 Saturday

落ち葉の絨毯

木曜日の雪にはビックリしたけれど、紅葉中の樹々もさぞかし驚いたと思う。



早過ぎる雪の光堂


カサコソという落葉を踏む音に耳をすますのも散歩の楽しみ。



紅葉の絨毯。



銀杏の絨毯。

先週は沖縄に行ってきた。



雲の絨毯。



大浦湾の貝殻の絨毯。



バイクの跡のような線は、ヤドカリの足あと。



無数の、ちいさな生命。



2016.11.09 Wednesday

トルコ東部クルド族の寝具

日本で流通しているトルコ絨毯は、工房の絨毯がほとんどで、たまに村の絨毯も見かけるけれど、これは遊牧生活を彷彿させるワイルドな絨毯だ。



かなり個性が強いので、好き嫌いが分かれると思う。



日本でも市民権を得たギャッベは、もともとは南西ペルシャ遊牧民の寝具だった。
それを商品化する過程で、ギャッベはタテヨコに折り畳むことのできない、基礎が硬い織りに変化したが、本来の遊牧民の寝具はこのように折り畳むことができる。

ご覧のようにパイルが長い。



最初パイルを眺めたとき「なんか他の絨毯と違うな」と思ったのだが、よく見るとパイル糸が双糸なのだ。二本の糸を縒ってある。
普通絨毯のパイル糸は縒っていない単糸なので、これを見つけたときは嬉しかった。



わかりにくい写真ですが、見えますでしょうか?



茶色の糸が摩耗しているので、ある程度古いものだと思うが、一部化学染料が使われている。



これは紫の化学染料で、表面は退色して白っぽくなっているが、根元に紫が残っている。



裏を見ると、紫がよくわかる。
ヨコ糸にはこげ茶色の糸。これは折り畳みやすいように、ヨコ糸が4本から8本とたくさん通してある。



フリンジがでているキリムエンドの赤い糸もケミカルっぽい。化学染料だとフリンジに色移りしやすいようだ。



それでもこの絨毯が好きなのは「爆発する生命力」!
いかにも逞しいクルド族の手によるものである。

このボーダーの自由な線も大好きだ〜〜!



この絨毯から生命力をお裾分けしてもらって、きょうもがんばろう〜〜!

2016.10.28 Friday

追悼

………
先日、
ある絨毯コレクターの方が亡くなられた。

知的で、穏やかで、「日本にもこんなに素敵な絨毯コレクターがいるんだ」と誇りに思えるような方だった。

とても寂しい。


私もとりあえず今は元気だけれど、大きな病気をしたり、目にもダメージが及びつつあったりして、あとどれくらい元気でいられるのかな、と弱気になるときもある。



それでも生きているかぎり、小さくても楽しみや喜びを見つけよう。

しあわせって、「状態」それ自体にあるというよりは、むしろ「しあわせを見つける能力」なんだ。

あとね、「幸せ」と書くけど、「仕合わせ」とも書くんだって、長年ホームレス支援をつづけてこられた奥田知志牧師が言ってたよ。

「おたがいに人に仕えること、仕え合うこと、みんなが人のために自分のできることをするなかに、幸福がある」って。






Advice
by Langston Hughes


Folks, I'm telling you,
birthing is hard
and dying is meanーー
so get yourself
a little loving
in between.


「忠告」 ラングストン・ヒューズ
木島始訳

みんな、云っとくがな、
生れるってな、つらいし
死ぬってな、みすぼらしいよーー
んだから、摑まえろよ
ちっとばかし 愛するってのを
その間にな。


2016.10.21 Friday

手より糸の愉しみ


日本では「絨毯の織りは細ければ細かいほど良い」と考える人が多いように、 キリムも、いわゆるシャルキョイやレイハンルのように、「糸は細い方が好き」という人が多いみたいです。



ただ糸の細さ以外にも、ウールに艶があるかどうか、そして糸に味があるかどうかもポイントですよね。



手より糸ならではの現象として、一枚のキリムでも糸が太くなったり細くなったりしているのも、好きだなあ。



コンヤの古いキリム。キリムのヨコ糸は単糸が基本ですが、タテ糸の残りを使ったのか、二本の糸を縒った糸も使われています。



二枚のキリムを並べてみました。
それぞれに魅力を感じます。
2016.09.26 Monday

神さまとのやくそく

彼岸花とはよく言ったもので、毎年かならずお彼岸の頃に花を咲かせる。
去年もちょうど秋分の日あたりに、彼岸花は咲いたっけ。

花はたいてい樹木だったり、草に咲く花だったりするので、「ああ、もうそろそろ咲くな」とわかるのだが、彼岸花は突如として現れて花を咲かせ、ほどなく色褪せ、そして劇的に消滅する。

今年もまた貯水池のまわりの雑草の緑一色だったところに、ぽつぽつと現れ、あっという間に緑の土手を紅に染め上げた。

桜花とは違って地味な花で、人に褒められることもなければ、色褪せて消えていくことも惜しまれない。


今年の夏はことのほか暑かった。
この秋も連日雨が降り止まず、いったい自然の営みはどうなってしまったのかと人間が危ぶんでも、彼岸花はそんなことはお構い無しに、今年もまた咲くべきときに花を咲かせた。

まるで神さまとの約束を今年もちゃんと果たしましたよ、とでも言うように。

人間は雑念が多すぎて、なかなかこうはいかない。

この歳になって、彼岸花の偉さがわかった。


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